あの街この町 2006年5月号 NO.178


■ 進んでいたものはほとんどすべて「なくなった」
    2006年度の予算議会から

 今年度の市民のくらしに重大な影響を持つ「船橋市の予算」を審議した議会がおわりました。
 藤代市長が就任した直後「福祉先進都市をめざす」として、他の市以上に予算を付けてきたものが、昨年度で「なくなった」のが大きな特徴です。

 
 68・69歳の医療費助成も、介護保険料も利用料についても、独自の助成は「限りなくゼロ」に近づき、国が決めたもの以外のことはやらない、という姿勢が鮮明になりました。
 もはや福祉について、藤代市長に地方自治体の独自の役割を期待することはできなくなりました。
 
● 財政が厳しくても福祉は「優先すべき市の仕事」ましてや・・・

 市民福祉は、地方自治体の最大の仕事です。
 それは市長も承知していると見えて、これだけ市民いじめをやるのですから、やはりそれなりの「言い訳」が必要だと思ったのか「財政が厳しい」から、として「財政健全化プラン」をつくりました。
 「健全化」とは言うものの「どこが不健全だった」のかなどという説明は一言もないプランです。
 そして行ったのが、公民館などの「使用料の有料化や値上げ」で市民に税金以外の負担の押しつけとサービスの切り捨てです。

● ところが

 今年の予算議会でも日本共産党の調査で明らかになったことは「財政は厳しくなどない」ということでした。
 確かに「お金が余ってこまるような状況」ではありませんが「福祉の予算が無い」ことはありません。
 それより、財政を窮屈にした原因は「乱脈な計画」政治の失敗です。
二つの例を上げます。
一つは、中核市への移行で年間30億円もの事務経費が増えたことです。
 もう一つは、船橋駅南口のフェイスビルが象徴ですが、再開発で巨額の借金を背負い込み、年間10億円もの税金をつぎ込むはめにしたことです。
 この2つだけで、年間40億円のお金が使われるのですが、中核市になって何か良いことが実感できますか。
 さらに昨年は市税収入が伸びて、この3月に8.2億円の「増額補正」もありました。 
 市民福祉を削減する理由は「まったく無い」のです。

低所得者ねらい打ちの「増税と税外負担の増額」
 

 この議会で明らかになったもう一つは、税制改悪でこれまで「非課税」とされてきた低所得者が「限度額の切り下げ」で「課税される」事態が生まれること。
 それに伴って、国民健康保険料や介護保険料の負担も増えること、です。
 年金収入が年額170万円の方の試算が示されましたが、国民健康保険料が現行の4.2倍にもなるのです。
 これではあまりにも極端な引き上げになることから、国は「激変緩和措置」として、2年間かけて4.2倍にする、という政令を出しました。
 「激変緩和」というのは、 「毒劇物と知っているから、薄めて飲ませるような」仕打ちす。増税の税収分を財源に、値上げを中止する、「条例の改正案」を提出しました。
 市は、年金額が低い人でも「そういう方は、資産があるかもしれない」などという無責任な答弁をしました。
 「かもしれない」話しで、政策を決める。これが今の船橋市です。


「みなさんと一緒に、実現しました」
就学援助制度、利用しやすくなりました
 経済的な理由によって、子どもの義務教育にかかわる費用負担が困難な家庭では、学用品や給食費などを援助する「就学援助制度」を利用することができます。
 今年度は全児童生徒に対し、収入の目安として「父母と小・中学生の4人家族の場合、年間総収入がおおむね500万円以下」と記載された、お知らせが配布されました。

● 乳幼児医療費助成制度が拡大
 乳幼児医療費助成事業の入院費の助成について、これまで3歳から小学校入学前までの子どもの入院は「7日以上の入院」という基準でしたが、今年の8月からは、2歳までと同じ「1日以上の入院」になりました。
 これによって、小学校入学前までの子どもが1日以上入院した場合、入院費の自己負担が一日2百円になります。また、「通院についても就学前までに拡大してほしい」との陳情が議会で採択になり、市長も来年度以降の実施について検討してゆきたいと答えました。

● 節約すれば安くなった、下水道使用料
 これまで、船橋市の下水道料金は10までが基本料金とされ、
2ヶ月に一度、下水道の使用料を払う場合には、20までは同一料金となり、使用量の少ない世帯ほど料金負担が大きくなる事態が生じていました。
 市民から、「高齢者は、20なんて使用しない。節約しても負担が軽くならない料金体系は問題」との声が寄せられ、日本共産党として改善を求めてきました。
 今年度
からは、1単位で料金が設定され、ようやく「節約が報われる」ように改善されました。

「後遺症の軽減」期待される市立リハビリテーション病院
   …でも「高い個室料」で、心配される医療格差


 
船橋市は、2008年(平成20年)4月開院をめざし医療センターの西側に病床数200床の「船橋市立リハビリテーション病院」を建設中です。
 この病院は、脳卒中などの発症後に早期に集中的なリハビリテーションを実施することで後遺症をできるだけ軽くし、在宅での生活や社会復帰をめざすものです。
 「後遺症が残り寝たきりになって病院や施設を転々とする」苦労を減らすことが期待されます。

● 「差額室料1日1万5千円」!

