2003年 6月23日 538号

●憲法違反の「有事法制」が強行成立
 恒久平和・基本的人権・地方自治を侵害するもの


 有事関連3法案が、多くの国民の反対にもかかわらず、与党と民主党・自由党の賛成で成立しました。
 有事法は、日本をまるごと米軍の不法な戦争のための兵たん補給基地に変え、地方自治体や指定公共機関、民間事業者などに、有事が「予測される事態」でも米軍支援を強制するものです。多くの自治体が「地方自治体の責任の内容が明らかでなく、慎重審議を求める」意見をあげていましたが、それも示されないまま強行されました。憲法の平和原則、基本的人権とともに、地方自治権を侵害するものです。

アメリカが起こした戦争に、日本国民に協力要請が

 イラク戦争では何ヶ月も前から米軍は周辺地域に軍隊を派遣し、陣地を築きました。アジアで米軍が先制攻撃を開始し、「予測事態」となったら、米軍がアジアで戦争をする時の陣地を日本に築くというのが有事法です。千葉県は国際空港である成田空港があり、東京湾に面した京葉港などの港湾施設が米軍から施設使用や兵たん、補給支援の協力を求められる可能性があります。
 医療、宿泊、給食、施設建設、給水、ゴミ・汚水処理など、様々な業務が自治体や民間に要請されます。船橋市には下総基地、習志野基地があり、周辺の土地、建物への協力要請や、医療センター職員をはじめ、市の職員の派遣を求められることなども考えられます。

市長は、いつの間にか「市民の財産を守る」とは言わなくなった

 このように、米軍支援に市民も行政も否が応でも巻き込む有事法制が通ってしまったことへの市長の見解を聞きました。
 市長は「国として有事に備えるということは必要。危機管理という面から法整備は必要で、成立は意義あること。市町村の役割は国民保護法制定の中で各自治体の意見を出していくものと考える。市民の安全を期するため、どのような状況にあっても全力を尽くす」と述べました。
 米軍支援の「周辺事態法」がある中、今回の「有事三法」で、自治体、民間の米軍支援が義務として強制されることが決められ、市民の基本的人権も地方自治体も侵される法整備を“意義ある”と言う市長が“市民の安全を期するために全力を尽くす”と言っても、とても言葉通りには受け止められません。まして、これまでの議会で繰り返し言ってきた“市民の生命と財産の安全確保第一に”の言葉から「財産」という言葉を、いつの間にか言わなくなっています。有事法制で市民の財産が狙われた時、市長は“もう守らない”ということでしょうか。こうした姿勢では、とても安心して市長の職務を任せられません。


●保育園民間委託問題
 船橋市の保育事業は、園によって保育水準に格差
 市の責任で、市立保育園並の水準維持を!


 これまで、船橋市では、行政と保護者との努力によって、質の高い保育水準が維持されてきました。公立保育園では、看護士・栄養士の配置、直営方式による給食でアレルギー除去食の提供、職員の配置基準、保護者の実費負担の配慮(保育料以外は取らない)などが行われており、保護者からは「公立だから安心」という信頼を得ています。市内では、公立保育園の設置数が多いことから、市内の私立保育園にも影響を与え、船橋市全体の保育の水準を引き上げるという本当に大切な役割を果たしてきました。
 ところが、船橋市は、新たに設置する「民設民営」方式の保育園の法人に対して、同じ市の保育事業でありながら、これらの公立保育園とは別の基準を提案しています。今回、市の提案した「保育の基本条件」には、「1定員 2開所時間 3対象児童の年齢 4所長の配置 5一時保育・休日保育の実施 6待機児童解消に努力を求める」という内容が明記されているだけで、「看護士・栄養士の配置」など全く含まれていません。今議会でこうした市の対応を質したところ、市は「最低限、保ってほしいところは条件に付させていただいた」として、公立保育園の優れた内容を基本条件にはせず、「民設民営」方式の保育園には最低条件を設定したことが明らかになりました。
船橋市が選択した「民設民営」方式では、公立保育園並の水準は確保されません。新たな市の事業での「民設民営」をやめさせること、既に法人が決定している保育園では、保育内容を直ちに是正すべきです。
 市の優れた保育を守るために、引き続き、皆さんと力を尽くします。


●三位一体の改革 船橋市民への影響は

 三位一体の改革が連日報道されています。国の仕事を地方に渡し、財源を地方に渡し、国庫補助金・負担金と地方交付税の削減を一体として「改革」するというものです。6月18日「経済財政諮問会議」は、国庫補助金4兆円を削減し、その内の8割の税源を地方に移譲する方針を決めました。つまり8千億円分は切り捨てとなり、船橋市の福祉教育などにしわ寄せは必至です。藤代市長は、「税源移譲の先送りは許せない」との意見書を政府の審議会委員に送りましたが、今回の「経済財政市民会議」の決定は、市長の要請書にも反するものです。藤代市長が、地方切り捨てという小泉政権の悪政を追認しないよう要請してゆきましょう。