あの街この町
 2009年4月号 No.189


御瀧山金蔵寺への最寄り駅。

駅入り口交差点改良工事が昨年完了。

安全に歩行出来るようにとの陳情が採択されて15年。


■2009年度の市民のくらしは?

  ― 3月議会終わる

  市議会の3月議会が3月27日に終わりました。
  今年は、6月に市長選挙が行われる年です。現市長は「3期12年以上はやらない」と、前の市長の5期目を批判して当選したのですから、当然のこととして次の選挙には出馬しない、ということにしなければ、つじつまがあいません。
  ところが、議会直前に記者会見を開き「4期目の選挙に出馬する」と、自分の公約をあっさり破棄。その上「多選批判は仕方がない。市民に判断してもらいたい」(千葉日報2月21日)などと、まるで「公約を破って悪いというなら仕方がない」とでもいうような「開き直り」ぶりです。
  さらに、次の任期中に市川・松戸・鎌ヶ谷と合併して政令指定都市に移行するための「合併の調印ができればベスト」などとも語ったと報道されました。
  しかし、議会での質問に答えて「それも選択肢の一つ」などと、あっさり記者会見での発言を撤回、その時その時で発言を変えるという、曖昧さばかりが目につく答弁に終始しました。
  予算では、市長選挙を意識したのか、所々に市民サービスを盛り込んだものになっていますが、選挙後の来年度には、下水道使用料の値上げ、針灸の助成券や敬老会補助金・祝い金のカットが行われる可能性があります。
  すでに、国への報告書がだされたり市民を誘導する異常なアンケートも行われています。

定額給付金 市民60万人に89億円を支給

  定額給付金と子育て応援特別手当に関する補正予算案の質疑が3月8日の日曜日に行われました。市民が傍聴しやすい日曜日の開催は初めてのことです。雇用対策など他の経済対策は急がず、自民党、公明党がごり押しした定額給付金だけは急ぐというのはやっぱり「選挙に間に合わせたい」からとしか考えられません。
  日本共産党も市議会に提案された定額給付金の給付事務の議案には賛成しました。
  定額給付金は、船橋市民60万人に89億円を支給する大事業です。89億円あったらもっと市民の役に立つ使い方ができたのではないかとの質問に市長は、「89億円いただいたら、いろいろの諸問題解決にあたれるが、今は一刻も早く市民に給付すること」と答えました。
  また、口座番号など、重要な個人情報を取り扱う支給事務の大半を民間業者に委託することに問題があると指摘し、契約に個人情報保護を位置づけるなどの対策を求めました。

日本共産党 予算の「組み替え」を提案

 新年度予算に対して多数の待機者を出し、不足が明らかな保育園、放課後ルーム、特別養護老人ホームなどの深刻な事態をさけるため「予算の組み替え案」(左表)を提案しました。
  市全体の予算額(1508億円)のうち、わずかな金額(約80億円、6.6%)の組み替えで、市民の要望がかなうことに注目して下さい。

新たに予算化する主なもの
特別養護老人ホーム建設(3カ年で1ヶ所) 3億0000万
公設公営保育所新設(100人定員 3ヶ所) 6億0000万
母子等家庭児童養育手当(すべての母子等児童対象の手当てにする) 4億5000万円
子どもの医療費助成を中学3年生まで 5億0000万
緊急経済対策(市内業者への公共施設の修繕工事発注の拡大) 3億0000万
放課後ルーム増設(40人定員 3ヶ所) 9000万円
商店街活性化事業助成(商店街街路灯の電気代、維持費の全額助成) 1300万円
生活道路の整備予算を充実 4億0000万
普通学級への介助員の配置 4億2000万円
新年度予算から削減する主なもの
市庁舎の地代を適正価格に引き下げる −5296万円
成田高速鉄道且x援金(事業には関わらない) −4325万円
東葉高速鉄道鰹o資金及び利子補給(やめても市の法的責任なし) −7億3902万円
海老川上流域地域づくり促進費 −500万円
船橋駅南口市街地再開発事業への支出を見直す −6億5840万円
その他、財源の一部として
公共公益施設整備協力金
(大型マンション開発に学校など施設整備のために協力を求める)
4億9000万円
土地開発基金現金分を取り崩す 20億0000万


■医療センター 「地方公営企業」として自立性が強まる

  医療センターが、4月から「地方公営企業法の全部適用事業所」となります。医療センター管理者を市長が任命し、医療センターの経営や人事権が、市長から医療センター管理者に移ります。
  医療センターは、1983年に、船橋市内でも「救急患者の受け入れ先がない」という事態が発生したことを受けて、建設されたものです。
  ですから、公営企業として経営の自立性が高くなったとしても、この「救急患者を受け入れる」という設置目的からはずれてはなりません。

▲市との関係が少し遠くなる医療センター
  また、医療センターは千葉県が「千葉県東葛南部医療圏の中核病院」に指定しながら、財政負担を「ほぼすべて」船橋市が負わされているという問題を背負ったままなのです。
  これらの問題を「管理者まかせ」にしないよう、要望しました。

・園庭も調理室もない施設で保育所といえるか?

