あの街この町
 2009年8月・9月号 No.190


 踏み切りのそばにある小さな入口。昔を
偲ばせる風情のある駅、「海神駅」。
  でも、そんな構造などが理由となってバリ
アフリー化が遅れ、早期の解決が望まれて
います。


■6月議会 毎年50億の市民負担を増やした
    南口再開発・中核市移行…

  ― 市長はそれでも「やって良かった」?

 市議会第2回定例議会が、6月29日から7月21日の会期で開かれました。市長選後初めての議会で、日本共産党は市長の政治姿勢について論戦を行いました。市長は、「選挙の結果を厳しく受け止める。市民からの要望を真摯に受け止め、60万市民の代表として、市政を進めてゆきたい」と所信を表明しました。
  しかし、南口の再開発見直しの公約破りや、中核市移行などで50億円も市民負担を増やしたことについて、「市民からは評価を頂いている。」など、反省も改善も表明されませんでした。
  また、オバマ大統領の「核兵器のない世界をめざす」との表明と、それに対する日本共産党志位和夫委員長の書簡のやりとりについて、「(双方には)主張の違いがあった中で、今回の手紙のやりとりには、自分も驚いた。それぞれの立場から世界平和に向けた取り組みは重要だ」と答えました。
  日本共産党が提案した「核兵器廃絶国際条約締結に関する意見書」が多数で可決されるなど、新しい動きが見られた議会となりました。

  ― 保育所と特養老人ホームの大幅な増設を

 日本共産党が市長選で公約として掲げた、特別養護老人ホームと保育園での「2つの入れない」の解消について、議会で取り上げました。
  船橋市では保育所の待機児童が7月1日時点で461人も出ています。市の整備計画は21年度、22年度の2年間で500人の定員を増やすというものですが、年度末には待機児が1000人になるといわれている状況では不十分です。整備計画の一層の拡大を求めました。市は、「保育需要の推計を行い、26年度までの地域ごとの整備目標を立てる」ことを明らかにしました。
  特養老人ホームの待機者も今年4月現在で728人と深刻な状況です。しかし、この3月に決めた船橋市の今後3年間の整備目標は285ベッド分しかなく、計画目標に上乗せして整備することを求めました。市は「285ベッドについては今年度中に事業者を公募する。今後については利用者の申し込み状況などを見て検討する」と答弁しました。
  保育所も特養老人ホームも「やれるだけの整備」から必要なだけ整備する行政に切り替えが求められています。

  ― 合併・政令市研究 35億円のゴマカシ

 船橋市は、市川、松戸、鎌ヶ谷市の三市と協同で行った合併・政令市「研究」のパンフレットと広報ふなばし特集号を相次いで発行しました。
  「政令市移行で35億円の余剰が生じる」としていますが政令市になれば県の道路建設の借金と単独事業の負担が覆いかぶさってきます。パンフや広報では、こういう都合の悪いことはすべて「算定困難」などとしています。日本共産党は市長に対し「市民を騙す宣伝はやめろ」と強く求めました。
  これに対し市長は「千葉市の道路は良くなった」と例示しましたが、その財政負担については全くふれませんでした。


■駅のバリアフリー化

  ― 今年度補正予算で整備促進を!

 新バリアフリー法により、来年度までに一日平均利用者が5000人以上の駅に、エレベーターや多機能トイレ設置などの整備が求められています。市内にはバリアフリー化されてない駅が8駅残されています。(表参照)
  駅のバリアフリー化は、国・市・鉄道会社が概ね三分の一ずつの財政負担で行われています。エレベーター一基の設置費用は、およそ五千万円前後です。国も来年度の整備にむけ、バリアフリー化のための補正予算を組みました。
  日本共産党は「船橋市が今年度で一気に補正予算を組み整備をするよう」求めました。市は「9月補正、22年度当初予算の確保に努める」と答弁しました。
  8月の新京成駅利用者のみなさんの申し入れの際にも、市長は「新京成の駅については21年度補正でやります」と答えました。

■飯山満区画整理事業は見直しを!

