あの街この町
 2010年4月号 No.193




■3月市議会
  心配される市民生活
  不況下での国保料値上げと福祉サービス削減
  

船橋市議会が行われ、2010年度予算が市長提案のまま可決成立しました。

  保育所・特養老人ホームの増設など改善面もあります。しかし、成立した予算は深刻な経済情勢から暮らしを守るどころか追い詰めるものです。

―  国保料一人年間9500円の値上げ

  まず第一に国民健康保険料の一人当たり9500円の値上げ(均等割り ) です。船橋市の国保料は1999年以来据え置かれてきましたが、保険料が高すぎて払いきれず1万7千世帯が滞納(昨年9月時点)、滞納者には4カ月しか使えない短期保険証が発行されてきました。失業など生活不安が募る中での値上げは暮らしを直接脅かします。

―  福祉サービスの削減

  第二は高齢者・障害者福祉サービスの削減です。敬老事業交付金や敬老祝品の減額・敬老祝金の廃止、一人暮し高齢者入浴券助成の削減、はり灸マッサージ助成事業の削減が強行されました。障害者へのタクシー助成事業や難病患者通院見舞金も削減されています。

―  強引な手法に批判

 第三にこれらの改悪が市民の意見を聞かず、短期間で強行されたことです。
  国保料の値上げ額は3月議会直前まで公表せず、市民には知らされないまま議会に提案されました。保険料の通知が届いてはじめて市民は値上げを知ることになります。
  はり灸マッサージ助成は昨年12月議会で制度の存続を求める陳情が採択されたのに改悪しました。敬老3事業についても、事業を行う町会・自治会の意向を聞かずに削減し、「市は一方的すぎる」との声が上がっています。
  無料入浴券では、利用者ばかりか事業に協力してきた浴場組合と合意がないままの強行で、改悪後の事業の実施も心配されます。船橋市は市民サービスの削減をまさにゴリ押ししました。

―  でたらめな財政運営ただす組み替え提案

 第四にこれらの改悪は財政難を理由にしていますが、財政を厳しくしているのは中核市移行による年32億円の支出増、「フェイス」ビルの赤字補てん5.2憶円や東葉高速鉄道の赤字補てん9.7億円などで市民には責任のないものです。また海老川上流域開発ではさらに莫大な赤字をつくる計画をすすめ、船橋駅北口地下駐車場は(株)船橋都市サービスに便宜を与えてもうけさせるというでたらめな事務が行われています。
  日本共産党市議団はこうしたでたらめや不要不急の支出を改め、市民生活を守る予算に組み替える提案を行いました。
 

■市民要望実現

  ― 新年度で予算計上された主な事業

○小学1〜3年生までの通院医療費助成
○私立保育所の施設整備で390人定員増
○市立保育所園舎建て替え(金杉台、二和、夏見第一)
○児童扶養手当を父子家庭にも支給
○三咲小学校と南本町小学校に第2放課後ルーム増設
○八木ヶ谷北小学校と宮本中学校に特別支援学級を開設
○特別養護老人ホーム(豊寿園、南三咲、つぼい)整備に補助
○船橋競馬場駅エレベーター設置補助
○御滝中学校区内に耐震性貯水槽整備
○中小企業者の緊急経営対策
○法典公民館の建て替え工事着工
○八木ヶ谷公民館にエレベーター設置
○高根公団駅の駐輪場整備に向け用地取得
○八木ヶ谷北公園や海神5丁目2号緑地の用地購入
○田喜野井、八木ヶ谷、丸山で新たな公共交通サービスの実証実験
○地区社会福祉協議会の自立事業助成額を1地区あたり10万円

■財政難の原因はこんなところに

-- 「フェイス」ビルきらら、総合窓口の高家賃

 市は船橋駅南口再開発「フェイス」ビル事業の赤字返済をビル床の家賃収入で払っていますが、毎年の不足分を市の会計からくり入れ、今年度も 5.2 億円支出します。

 市は同ビルの家賃収入を増やすため、入居者と家賃値上げの交渉を行ってきましたが、千葉県の施設を含めほとんどが据え置きです。

 そんな中、値上げに応じた「きららホール」と「総合窓口センター」の家賃は年間1億円から 1.2 億円に上がっています。「赤字の穴埋めのために高い賃料を払っているのではないか」という日本共産党の指摘に対し市は、「結果的にはそういう形になってしまっている」と答弁しました。

-- 海老川上流域区画整理やめて自然を守れ!

