あの街この町
 2008年1月号 No.184



参拝の人たちでにぎわう正月の船橋大神宮


■12月議会 市民アンケートを力に平和とくらしを守れと論戦

12月市議会が11月27日から12月18日まで開かれました。 市長からは市営住宅から暴力団を排除するための条例改正案などが提案されました 。
  日本共産党は、「後期高齢者医療制度の中止撤回を求める」など4件の意見書を提案しました 。
  国保料について市長は「来年度は引き上げが必要」との考えを11月の決算委員会で表明していましたが、日本共産党の追及の中で「できるなら据え置きたい」との答弁がされました 。
  他党派の議員が、趣意通告にない質問をしたことに関して、議会運営委員長が独断で議会を中断したことから、委員長不信任案が可決され、委員長が辞任する事態となりました 。
  後任の委員長に日本共産党の岩井友子議員が選任されました 。


   市営住宅条例改正、「警察への照会」是正させる

 昨年4月、東京都町田市営住宅での暴力団員による事件を受け、全国で公営住宅から暴力団員を排除する措置が取られはじめています。船橋市でも市営住宅の入居・同居・承継の条件に「暴力団員ではないこと」などを盛り込む市営住宅条例の改正が提案されました 。
  今回提案された改正案について市は、「入居者全員を対象に暴力団員かどうかを警察に照会する」としていました 。
  日本共産党は、国土交通省のガイドラインでも、「『暴力団員である蓋然性の高い場合』と慎重な運用を求めている、入居者全員の警察への照会はすべきでない」と主張しました 。
  この指摘に市は、「全住民を対象とせず、明らかに暴力団員と思われる場合に限り警察に照会する」と姿勢をあらためました。



■PAC3配備で米世界戦略の位置づけ強まる習志野基地

 11月29日未明、市民に全く知らせず、自衛隊習志野基地に危険な新型パトリオットミサイルPAC3が強行配備されました 。
  12月議会では、「飛んできたミサイルの核弾頭・生物・化学兵器などを迎撃で無くすことはできない、これが何で市民の安全に役立つのか」とあらためて質しました。市は、「国の決定は尊重しなければならない」と答えました 。
  習志野基地に置かれている「第一空挺団」、「特殊作戦群」は、海外派兵を主任務とした陸上自衛隊中央即応集団に組み込まれた部隊です。PAC3の配備で、習志野基地はアメリカの世界戦略の一翼を担う基地へとさらに危険性が高まっています 。

12/22、PAC3強行配備に抗議する集会が開かれ200人が参加、薬園台公園から自衛隊正門までをデモ行進した




●2008年度市政要望アンケートへのご協力ありがとうございました。

昨年末までに1,300通の回答をいただきました。
みなさんから寄せられた要望の実現のため、議会の内外で力を尽くしてまいります。


市民要求実現へ
2月議会で日本共産党がとりあげたその他の課題

○ 国民健康保険料を引き上げるな
○ 後期高齢者医療制度は中止を
○ 公正な公園管理を
○ 体験型農園・朝市など農業支援策を
○ ガンの緩和ケアについて
○ 生活保護受給者が特養ホームに入れない問題



■12月議会 船橋のまちづくり

 マンション業者に「食い荒らされる」商業系地域、
     どれだけ効果がある高度規制

船橋市は来年度中にも、「高度地区」を決めたいとして、準備を進めています。
  高度地区は、船橋市を「北部エリア」「南部エリア」に分け、北部エリアは高さを「20メートル以下に規制する」としていますが、計画途中で高根公団駅や馬込沢駅周辺の「近隣商業地域は31メートルまで緩和」することにしてしまいました 。
  南部エリアは、高さの上限を決めた地域以外は高度利用の制限がありません。これで本当に「船橋市が調和のとれた街」になるのか疑問です。
  それは、近隣商業地域、商業地域がマンション業者の儲けのために、商業とは関係のない「マンションという住居」が次々に建設され周辺居住者の環境悪化を招いているからです。
  そこに目を向けない「規制」は全く「不充分」です。

民家に隣接して建設された高層マンション



 交通不便地域にコミュニティバスを 

三山・習志野地域等々、多くの地域の住民からコミュニティバス運行の要望が寄せられています。市は「全市的な公平性という点から導入は困難」としています。
  「実態をあらためて調査しコミュニティバスの導入を再度検討すべきではないか」「当該地域の住民と協同して、それぞれの地域にコミュニティバス運行協議会を立ち上げていくべきではないか」と質問しました 。市は「地域・事業者・行政の協力で解決策を見いだしたい」と答えました 。