 3月議会で、この市立リハビリテーション病院の運営管理を医療法人に委託する指定管理者制が導入されました。
 法人から提出された収支見込みでは、年間2億円余の差額室料を徴収する計画になっています。40ベッドは、平均「1日15000円」の差額室料を取る、という計算になり、医療費を合わせると「一ヶ月50万円以上」の入院費用がかかることになります。
 本来なら、公立病院にこのような「負担能力を理由にした格差」は持ち込むべきではないのです。
 船橋市が用地購入に6億5千万円、総工費57億円をかけて建設する市立リハビリテーション病院を、お金がなければ入院できない病院にしてはなりません。公立病院こそ医療に格差を持ち込まず市民に医療を提供する努力をすべきです。

「石綿新法による申請」は、船橋市の保健所でも対応します


 アスベスト(石綿)が原因で健康を害した住民らを救済するための「石綿新法」が成立しすでに申請の受付ははじまっています。
 特別弔慰金などの給付を受けるためにはまず、保健所か環境省地方環境事務所、環境再生保全機構に申請することになっていますが、船橋市保健所も6名の職員を配置し、申請・相談の窓口となることになりました。
 また、市立医療センターでアスベストの特殊健診・診断・治療を行うには、専門の医師の確保、検査機器やスタッフの充実が必要であるので、保健所や関係機関と連携し、検討するという答弁もしていますので、今後もその方向に進むよう要請を続けていきます。
 さらに、建築物のアスベスト分析調査費や改修費の助成については、「そのような事業の立ち上げが可能かどうか、吹きつけアスベストの実態調査のアンケートの結果を参考に研究したい」と答えました。

「追い立てれば」自立する?「障害者いじめ」の支援法

 4月から障害者自立支援法が施行され、障害者福祉制度が大きく変わり、障害者福祉サービスや医療費が一律に一割負担になります。
 市立「光風みどり園」はこれまでは所得に応じた負担で、障害年金しか収入がなければ無料でしたが、4月からは毎月1万5千円から2万円の負担がかかるようになり、同居の家族に収入があれば3万円もの負担となります。毎月7〜8千円の工賃を得るために工賃の二倍も三倍もの利用料がかかってしまうのです。
 また、マザーズホームや親子教室等で障害のある子どもが日常生活の訓練を受けるのも一割負担となります。
 さらに身体障害者や精神障害者・心身障害児の公費負担医療制度も原則一割負担となります。
 同居家族の所得まで"計算に入れる"なんて、所得のない障害者にとってはいつまでも家族に経済的な負担をかけ続けることになります。
 これでは、「障害者自立支援」とは名ばかりで障害者の自立をはばむものです。
 京都市など各地でこの国の制度から障害者を守るため自治体独自で助成制度を実施するところも生まれていまが、船橋市は「何にもしない」で国の言いなりです。
こんな悪法は、いつまでも続けさせてはなりません。

予公民館使用料値上げ…そして
   免除対象団体、減額取扱団体を大幅に縮小


 公民館は、「地域住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、・・・・」とし、「・・・生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的」として設置されているものです。
 ですから、かつての公民館には、社会教育主事が配置され、住民と共に様々な行事・計画にとりくんできました。
 ところが、最近の公民館は、正規職員の社会教育主事が居ても、本来の公民館活動をしないのがほとんどで、「施設貸し商売」ともいえる状況に変わってきています。
 その結果、本来の活動を「市にかわって進めてきた」のが、地域の社会教育団体です。
 それを認めていたから、これまで「無料扱い」としてきたのです。
 今回提案された「有料化」は、「本来の公民館活動」を進めている団体に「お金を払え」というもので、まったく理不尽な話しです。
 今回の制度改悪で「9千万円の収入を見込む」としていますが、それで財政「健全化」なのでしょうか。
毎年10億円もの税金を投入する「南口再開発」を見直すほうが先だったのではないでしょうか。

予算は、政治姿勢で大きく変わる!
  「日本共産党の予算組み替え案」を研究してみてください
 
  平成18年度船橋市一般会計予算組み替え案

 財源確保のため見直しをするもの(単位:千円)

国有提供施設等所在市助成交付金

市庁舎借地料

本町一丁目市街地再開発事業費

船橋駅南口市街地再開発事業特別会計繰出金

551,600

-61,600

-235,400

-931,693

合  計

7,292,577

新たに追加する事業(単位:千円)

老人医療費助成(68,69歳)

保育所新設費

乳幼児医療費助成(就学前までに)

普通学級への介助員の配置

695,000

200,000

520,000

170,000

合  計

7,292,577

詳しくはこちらをご覧下さい
■ 解 説
○ 国有提供施設・・・=習志野自衛隊基地は「固定資産税を払わない」かわりに、国から「交付金」が支払われますが、その額は国の財政事情で決められるので「少なくて、不安定」。固定資産税相当額を新たに請求。
○ 市庁舎借地料=市役所の建物は、3/4が「借地の上に」建っているのです。その借地料がバブル以降も値上げされていて「べらぼうな額」に。
○ 本町1丁目・・=商業地域の再開発で「ほとんどマンション」のビルをつくる計画に補助金を出す、というおかしな話。
○ 船橋駅南口・・=ご存じ、巨額の借金をつくった再開発。その返済のお金が「毎年・毎年」。


市民の安全真剣な対応を−−児童2人が交通事故の犠牲者に 

 最近、不審者情報などが携帯電話のメールで見ることができるようになりました。
 「狂った大人の仕業」としか思えない事件も多発していますから、市民が不安な思いにかられるのも当然です。
 なぜこんな世相になってしまったのか。この解明も進めなければ「注意や監視」だけで「狂った大人」が居なくなるとは思えません。
 さて、「安全の重要なテーマ」である交通事故で、昨年度は市内で、2人の尊い子どもの命が奪われるということが起きてしまいました。
 この二つは、歩道や横断歩道の整備の遅れや学校の校門近くの細い道路の交差点での事故でした。
 船橋市は歩行者と車の分離は、ほとんど手が付けられずに、「電柱の陰が安全地帯」などといわれる状態が続いています。
 「市民の安全確保」は、避けて通れない課題です。
 もう一度「交通事故からの安全」を真剣に検討すべきです。