 近年、地価の値上がりをあてにする「区画整理事業」は成り立ちません。
  海老川上流域区画整理事業の計画は、総事業費371億円の約6割を保留地処分金で払う予定です。しかし地価が4〜5倍に上昇することが前提のため、上昇が見込めない現在、「百数十億円が不足」するおそれがあります。
  不足分は本来、「地権者の負担」ですが、「公費で肩代わり」するという問題が全国各地で起きています。
  市長は3月議会に「海老川上流地域づくり促進費」として予算を計上。あくまでも事業に固執しています。
  日本共産党は、海老川上流の区画整理事業を中止し、農地や斜面緑地を保存するなど自然を生かした計画に変更することを求めました。

-- 外部監査人判断は「株式会社への便宜供与」

 船橋駅北口駐車場は、駅前広場や道路という「行政財産」の地下にコンクリートの躯体を市が建設し、それを「普通財産だから」と株式会社船橋都市サービスに安く貸し付けて、船橋都市サービスが儲けるために使ってもいい、と市はしてきました。
  道路という行政財産を「船橋市から」市の「都市総務課」に「占用料を無料で」占用許可を与え、地下にある駐車場部分を民間に貸しているのであるから、行政財産を民間に貸しているわけではない、という「ことにしている」のです。
  このことについて包括外部監査人に意見を求めたところ、そのことは「船橋都市サービスへの『便宜供与』と…」と、明確な見解が表明されました。
  外部監査人から、「便宜供与」と「違法宣告された」ようなものですが、市長はどう「是正する」のでしょうか。

-- 「法的義務ない9億円負担」は見直せ!

 船橋市は、東葉高速鉄道株式会社に、「出資金」と「利子補給金」として、9億円ものお金を支出しますが、これは今年だけの話ではありません。
  東葉高速鉄道が、高運賃であるのに赤字続きなのは、建設資金を「利子つきの借金」で賄ってきたからです。
  その借入先も「政府の財政投融資資金」なのです。
  「電車を一本も止めないで、再建する方法があるではないか。民事再生の手続きに入って、政府に債権放棄を迫るべきではないか。そもそも、広域的な交通手段を確保するのは政府の仕事ではないか!」という主旨の質問にたいして、市長が答えたのが「今日、国に金利を下げて欲しいという要望書を出しました」というのです。
  要望を出したのは良いことですが、「今日!」とは、何とも「あわてて取り繕った」風情が感じられませんか。

■他会派議員のあんな発言こんな発言

□中核市移行に賛成した市政会の木村哲也議員は、本会議の質問で「中核市になって何が変わったのかと多くの市民から声をいただいている」と発言。
□健康福祉委員会で
  公明党の村田一郎議員は、「高齢者が増加し財政負担が増える」と敬老祝い金廃止に賛成。さらに、はり・灸・マッサージ助成券や無料入浴券の削減をしないでという市民の陳情を「本当に必要な部分に手厚くするような見直しがされた」「他の事業を利用すれば入浴回数はかえって増える可能性もある」と不採択。
  新風の大沢久議員も「このままでは民生費がどれだけ膨れ上がるかわからない」と高齢者福祉サービス切り捨てに賛成。
  自由清政会の佐藤新三郎議員は、「自分たちのぬくもりで子どもを育てるということを(陳情に)書いてもらいたい。長時間子どもを預けてしまう姿勢はいかがか」と保育に関する陳情を不採択。


■市船学区拡大問題
  生徒を傷つけるのはどちら

 2月に市教委が公表した教育振興計画に「市立船橋高校普通科の学区を市内から広げる検討をする」とあります。

日本共産党の中沢学議員は「市税投入した市立高校であり、学区拡大は(市民の子どもが入りづらくなり)市民の理解をえられない。スポーツエリートを集め船橋市の広告塔にしたいのではないか」と質問しました。

 それに対し「市船生徒、OBの気持ちを傷つけた」と市政会の長谷川大氏ら8議員から懲罰動議が出されました。長谷川議員自身が以前の議会で「市船が全国大会で活躍することは露出度が高く、効果を収入に替えられないか」と宣伝効果について発言しています。それを質疑で指摘され、懲罰委員会では「懲罰にあたらず」という結論に…。

  「生徒を傷つける」のはどちらなのか明らかです。