 裏づけのない公園整備計画

 船橋市は平成19年10月に新しく「緑の基本計画」を策定しました。この中で、平成27年までに緑地の確保目標を市街化区域で約79ヘクタールと定め、都市公園の整備目標は人口一人当たり5uを目指すとしています。
  12月市議会では、大穴北3丁目市民の森(5236u)を約2億1500万円で取得することが決まりましたが、この緑地を含め、市が所有する都市緑地面積は現在23.65ヘクタールです。また、都市公園面積は人口一人当たり2.65uしかなく、全国平均9.3uや、千葉県平均6.11uと比較しても公園整備の後れは歴然としています。
  「緑の基本計画」で定めている、緑地や公園の面積をどのように確保するのか、毎年度ごとの計画を明らかにするよう求めました。市からは「用地取得には大きな予算が必要となるので様々な手法で公園機能を図りたい」との答弁だけで、自ら策定した目標をどのように達成してゆくのか明確にできない実態です。


■どの子も健やかに育つために

 子どものインフルエンザ予防接種に助成を

 船橋市では、インフルエンザの予防接種が、65歳以上の高齢者については、市の助成により1回千円で受けられます。しかし子どもには助成がありません。1回3千円として、子どもは2回接種が必要ですからひとり6千円もかかり、大きな負担になっています。負担軽減を求める保護者の声は切実です。
  「助成をおこなう自治体が全国に次々と広がっている。船橋でも助成に踏み出すべきではないか」と質しましたが、市は「任意接種なので助成は考えていない」との答えに終始しました 。

 特別支援教育先生を増やして 

 昨年から「特別支援教育」が始まり、「軽度発達障害」を持つ子どもたちへの対応が学校教育に位置づけられました。専任職員の配置が不足しているために、各学校での対応は大変困難になっています。今議会では、各学校に特別支援教育支援員を専任職員として配置することや、軽度発達障害の子どもたちが通級で指導を受ける「通級指導教室」の職員と、学校を訪問して指導を行う「巡回指導員」の増員を要望しました 。
  市は、「巡回指導員」については「増員を県に要望していく」としたものの、それ以外については、「現在の状況で可能な限りの対応に努める」と答弁。これでは学校現場の困難は少しも改善されません。

 放課後ルーム指導員の待遇改善を

 放課後ルーム指導員の労災事故が、昨年度12件も発生しています。
  最大の原因は、指導員の待遇の悪さにあります。一日5時間勤務で年収が204万円、何年勤めても昇級なし。このため退職者が多く、入れ替わりが激しいため、仕事に不慣れなことが事故の原因です。
  「公務がワーキングプアを作り出して良いのか、経験に応じた昇級のある賃金体系とすべき」との質問に、市長は「指導員が長く勤めることを想定していなかった。どこまでできるのか考えたい」と答えました。

 船橋の学校でも偽装請負?

 船橋市では、小・中学校の英語教育にALT(外国語指導助手)を導入しています。
  このALT事業は、直接雇用でも派遣労働でもなく、市が民間会社に業務委託をしているものです。この場合、ALTの先生が学校長や担任からの指示を受けることは法律違反になります。
  しかし、実際には、学校長の指導のもとで、直接子どもの教育にあたっており、社会問題になっている偽装請負が懸念されます。
  日本共産党は市教育委員会に対し「偽装請負は許されない。労働基準監督署などに問い合わせをし、改善せよ」と質しました 。
  市は「調査をする」と答弁しました 。



■12月議会への陳情等各会派の態度

 市民からの医療や介護での「負担を引き下げてほしい」という陳情に、自民・保守、公明の議員は、反対の態度をとりました 。
  健康福祉委員会に提案された市民の陳情はすべて不採択になるという、市民生活の実態が市政に反映されない、深刻な状況です。

12月議会の各会派の態度
結果
国民健康保険料引き上げ中止に関する陳情
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不採択
後期高齢者医療制度中止等の意見書提出に関する陳情
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不採択
習志野分屯基地へのPAC3システム配備中止の意見書提出に関する陳情
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不採択
消費税増税反対に関する意見書
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否決
児童扶養手当の減額中止に関する意見書
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否決
 
共=日本共産党 し=市民社会ネット 民=民主党 市=市政会 公=公明党 か=かがやき 新=新風 リ=リベラル