あの街この町
 2008年8月号 No.186

北総線 小室駅

北総線 運賃値下げを
  2010年の春、成田新高速鉄道が開通します。開通後は京成電鉄がスカイライナーや一般特急を運行する予定です。これにより、一つの路線を京成線と北総線という異なる運賃体系の電車が走ることになります。
  日本共産党は、北総線と京成線の逆転運賃是正と、北総線の割高運賃を引き下げることについて市の見解を求めました。
  市は、「県と沿線6市2町の北総鉄道利用促進協議会を通じ、運賃値下げの手法を検討している。財政支援は困難である」との考えを示しました。


■6月議会 後期高齢者医療制度廃止を
  ―市民の声に背を向ける市長

  4月から実施された後期高齢者医療制度には、市の窓口に4500件を超える怒りや問い合わせが殺到しました。日本共産党は、後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書を提出するとともに市長の見解を質しました。市長は「制度は理解されてきている」などと答えました。
  日本共産党は、一般質問でも市民の切実な要望をとりあげ、改善の約束をさせるなど奮闘しました。

  6月議会では、市長からは市税条例改正案等の他、副市長の選任同意の提案がされました。日本共産党は、「財政がきびしいと福祉予算を削っているなかで二人も副市長は不要。国からの天下りは受入れるべきではない。」と反対しました。
  市政会の議員が、「建物の高さ制限は急ぐな」「漁協の三番瀬のラムサール条約登録推進決議は組合員全員の同意をとるべき」と、住環境を守りたいという市民の声や三番瀬保全の運動に真っ向から対決する質問をするなど、自民・保守派の反市民的発言が目立った議会となりました。
  また、日本共産党議員の質問に対し、答弁をさせないという議事運営を行った議長に対し、党議員団として不信任案を提出しましたが、否決されました。

●後期高齢者医療制度廃止求める陳情 自民・保守・公明が不採択に

  後期高齢者医療制度の廃止等を国に求める「高齢者が安心して医療を受けられるための意見書提出に関する陳情」が市民から出されました。健康福祉委員会の審議で、日本共産党は、「市民の怒りは、75歳という年齢だけで他の世代と切り離し、高い保険料を押しつけ、受けられる医療を差別するという制度の根幹そのものにある。きっぱりと廃止することこそ市民の声に応える道」と陳情に賛成しました。
  市政会は「高齢者と現役世代の負担のルールが明確となり、社会全体で支える仕組ができた」、公明党は「市町村間格差の縮小、制度破綻の回避を目指したもの」などと不採択を主張しました。本会議では、賛成少数で陳情は不採択となりました。各会派、議員の態度は下の表の通りです。

後期高齢者医療制度廃止を求める陳情への態度 (議長を除く49名)
不採択(30名) 市政会 公明党 耀 リベラル
日色健人、大矢敏子、滝口宏、木村哲也、中村実、長谷川大、佐藤新三郎、七戸俊治、浅野正明、田久保好晴、早川文雄、興松勲、瀬山孝一 橋本和子、藤川浩子、石崎幸雄、松嵜裕次、角田秀穂、鈴木郁夫、高木明、斉藤忠、上林謙二郎 渡辺賢次、鈴木和美、中村静雄、斉藤守、小石洋 佐々木克敏
川井洋基
安藤のぶひろ
採択(19名) 日本共産党 市民社会ネット 新風 民主党
渡辺ゆう子、中沢学、金沢和子、伊藤あきひろ、石川敏宏、岩井友子、佐藤重雄、関根和子 朝倉幹晴
まきけいこ
浦田秀夫
池沢敏夫
神田廣栄
石渡憲治
野田剛彦
大沢久
島田たいぞう
小森雅子
斉藤誠


■市民と日本共産党の共同で
   
―私道への固定資産税、5年さかのぼって返還に

  「公共の用に供する道路は、固定資産税を課税することが出来ない」と法律ではなっています。ところが船橋市は、市民からの申請によって、はじめて免税とする扱いをしています。
  「この制度を知っていた人と知らない人で税金の負担が違うのはおかしい」と新高根の住民から日本共産党に相談が寄せられました。他市での取り扱い例などを調べ、市に要請をし、「申請があった年から5年さかのぼって税金を返す」との回答を得ました。
  また、私道は非課税であることを、広報や町会を通して周知していくことも約束されました。
  社会保険庁のでたらめさが明らかになっていますが、税金もしっかりチェックすることが大事です。



■住みよいまちづくりをめざして  

・低層住宅地への高層マンション建築に歯止めを
 近年2階建ての多い低層住宅地に中高層マンションが建設され、日照などの住環境が侵害される問題が多発しています。この問題の解決のため、市は今まで絶対高さの制限がなかった住宅地域には、建物の高さを20m、または31mまでに制限するなどの「高度地区の変更」を07年度中に行うとしていました。しかし、市政会議員の「地権者に不利益」「急がずゆっくりやれ」との本会議での質問で08年12月中変更へと先延ばしがされています。
  市内では、11階建てマンションの建設を住民が座り込みで阻止する事態も起きており、一日も早い「高度地区の変更」を強く求めました。市は「市民に周知徹底をはかるため調整中」としか答えませんでした。
  低層住宅地に20mの高さまで認めていいのか、工業系・商業系地域に日照などを無視した住まいとしての条件を満たさないマンション建設、マンション建設での急激な人口増による深刻な学校・保育園不足等々の問題解決には、「高度地区の変更」だけでなく用途地域の変更や、一定規模以上のマンション建設に歯止めをかける条例づくりも課題です。


