あの街この町
 2010年10月号 No.195




■ 新たな財源ー交付税36億円を市民生活に

―  小・中・特支学校・市船高校普通教室へのエアコン設置を表明
  

 9月議会、市長からは市立西海神小学校校舎改築工事や法典公民館建替工事の請負契約についての議案が提案されました。改築される学校校舎にはエレベーター1基が配置され、すべての教室にエアコンが整備されます。今後市内全市立学校校舎のエアコンについても年次計画を立てて整備していく方針が示されたことは前進です。
  また、補正予算で市船高校授業料無償化や鉄道の高架下を利用した2つの保育園整備が提案されました。高架下保育園については「乳幼児の保育環境としてふさわしいとはいえない」と質しました。
  船橋市は今年度、当初見込まれていなかった地方交付税36億円が国から交付されることになりました。日本共産党は「この財源があれば国民健康保険料を値上げする口実は成り立たない」として国保料引下げの条例改正案を提案しました。

■ 値上げされた国保料を元に戻す条例提案

 日本共産党は3月議会での国保料値上げ提案にも「市民生活を悪化させる」として反対しましたが、今回値上げ分を4月にさかのぼって下げる条例を提案しました。
  船橋市ではこれまでも国保料が高すぎて18000世帯も滞納しているにもかかわらず、4月から一人当たり9500円も大幅に値上げされました。
  条例案は日本共産党と市民社会ネットの賛成少数で否決されました。
  反対した公明党は「皆保険制度を維持するために値上げはやむを得ない」といいます。しかし保険料が高すぎて滞納し、保険証がもらえない市民が続出している現状は、皆保険制度の崩壊ともいえる状況です。払える保険料に値下げする修復こそ必要です。


■子宮頸ガン・ヒブ・肺炎球菌
  予防ワクチン市の助成を急いで

今、多くの自治体が子宮頸ガン・ヒブ・肺炎球菌ワクチン接種の独自助成に踏み出しています。
  船橋市でも、これらワクチン接種への公費助成を市独自で実施することを求める市民陳情が6月議会で採択されており、一日も早い公費助成が待たれています。
  3つのワクチンの助成は5億円程度あれば、市内の対象者全員に必要回数を全額補助をすることができます。今回決定された普通交付税36億円の一部を活用し、「12月議会に実施を提案するよう」早急な対応を求めました。市は「責任を持って検討する時間が必要。来年度からの実施を含め、早急に検討していきたい」と来年度実施の可能性に言及しました。


■ 日本共産党提案 東葉高速鉄道の意見書可決

 日本共産党が提案した「東葉高速鉄道に関する意見書」が賛成多数で可決されました。
  意見書は「本鉄道への負担が当市の財政を圧迫し行政運営の重大な障害となっている」と指摘。「本鉄道は国が自ら工事計画を定め公団に建設させた鉄道であり、建設費の増大、開業時期の遅れが明らかになったのに工事を継続させたのも国」「有利子中心の資金調達は国が採用したもの。今日の事態はその責任の多くを国が負っている」と国の責任を厳しく告発。政府に「上記の経緯を踏まえ東葉高速鉄道の債務負担を来年度以降無利子とするよう」強く要望しています。
  これが実現できれば、鉄道事業が安定し、料金の引き下げも可能となり、市の負担もしなくて済むようになります。


■ 三番瀬のラムサール条約湿地登録を

 三番瀬のラムサール登録については、県の再生会議や県議会での知事答弁を受け、船橋市側の先行登録の方向へと進んできています。
  2012年の登録を目指す場合、船橋市は今年中に決断しなければならないという段階です。市長の公約でもあることから、その決意を求めたところ、「就任してから三番瀬の重要性を考え、後世に残したいと二期目から公約に掲げてきた。しかし、多くの人が関わる将来にわたった大きな課題であり、ベストな形でやるべきではないかと思っている。船橋漁協の同意についても承知しているが、他にも利害関係者はいる」との答弁がありました。
  具体的な利害関係者として「観光協会、猟友会」などの名前をあげましたが、これらの団体の意見はいつでも聞けることであり判断を先送りする口実にはなりません。市長の決断を求めていきます。

■ 市長が平和市長会への参加意志を表明

 9月議会の中で市長が平和市長会への参加の意思を表明しました。日本共産党は一貫して参加を求めていました。

■ デジタル化完全移行で「テレビ難民」つくるな!

