あの街この町 2004年8月号 NO.171
6月議会 
 コスト削減より、人間として尊重する行政を

 
 船橋市では、コスト削減を優先するあまり、個人のプライバシーの侵害や、人間としての尊厳が傷つけられる事態が、起きています。

 7月から、介護の利用料助成制度の対象者が大幅に削減されました。この制度を受ける申請手続きでは、申請する個人の通帳はもちろん、世帯全員の預金通帳まで、介護保険課に提示させられるようになりました。同居する家族であれば、子どもや孫の通帳まで、提示させられることになります。預金通帳自体、個人の私生活にかかわるもので、世帯全員の通帳をチェックすることは、申請にブレーキをかけさせるものです。
 
 今年の3月に制度を利用していた4600人のうち、変更後に申請した人は207人、7月から制度を利用している人は197人という状態です。
 
 そもそも、この制度は、所得の少ない高齢者が、必要とする介護サービスを受けるためのものです。国民年金のみで生活する高齢者は、預金を取り崩して生活を送っており、たとえ、わずかの預金があっったとしても、収入が少ないなら助成してこそ、安心できる制度といえるのではないでしょうか。

 特別養護老人ホームで、コスト削減のために、利用者から、「人間としての尊厳が傷つけられるような運営が行なわれている」という話が、寄せられました。入浴の際に、先に入った利用者の汚物が浴槽に浮いていたのに、お湯の交換をしないまま入浴をさせたり、デイサービスの利用者を送迎バスに乗せる際に、トイレに行く時間がないまま出発して、失禁してしまうような事が起きています。

 高齢になり、身体機能が低下しても、人間として尊重され、社会生活を送れることが、当然の権利です。福祉施設の運営で、最も重要なことは、いかに「安上がりにするか」ではなく、利用者が「人間らしく生活できるか」ではないでしょうか。

 市長が削減しようとしている扶助費は、市民の福祉や医療といった生存権を保障する予算です。人件費はその担い手の予算です。この予算を少なくすることは、地方自治体の仕事を放棄することになり、許される話ではありません。

■低所得の高齢者ねらい打ちの大増税−
   「年金所得控除の削減」と「老年者控除の廃止」

 
市民にダブルパンチを浴びせる「市税条例改正」可決されました。
 この「改正」によって表のように大変な負担増になる世帯が生まれます。

新たに負担増となるモデル世帯
 
(夫65歳以上、年金250万円、妻所得なし)
新たな負担額
市県民税 25,000円
所 得 税 40,000円
国民健康保険料 18,260円
介護保険料 30,600円
合    計 113,860円

 課税最低限が285万円から205万円にも下がることで、この程度の収入しかなくても税と社会保険料の負担が増やされ、生活保護以下の生活を余儀なくされます。
 老年者控除等の廃止により市民税の増税の影響を受ける市民は2万人で、増税額は4億5千万円です。また課税世帯になることによって、福祉サービスも受けられなくなったり、費用負担が出てくるものが20項目以上となっています。

■「アンデルセン公園」「プラネタリウム」「少年自然の家」
    教育での利用を無料にせよ−共同で条例案を提出

 
 学校教育、幼稚園・保育活動で使用するアンデルセン公園などの利用料を無料にし、父母負担の軽減をする条例案を日本共産党、民主市民クラブ、市民社会ネットの三会派で共同提案しました。
 無料化に必要な金額は3施設合わせて698万円です。
 公明党は「広く無料にする条例を検討しているので、これでは不十分だから反対」と発言しました。次の議会に公明党がどんな条例を出してくるか楽しみです。
 また条例は否決されたものの、行政側から無料化を検討して行きたいとの考えも示されました。早期に無料になるよう、がんばります。
 
■母子等家庭児童養育手当、もとに戻せ条例を提案
 
 6月1日現在で、児童養育手当を支給されている2496世帯。このうち、「船橋市遺児手当支給条例」によって、手当が支給されるのは、192世帯。92%の世帯が対象から外れます。
 7月1日の施行を前に、削減される養育手当を、削減前に戻す条例案を、市民社会ネットと共同で提案しました。