-- 巨額の税金投入は許されない

 船橋市が施行している飯山満土地区画整理事業は、現在40・7%の進捗状況です。この事業は、地権者から減歩で拠出された土地を保留地として第三者に売却して、事業費を捻出することになっています。
  しかし、平成3年度から地価が5分の1以下に下落しているため差額を市が補填しなければならない状況です。このまま放置しておけば25億円とも50億円ともいわれる税金を投入しなければ終われない状況です。飯山満駅への接続道路(都市計画道路3・4・27号)の見通しは全くたっていません。

-- 「見直しは必要」と建設局長

 この事業の見直しと、計画区域内の接続道路整備は、区画整理事業と切り離してすすめるべきと求めました。
  建設局長は、「事業計画の見直しが必要と考えている」「道路については、できるだけ国からの財源を確保できるような事業計画に改善していきたい」と答えました。

■住民税の年金からの天引きに怒りの声

 今年の10月から、住民税を年金から天引きする通知書が送付されました。
  市役所に「納税者の意志を無視して、勝手に天引きなどとんでもない」「残りの年金では、生活できないのに天引きするのはおかしい」と怒りの声が2800人から寄せらまし。
  「天引きか、これまで通りの納付にするかどうかは、納税者の意志を確認して行う方法へ変えること」、「天引き後の年金では生活出来ない人は、対象外にするよう」求めました。 市は、「市民 の利便向上につながるもので、変更しない」と突っぱねました。
  市民からの通報で、2000万円を超す課税もれが明らかになりました。天引きの苦情に誠実な対応をすることこそ信頼回復への道です。

■学校耐震化

-- 船橋市の学校の耐震化率は千葉県内で最低

 昨年6月成立した特別措置法による補助金の引き上げにつづき、国の09年度補正予算では、大地震で倒壊の恐れのあるIs値0.3未満の学校施設耐震化を完了させる予算付けが行なわれました。船橋市でも、この国の交付金を活用し、学校校舎・体育館の耐震化工事が前進することになりました。
  しかし、船橋市の学校の耐震化率は千葉県内で最低となっています。来年度末で、耐震化率は現在の37%から49%に改善する予定ですが遅れは深刻です。
  市では、今後2015年までに、Is値0.7未満の学校施設の耐震化をすすめていく計画ですが、学校改修を後回しにしてきた市長の責任は重大です。
 
▲写真の船橋小学校は、Is値0.27の校舎があり、保護者のみなさんから不 安の声が寄せられていました。やっと来年度から耐震工事が始まります。

■教員の長時間過密労働解消を

-- 教員の増員でゆとりある教育を

2008年に市教育委員会が発表した教員へのアンケートで、1日の勤務時間が11時間以上という教職員が71%となっています。また、65%の教員が休憩もとれず、32・5%が「休息・小休止」さえとっていない状況です。厚労省が示す過労死危険性ラインである「1カ月45時間以上」の残業を行っているという深刻な実態です。この原因は、教員の定数が実態に合わず不足していることにあります。

「教員の増員でゆとりある教育を」
 
  子どもに豊かな教育を保障するためにも、教員を増やし、先生がゆとりを持って授業に取り組める体制づくりが急務です。県教育委員会に増員を求めること、市教育委員会独自でも配置することを求めました。
  教育長は「教育を取り巻く状況が変化する中、教員の負担が増えている」と認めながら、「校長会で長時間勤務にならないよう要請する」として、教員の増員など市教育委員会としての責任ある対応は示されませんでした。
  過労死の危険があるような働き方の改善が緊急課題です。


■2009年6月議会

-- 意見書・請願・陳情に対する各会派の態度は

 日本共産党は、核兵器廃絶にむけた新しい情勢の中で、今議会に「核兵器廃絶国際条約締結に関する意見書」、「原爆症認定制度の抜本改正等に関する意見書」を提出し、採択されました。

このほか、日本共産党が今議会で取り上げた問題
●市の職員は正規で雇用を
●三番瀬のラムサール条約登録は船橋市独自でも推進を
●市民要求に沿った交通不便地域対策を
●新型インフルエンザ対策、市内の医療機関への支援を
●中核市保健所になっての精神保健行政の問題点について
●好評だった緊急経済対策の施設修繕事業拡大を
●親会社京成電鉄の負担で、北総鉄道の運賃引き下げを
●二重川上流部の水害対策、必要な管理を行政の責任で
●要介護者の身体の状況が正確に反映される認定に