  09年4月当初の保育園入所待機児は500人にも上ります。
  保育所整備について市は、「国の補助金である『安心こども基金』を活用して、平成21・22年度で500人を受け入れる施設整備を行う。施設は民間の建物を借りて既設の認可保育所の分園とする」としています。
  さらに市は「保育所の分園は認可保育所本園と一体となったものであるので調理室や園庭など有しない場合でも可能とされている」とのべています。
  ビルの一室などを利用した施設づくりでは、園庭や調理室が確保できず健全な保育は出来ません。市は責任を持って保育所の新設に取り組むべきです。

・適正な賃金保障を市発注の建設工事で

  市の発注する建設工事で働く労働者に、適正な賃金を保障することを契約の中に盛り込むことを求めました。
  市は新年度からは「契約時に落札業者にも直接『建設工事適正化要綱』を配布し、注意の喚起をしていく」と答弁しました。
  他の自治体でも、公契約条例実施に向けた検討や、賃金項目を入札のさい評価に加えることを検討しているところもあります。「公契約条例に関し、県内の動きがあることも承知しており、国の動きにも注目している。」と市は答えました。

・介護保険料は据え置きできたはず

  09年度から11年度までの介護保険料が提案され、第1号被保険者の基準額はこれまでの月額3700円から3840円に値上げとされました。過去3年間に使わずためこまれた介護保険料の財政調整基金15億2千万円を取り崩し「値上げ幅を抑えた」と市は説明しています。
  次期保険料を据え置くにはあと6億円(年間2億円)が必要であることも明らかになりました。
  さらに、08年度の介護保険決算で3億円もの余剰金が出ることも解りました。
  1年間で3億円もの剰余金が出るのであれば、保険料を値上げする必要はありません。
  全国自治体の3分の1が保険料の据え置き又は引き下げを予定しており、船橋市でも据え置きは十分可能なのに。

・私道整備の補助率引き上げ検討する

  公道とは異なり、私道はどんなに交通量が多くても舗装整備は地元負担が必要となります。そのため整備が遅れ、凸凹がひどい危険な道路を高齢者が歩いています。こうした私道を通行する市民の安全を船橋市はどう確保するのか質しました。  道路部長は「緊急の穴埋めは行ってきたが、今後は部分的な補修も行うこと。私道路整備の補助率の引き上げを09年度目標に考えている」と答弁し、一定の改善方向が示されました。

 


■教育三題

-- 就学援助制度の周知をすすめる取り組みを

 船橋市の就学援助の認定率は、全国平均の半分程度。この原因として、周知方法や受付方法に問題があり、制度が利用しにくいことを、取り上げました。
  市はお知らせの配布回数を増やすことや、学校便りへの掲載回数を増やすよう各学校にお願いすることを検討すると答弁しました。
  しかし、市民から要望の強い教育委員会の窓口での受付けなど、まだまだ改善が必要です。

-- 一日も早い、教室不足の解消を

  教育委員会は学校の適正な規模を12〜24学級と定めています。しかし自らが定めた基準を大幅に上回る「過大規模校」が、小・中学校合わせて十校も放置されています。
  こうした学校では、教室が足りない、グランドが狭いなど、子ども達の日常生活や学校行事の運営に深刻な影響がでており、1日も早い改善が求められています。
  教育委員会は、08年度から「教室不足問題検討会議」を立ち上げ、ようやく検討を始めとところです。
  当面は、建て替えが予定されている西海神小学校と、葛飾小学校などで「学校選択地域の拡大」を行っていくとしていますが、計画的な学校の新設こそ緊急にすすめるべきです。

-- 割高な「無洗米」なぜ使う?

  千葉県学校給食会で扱う米が08年度からすべて「無洗米」になりました。教育委員会は変更の理由を「とぎ汁による水質汚染がなくなるから」と説明していましたが、根拠はあいまいです。
  また米の値段は下がっているのに無洗米だけはこの4月から1キログラムあたり40円も値上げされました。これまでは小売店の普通精米より20円割安でしたが、これにより逆に20円割高になります。
  「市内の小売店からの普通精米購入に切り替えるべきだ」と求めました。

・私道整備の補助率引き上げ検討する

  公道とは異なり、私道はどんなに交通量が多くても舗装整備は地元負担が必要となります。そのため整備が遅れ、凸凹がひどい危険な道路を高齢者が歩いています。こうした私道を通行する市民の安全を船橋市はどう確保するのか質しました。  道路部長は「緊急の穴埋めは行ってきたが、今後は部分的な補修も行うこと。私道路整備の補助率の引き上げを09年度目標に考えている」と答弁し、一定の改善方向が示されました。

新年度予算で以下の市民要望が実現しました

子育て支援
  ▼妊婦検診の助成5回から14回に拡大
▼幼稚園就園児補助金3万7千円に2千円増
▼小学生の入院医療費を1日200円に(10月から)
▼放課後ルームの増築(行田西、西海神、夏見台、七林、大穴北)
▼保育所の耐震診断
医療・福祉
  ▼国保料の据え置き
▼介護在宅サービス利用料軽減の対象拡大
▼本中山、法典連絡所に福祉ガイドコーナー
教育
  ▼耐震改修校舎(高根東小、夏見台小、葛飾小、前原中)体育館(丸山小)
▼坪井公民館建設と法典公民館の建替設計
▼夏見公民館エレベーター設置
緊急経済対策
 

▼中小企業へ公共施設の小規模修繕事業発注五千万円


  この他、日本共産党が取り上げた質問で、低所得世帯(生保基準程度の収入)への固定資産税の減免の実施、国保加入者の医療費の減免(生保基準の一・二倍の収入と六ヶ月分の預貯金)、福祉銀行の借り入れ限度額の増額等の改善が示されました。