 政府が進める地上デジタル放送への完全移行・アナログ波の停止の2011年7月24日まで1年を切りました。
  全国的にデジタル化の準備が遅れ船橋市内でも、集合住宅のデジタル化は66%、電波障害地域で30・8%とこのままではテレビを見ることができない家庭が出てしまうことが心配されます。
  テレビは災害情報など様々な情報伝達のライフラインとなっており、受信できなくなれば市民生活に重大な影響があります。
  「船橋市として実態を把握し、デジタル化の条件が整うまでアナログ波の停止を延期するよう政府に意見を上げること」を求めました。市は「実態は把握していない」「国への意見も現在のところ考えていない」と答える無責任ぶりです。
  船橋市として積極的に地デジ対策に取り組むことを求めました。

■ 市出張所窓口サービス早急に改善を

 高齢化がすすむ中で、様々な行政サービスを受けるのに、市役所本庁まで行くのは、時間的にも、金銭的にも大変な負担であり、身近な地域で行政の諸手続ができる改善をという強い要望があります。
  市は、1990年に、津田沼連絡所を設置、同年11月「広報ふなばし」では、「これまで身体障害者の手帳交付や保育所への申請、老人福祉サービス、生活保護など福祉に関することは、市役所本庁まで来ていただかなければならず、本庁から離れたところにお住まいの方には大変不便でした」と問題を認識していました。残念ながらその後津田沼連絡所での福祉サービスは、中止されてしまいましたが、改めて「総合的支所設置の必要性が今日高まっているのではないか」と質問しました。
  答弁にたった副市長は「高齢化が進んできて、普段の生活は自立していても、歩行が困難などという方がどんどん増え、今後も増加が予想されるので、新しいやり方について検討していきたい」と答えました。

■ 船橋産の食材を使った給食を

 地元でとれる新鮮でおいしくて安全な農産物や水産物を食材として学校給食に取り入れ、こどもたちに豊かな食教育を実施してほしいと提案してきました。
昨年、7月に八木が谷北小学校で初めて「船橋産学校給食の日」が取りくまれ船橋でとれた米やニンジン、大根、小松菜、卵などの農産物や地魚を使った給食は大好評でした。
他の学校へも「船橋産学校給食の日」を広げるとともに、日常的に船橋産の食材を活用するよう求めたところ、今年度は実践校を増やし小学校3校、中学校1校で実施するとの回答がありました。
  10月に八木が谷北小学校と咲が丘小学校、11月に行田東小学校と高根中学校で実施される予定です。

■ 公園管理に新制度導入を検討 市の責任や公共性は?

 この8月、市から身近な公園の管理を受託している町会・自治会にアンケートの依頼が届きました。「公園の管理にアダプト制度の導入を検討しているのでそれに関して意見を」という内容です。
  アダプト制度とは、希望する市民・企業等が市に代わって公園などの美化活動を行う「里親制度」です。管理料は無料で、保険料や管理に必要な資材等は市が負担をするというものです。
  公園のアダプト制度導入は管理費の削減を目的とした市の「行政サービス改善プラン」に基づき打ち出されています。
  市はアダプト制度では自主企画ができるとしていますが、公園に対しての地域の方々の要望は多種多様です。子どもの遊具ばかりでなく高齢者のための健康遊具をという声もあります。花壇やベンチをもっと増やしてという声もあれば、ものは置かないでという声もあります。限られた空間の中で、地域住民の要望をどう調整していくのか、責任の所在や公共性をどう担保するのか質問しました。
  都市整備部長は「今後小規模な公園2〜3箇所でモデル事業として実施し、事故などの責任の所在、公共性の問題点について検討できればと考えている」と答え、強行する姿勢を示しました。

■ 児童虐待の予防体制強化を緊急に

 2005年の4月から、虐待の未然防止と早期発見が市町村の仕事として位置づけられ、船橋市では「家庭児童相談室」が設置されています。
  しかし、05年当時の児童虐待相談件数118件から、09年は234件に増加。さらに昨年の4〜8月期の相談件数79件に対し、今年同時期は169件と激増しています。
「相談件数は2倍以上も増えているのに配置されている職員の人数が増やされていない。緊急に職員の増員を」と体制の強化を求めました。「人員増について総務部と協議している」と答弁がありました。

■ “絆創膏行政”市「反省します」

 船橋市の行政は、各セクション間の連携がなく、いろいろな部面で齟齬(そご)が生じています。
  例えば、巨大マンション群が建設されるのに、保育園の整備をどうするのかは全く考えず、近隣の保育園の待機児は「保育園1園分」にもなっています。
  船橋小学校の建て替えと近隣の中央保育園の建て替えも迫っているのに、土地をどうするのかを「決められない」。
  各部それぞれが「困ってやること」は、その場しのぎの「絆創膏をはるだけ」。それも用意できないときは、「市民が困る」ことになるわけです。
  「各セクションの『有機的結合』がないからこんな結果になるのでは?」との問いに、市は「そうなっている面は認めざるを得ない。反省し是正する」と答えました。
  いろいろな問題の発生を未然に防ぐためには、この是正を急がせることが大切です。