        ■参院選の結果について

 7月11日投開票された参議院選挙は、比例代表で小池晃をはじめ4議席を確保しましたが、五議席確保の目標を達成できず、七つの現職区の議席も失うという、たいへん残念な結果になり、申し訳ない思いです。
「自民か民主か」という偽りの対決が大宣伝される難しい選挙戦の中で、日本共産党が後退する結果となりました。しかし「二大政党」では、財界が主役・アメリカ追随という悪政の大もとには手をつけられないことに気づく人々が広がっています。きびしい情勢のなかでも、比例代表で436万人、選挙区で552万人の方が、日本共産党に投票してくれました。この期待にこたえるために今後もがんばりぬく決意です。




 市民のくらしを応援してこそ「船橋市」
   くらしやすい船橋市へ一歩一歩・・・日本共産党


■JR津田沼駅北口デッキ・北習志野駅のバリアフリー化へ
 ↑ 駅舎の全面改修が決まった
       新京成線・北習志野駅


 JR津田沼北口デッキへのエレベーター・エスカレーターの設置を求める要望が強く出されています。利用者の8〜9割は船橋市民ですが、道路の管理は習志野市が行っています。今回の質問で市は「平成17年に3基のエレベーターを設置予定」と答弁しました。
 北習志野駅とその周辺地区は、市が重点整備地区と指定しています。日本共産党も、船橋市や新京成電鉄に対し、再三要望してきましたが、この駅は今から38年前に開業し、駅舎そのものが老朽化し、建替えを含めた大規模改修の中で設置していきたいとのことでした。
 今回、駅舎改修を2008年度中に竣工させたいとの新京成の整備スケジュールが明らかになりました。一日も早い実現を求めてまいります。



■保育園
 「まず、民間委託をするかどうか」の話し合いを


 公立保育園の民間委託について、公立保育園を利用している保護者から、強い反対の声が上がっています。
 保護者との委託の是非についての話し合いが一度も行なわれないまま、決定されようとしているからです。
 保護者と市長とは、契約関係にあります。契約内容を変更したいのであれば、契約相手である保護者の同意を得るのは、当然のことではないでしょうか。
 しかし、市は『健全化プラン』の策定にあたって、「市民の意見を聞いている」「市民を含む審議会の意見に基づいている。」として、この保護者との話し合いに応じていません。
 日本共産党は、「保護者との話し合いを行うべき」とただしましたが、市長の答弁は「公立も民間も差はないと思う」というものでした。市長は、公立保育園の運営責任者として、誇りや喜びは感じないのでしょうか。

■不明朗な第三セクターの合併

 船橋市が50%出資し、役員を派遣している2つの第三セクター、船橋北口駐車場梶A椛D橋市街地改造公社が合併し、船橋都市サービス鰍ノなりました。
 北口駐車場など、市の財産を貸し付けて経営されている第三セクターが「市民サービスの公共性をどのように担保するのか」との質問に、市は「商法人であり、市が合併契約書開示について強制できない」との答弁に終始しました。
 日本共産党は「市民に対して必要な情報を開示せず、市民のコントロールのきかない会社へ50%出資することや役員派遣は意味がない」と厳しく批判しました。
 今後も日本共産党は、船橋都市サービス鰍フ会社全容を明らかにし、市民にとって公共性を重視するよう求めていきます。

議会にも知らせず、巨額の支援を約束 −東葉高速鉄道鰍ノ

 西船橋駅から八千代市の勝田台までを営業運転している「東葉線」ですが、その経営は建設費の負債で四苦八苦です。

 ●平成28年まで130億円支援を約束?