前原東地域では地域にあわない高層マンション建設に反対を続けています。

・市営住宅2割が家賃引き上げ・追い出しに
 国が公営住宅制度を改悪し、市営住宅の家賃制度等の改定が2009年4月より実施されます。
  その内容は
@入居申し込み可能な収入上限の政令月収を、現在の20万円から15万8千円に引き下げる
A現入居者に明け渡しを迫る高額所得者の政令月収を39万7千円から31万3千円に引き下げる
B家賃算定基準の改訂です。

  これにより、市営住宅入居者1175世帯のうち、260世帯(22.1%)が家賃引き上げや退去対象となると推計されます。
  船橋市はこの制度「改正」についてこの秋以降、居住者に説明するとしています。
  日本共産党は、家賃引き上げを抑えること、船橋市でも県が実施しているような収入月額が6万7千円以下の特に収入の低い世帯を家賃減免対象とする制度を取り入れることを提案しました。
  しかし、市は「今のところ考えていない」と答えました。
  年金等の手取り収入が減ってきている中で「一方的な家賃の引き上げは許せない」の声をあげ、市民の共同の力で引き上げをやめさせていきましょう。


(全入居者1175世帯中)
家賃値上げとなる世帯 260世帯
22.1%

月額5,000円以下
172世帯 14.6%
月額5,000円〜15,000円 88世帯 7.5%


・坪井「地区計画」区域に住民無視の民間墓地計画

 区画整理事業の終わった坪井地域は、新住民の入居も進み、新しい街並みが形成されつつあります。この坪井地域の住民から「墓地の建設計画撤回(船橋日大前駅東地区の地区計画区域内)に関する陳情」が提出されました。
  坪井地区に建築物を設置した回向院(東京都墨田区)の墓地建設計画に「周辺の住環境とはなじまないので、市の指導を願いたい」という内容です。地区計画の中には、「墓地建設」の予定はありませんでした。
  日本共産党は、「戸建て住宅を原則とした美しい街並みづくり」を申し合わせている住民の要望にそったまちづくりが進められるべきと、本陳情に賛成しました。(結果は下表の通りです)


6月議会に出された陳情等
(8人)

(13人)

(10人)
耀
(5人)

(4人)

(4人)

(3人)

(3人)
結果
原爆症認定制度の抜本的改善の意見書提出に関する陳情
採択
墓地の建設計画(坪井)撤回に関する陳情 × × × × 採択
非核日本宣言を求める意見書提出に関する陳情 × × × × 不採択
都市計画高度規制地区変更の早期成立に関する陳情 × × × × 不採択
普通学級に在籍の障害のある児童生徒に介助員
           ・特別支援教育支援員の配置に関する陳情
× × × × 不採択
ガソリン税等暫定税率及び道路特定財源の
                      復活に抗議する決議
× × × × 否決
地球温暖化防止対策の促進に関する意見書 × × × × × 否決
共=日本共産党 市=市政会 公=公明党 耀=耀 し=市民社会ネット 新=新風 リ=リベラル 民=民主党


■公立学校施設の耐震化

 船橋市の小中学校では、耐震化の遅れが深刻です。大規模な地震で倒壊の危険性が高いとされる、Is値が0.3未満の校舎や体育館が25棟(6月現在)、耐震性能が不足しているとされる旧耐震基準で建設された体育館75棟のうち64棟が耐震診断さえ行っていません。耐震化率は県内ワースト2位という状況です。
  耐震補強の工事費用は、1棟で約1億5千万円と市は説明しています。この25棟を全部工事すると37億5千万円ですが、新たに成立した地震防災対策特別措置法を活用すれば、耐震補強工事の国庫補助率が3分の2となり、市の負担は約12億円です。
  市は、Is値0.3未満の校舎や体育館の耐震補強工事を3年間で行うとしているようですが、四川省大地震のような子どもたちの犠牲を出さないために、補正予算を組んででも、年度内に行うべきです。※Is値:構造耐震指標。建物の耐震性能を判断するための基準



■三番瀬のラムサール条約湿地 登録に自民党がブレーキ

  三番瀬のラムサール条約湿地登録については、市長の公約であるだけでなく船橋市議会で議決しています。
  これまで議会では、特別委員会を設置し、漁業と登録は矛盾しないことを確認してきました。03年には、三番瀬をラムサール条約へ湿地登録する内容も含む「三番瀬調査研究特別委員会報告書」も全会一致で議決しています。
  今までは登録要件の一つである「地元関係者の合意」がとれないという状況がありましたが、今年3月の船橋漁協総会で三番瀬のラムサール条約湿地登録が議決され「関係者の合意」という要件が整ってきました。
  6月議会で市政会滝口宏議員は「漁業生産のあがる海に再生することが先、登録はすべての漁業者の合意が必要ではないか」と、あくまで「湿地登録」と「漁業」を対立させ、「ラムサール条約湿地登録」にブレーキをかける質問をおこないました。
  日本共産党は、三番瀬の保全を願う市民の声にこたえ、早期に三番瀬のラムサール条約湿地登録を行い、貴重な干潟の保全を図ることを求めています。



■日本共産党議員のとりあげた問題と答弁

▼消防団員の待遇改善について  「検討したい」と市長が答弁
▼公園管理契約での談合事件  透明性のある入札に改善したい
▼小規模農家の市場への集荷について  一定の条件ができれば集荷していきたい
▼小規模事業者に優先発注すべき「修繕業務」が登録事業者に発注されていないことについて
     登録小規模事業者に発注されるよう状況を確認していく
▼私道・排水設備工事への補助率(現在65%)の引き上げを  現在関係課と協議中である
▼家庭の廃食油を燃料に利用することについて  情勢の変化があり検討していきたい