あの街この町 No.227 2020年5・6月号

船橋市議会
2行革を中止し くらしを守る 新型コロナ対策を!!

 新年度予算を審議する令和2年(2020年)第1回定例議会が開かれました。開会期間は新型コロナウイルス感染が広がり、小中高特別支援学校の一斉休校など、市民生活や営業への影響が広がり始めた時期でした。
 船橋市はこうした市民生活に背をむけ、新年度予算は行財政改革の集中取り組み期間として市民への負担増とサービスの後退を押し付ける内容です。国民健康保険料や下水道料金の値上げ、各種福祉サービスの削減や、公共施設の使用料値上げ、市営住宅や運動公園・法典公園等での指定管理者制度の導入です。市民生活をさらに痛めつけるもので、日本共産党は負担増を中止する予算組み替えを提案しました。
 この他、新型コロナの検査体制、習志野基地へのオスプレイ飛来問題や金杉台中の廃校計画の問題などを取り上げました。

海老川上流地区開発に93億円の市費投入ねらう
医療センターの建て替えにも影響が

 市民負担増の「行財政改革」の一方、「メディカルタウン」海老川上流地区区画整理事業には特別扱いです。
 質疑では、事業組合の事業総額158億円のうち、船橋市が43億円を補助すること、東葉高速線新駅設置費用の約50億円と合わせて約93億円を市の予算から支出することが示されました。同事業地内に市立医療センターが購入する用地費の61億円も開発事業の財源で、民間開発でありながら事業費の2/3を船橋市が出す優遇ぶりです。
 医療センターの整備費は、用地購入費61億円を含め総額437億円です。全額借入れ、元金と利息を併せて486億円の内、276億円を市の予算から支出、210億円を医療センター会計で負担します。38年間の返済ですが船橋市と医療センターにとって重い負担です。
 その上医療センターの建て替えが、区画整理事業に振りまわされています。新たな医療センター用地は当初、駅前でしたが駅から離れた地区へ変更となり、使い勝手が悪く医療センター建設費の増加の恐れも出ています。
 医療センターの建て替えは区画整理事業と切り離すべきではないでしょうか。

新型コロナウイルス対策について

◇PCR検査の早期実施を求める

 2月25日に行われた議案質疑で、船橋市保健所でPCR検査を実施するよう求めました。
 これまで、船橋市は検査を行ってきませんでしたが、その2週間後の3月11日から、市での検査が開始されました。
 現在は、市内の検体はすべて、市の保健所でPCR検査を行っています。

◇指定管理制度の問題点

 3月28日に集団感染が発生した、船橋市障害者支援施設「北総育成園」では、67名の職員のうち40名が感染し、施設運営が深刻な事態となりました。「北総育成園」は、指定管理制度で社会福祉法人が運営していますが、今回の緊急事態に際し、船橋市が職員を配置して、入所者の支援に当たることができました。
 障害者施設の入所者への支援は、知識や経験のある職員が必要です。市が緊急に対応できたのは、直営で運営する障害者施設があるからです。
 感染症や災害などの緊急事態に備えるためにも、行政サービスを直営で継続し続けることが必要です。

日本共産党の予算組み替え案(抜粋)

 日本共産党は市長提案の予算に対し、組み替え動議を提出しました(表参照)。行革による市民への負担増の中止や、喫緊の課題である子どもの貧困対策として、学校給食費の半減、子どもの国保料無料化など、子育て世帯への経済支援を盛り込んでいます。財源は財源調整基金があるのに別に貯めこんでいる減債基金を使います。他会派が「私どもの考えと乖離している(自民)」などと反対し否決しました。

金杉台中学校の存続を

 金杉台中学校の存続を求める保護者や地域の声を無視し、3月5日、船橋市教育委員会議は2023年4月に金杉台中学校を御滝中学校に統廃合する方針を決定しました。学校規模の適正化というコスト優先の決定です。
 しかし、金杉台中学校の継続を望む声は根強く、特に一番地元の金杉台小学校の保護者のアンケート回答では継続を望むが52%、統合に賛成が45%と継続を望む声が上回っています。URの金杉台団地内にあり、金杉台小学校と金杉台中学校の小中連携教育が取り組まれるなど、保護者や子どもたちから小規模校の良さが評価されてきたのです。しかも統合する御滝中学校は生徒数が多く体育館や校庭が足りず部活動も制限されるなど適正規模とは言えない大規模校で、矛盾しています。
 地域にとっても廃校は今後のまちづくりに影響し、廃校よりも団地の空き家の再生で若い世代を呼び込む対策こそ求められています。

行財政改革 弱い者いじめつづく

 2020年度国民健康保険料の引き上げ(均等割分)1人3000円が賛成多数で可決されました。消費税が10%になり、高齢者や低所得者の加入が多い保険料の値上げは、ますます滞納者を増やし、市民から医療を取り上げる事になります。
 さらに行革の中では県の制度に合わせ、船橋市単独で実施してきた重度心身障害者の医療扶助対象から65歳以上で新たに重度心身障害者手帳を取得した方を除外することが予定されています。実際に年間200名を超える方へのサービス低下になる事を市も認めています。このような市民いじめの行革は実施すべきではありません。

陸上自衛隊が運用する「オスプレイ」について
説明を求める意見書を可決

 無所属のはまの太郎議員が提出者、日本共産党市議団が賛成者となって提出した、「陸上自衛隊が運用する垂直離着陸輸送機『オスプレイ』が陸上自衛隊習志野駐屯地・演習場へ飛来することについて、地域住民への十分な説明を求める意見書」が、本会議で可決されました。
 意見書は、オスプレイの配備に反対するものではありませんが、習志野駐屯地や演習場周辺の住民に対し、政府が十分説明するよう求める内容です。市内の市民団体から、各議員への働きかけや議会の傍聴などが取り組まれ可決への後押しとなりました。
 日本共産党は、オスプレイの暫定的な配備自体に反対をしていますが、説明を求める市民の声と、それに応えた議会の意思決定は、非常に重要な成果であると考えています。
 今後は、配備に反対すると共に、市民への説明会の実現にむけて、力を尽くします。

3月議会における議案・発議案・陳情に関する各議員の態度表明(主なもの)


※「国保引き上げ撤回を求める陳情」は、第18号議案が可決されたため、 議論もせずに不採択が決まってしまいました。

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