 3月議会では、平成11年3月10日付けで、船橋市などが取り交わした「東葉高速鉄道の再建に関する確認書」の内容をとりあげました。
 確認書によると、平成28年までに、なんと総額では130億円もの巨額のお金を「支援する」として約束していたのです。
 通常、このような確認書などで「将来の負担に義務を負う」場合は、議会の議決が条件です。しかし、議会にそんな議決を求められたことはありません。
 その点を指摘された市長は「義務を負うものではないと思っている」と答えましたが、それなら来年度の出資金は、凍結するか減額するのでしょうか。
 
 ●最善の改善策は、国に「高金利の貸付金」の変更をさせること

 東葉線は、営業自体は順調ですが、政府からの巨額の借金とその高金利が経営を圧迫しているのです。
 そもそも、国民の通勤など、移動の保証は政府の責任です。それを「第三セクター」を作らせ、地方自治体などに責任を押しつけて、経営が大変でも「金利も下げない」「借り換えも許さない」などというのは道理がとおりません。
 市長も「国に要望していく」と答えました。国に強く変更を求める時です。

■「路上駐輪対策抜き」で、バリアフリーなどできる?
  ↑ 自転車があふれている
           本町「ヤマイチ」前

 船橋駅を中心に、本町地域で「地域の魅力アップモデル事業」が始まります。ところが、この説明の中で「バリアフリー化を進めるが、路上の放置自転車には、手をつけない」ということがわり、不信の声が出ています。
 駅から南に伸びる道路、それに本町商店街の「ヤマイチ」前などでは、点字ブロックの上に自転車が置かれている光景は日常です。それを解決しない「バリアフリー」など、あり得るでしょうか?
 自転車は「燃料を使わない」「排気ガスもださない」など、環境にはダメージを与えない推奨できる交通手段です。ですから、「排除」ではなく、駐輪場所の確保、共同利用化など、総合的・体系的に検討することが大切です。
 市は「やり方を教示頂ければ、やります」と、積極的な姿勢は示していますので、みなさんにも「自転車の賢い利用法」のアイデアのご提案をお願いします。


■税金を食い物にする政治家は許しません
      −不正を調査する百条委員会を設置

 現職市議会議員の門田正則氏が代表を務めていた「いもごし会」「船橋市ドッジボール協会」が、公園の清掃業務を請け負っていたことが明らかになり、調査特別委員会が設置されることになりました。
 今議会で建設委員会の調査報告がされましたが、
@議員が契約団体の代表となることについては違法性の疑いがあること
A「船橋ドッジボール協会」との契約は収支が「特別会計」として扱われていると説明しているが、協会名を使った虚偽の「私的な会計」の疑いがあること
B清掃委託料の流れについても、請負団体と実際に清掃業務を行っていた団体との関係が不明確なままになっている

など疑惑が深まりました。
 日本共産党、民主・市民クラブ、市民社会ネットの3会派は共同して、改めて疑惑解明のため地方自治法にもとづく調査特別委員会(100条委員会)の設置を提案し、賛成多数で調査特別委員会設置が決まりました。議員と市の委託契約のあり方、税金の使途の解明が待たれます。

 ※委員会は自由に傍聴できます−次回は8月9日10時から
<2004年6月議会>条例案や陳情に対する各会派の態度は
                  (○=可決または採択  ×=否決または不採択  退=退席)
  結果 日本共産党 市民社会ネット 民主 ・市民クラブ 公明党 新風 緑清会 維   新   の   会
清会
無所属
船橋市市税条例の一部改正
   (老年者控除の廃止)
× ×
遺児手当支給条例の一部改正
(手当をひとり親家庭すべてに支給する)
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アンデルセン公園、プラネタリウム、
少年自然の家の教育利用無料化の条例
× × × × × × ×
百条委員会の設置提案
※維新の会・門田正則議員は除斥
退 ×2
退1
市議会だよりに発言議員名明記に
関する陳情
× × ×
自衛隊のイラク派遣中止・撤退の
意見書提出に関する陳情
× × × × × × ×