あの街この町
 2009年11月号 No.191

 駅前に社会福祉会館があり、多くの高齢者・障がい者が習志野駅を利用されています。
  いまだ新京成電鉄はこの駅の無人化計画を撤回していません。


■9月市議会
自公政権時の「不安定な交付金」使う補正予算を可決

  ― 評価できるものもある一方、「ムダ使い」も

 市議会第3回定例会が9月3日から29日の会期で開かれました。今議会では市長から自公政権時代の名残とも言える交付金を使う補正予算が提案されました。
  今回の補正予算には防災備蓄倉庫の整備、失業者への住宅手当の支給、介護従事者への研修費補助、私立保育所への補助増額、駅エレベータ設置補助、商店街街路灯省エネ電球化など市民のくらしに役立つものも盛り込まれました。
その一方、年4〜5回しか使われていない総合体育館の大型映像装置の更新費用に1億8千万円が計上され、日本共産党はこの予算を削除する「組み替え」を求めました。
  この他、市立リハビリテーション病院の条例が改定されショートステイが実施できるようになり、坪井公民館の新築工事請負契約も決まりました。   
  また合併・政令指定都市の「調査研究を行う」とする特別委員会の設置が決まりました。日本共産党は合併にも政令市移行にも賛成できないので特別委員会設置の必要はないとして反対しましたが、賛成多数で設置が決まりました。
  政権が交代し、政治の転換に注目が集まる中で、高速道路無料化反対や公契約法制定促進の意見書が可決される一方、保守会派が多数で「八ッ場ダムの早期完成」を求める意見書を可決するなど、まだまだ自公政権の流れから離れられない議員がたくさんいるのが船橋市議会です。

  ― 市が発注する仕事での低賃金改善を

 野田市は、市が発注する公共工事や業務委託などに携わる労働者に、市が定める「最低額」以上の賃金を支払わなければならないとする全国初の「公契約条例」を制定したことで注目されています。
  船橋市でも、下水道幹線工事等の契約の入札が、予定価格の62%、72%という低率で落札されていますが、この低価格が下請け労働者の労働条件の悪化につながる危険性もあります。
  日本共産党議員団は、働く貧困層問題解決のためにも、公契約条例制定に向け準備を進めること、試行されている建設工事契約の「総合評価制度」に、賃金に関する評価項目を加えることを求めました。
  総合評価については、「賃金条項を加えることを検討していく」、公契約条例については、「重要性は認識している。他の団体と意見交流し研究していきたい。」と答えるにとどまり、野田市のような積極的な姿勢はみられませんでした。

 


■学力の低下、健康被害にまで

  ― 深刻な影響が心配される「子どもの貧困」

 児童福祉施設や学校、保護者から、国や地方自治体が「子どもの貧困対策」に力を入れてほしい、という声が広がっています。
  貧困は、学力の低下や健康被害、児童虐待や不登校の原因の一つになっていること。
  また親の貧困が子どもへと世代間で継承されるとの調査結果があり、一日も早い改善が求められています。
  船橋市としても、まず実態調査を行うことや、教育費負担を減らすこと、インフルエンザの予防接種などは公費負担にし、家計の状況で子どもに不利益が生じないようにすることを求めました。
  市は、国や県の調査結果を活用し、現在策定中の「次世代育成支援後期計画」の中で対策を検討することや、学校で使用する補助教材は「学校に指導する」ことを明らかにしましたが、新型インフルエンザの予防接種についての公費負担については明言されませんでした。
  一部学校などで提出を求めているインフルエンザ等の「治癒証明書」については、「提出を求めない」ことを各学校に周知徹底すると答弁しました。

■急がれる「特別支援学級の増設」

-- 1校は22年度に開設の方針

 特別支援学級には、学区外の広範な地域から児童・生徒が苦労しながら通学しています。
  障害を持つ児童・生徒が安全に通学し安心して学べるように、新たな学校に特別支援学級を設置し、3学級以上になっている小学校が3校(三咲、海神、夏見台)、中学校が2校(二宮中が4学級、高根台中が3学級)を分離するよう求めました。
  市教委は、「八木が谷地区から三咲小へ通っている児童が多いことから、八木が谷小、八木が谷北小の2校を候補として平成22年度での分離を検討している。海神小、夏見台小、二宮中、高根台中についても、対象となる児童・生徒数の将来的な推移、通学の安全性、設置する学校施設の状況等の観点から現在検討している」との答弁がありました。

 


■海老川上流80ヘクタールの開発計画
  「積極的な理由は見出せない」のに「大事な場所」?

 
海老川上流域(写真)区画整理事業は、土地所有者による組合施行として計画され、農地約80ヘクタールを宅地化するものです。総事業費が371億円、税金投入138億円を予定。既に1億円超を支出しています。
  この計画について、市の委託を受けた研究所の報告書では、「大規模土地区画整理事業が他にも見られ、これ以上区画整理事業を実施して、市街地を拡大する積極的な理由は見いだせない」と指摘しています。   
  日本共産党は、「この報告に従って、計画は中止すべきではないか」と指摘しました。
  ところが、市長は「この地域は、大事な場所だと考えている。開発には、地権者の9割の同意が必要と考えている。今後については、地権者ともよく相談して進めてゆきたい」と答えました。
  大事な地域というなら、新鮮・安全な食糧の供給、防災、などの重要な機能を持つ「農地として保全」すべきです。

■「行政の手抜き」が生み出した「貧困ビジネス」

-- 船橋市も「お客を紹介する?」

 このところ頻繁にマスコミに報道される「貧困ビジネス」。
  路上生活者を狭い部屋に収容し住宅扶助いっぱいの家賃をとり、水道光熱費相当額や食費として保護費のほとんどを徴収し、本人が自由に使えるお金が「月に六千円だけ」などと相談に来られる方がでています。
  貧困ビジネスというのは、困窮者を犠牲にし、生活保護制度をくいものにして儲ける仕事のことで、全国に広がり問題を引き起こしています。
  市の福祉事務所が、そんなビジネスのために生活保護者を紹介している疑いがあります。
  日本共産党議員団控え室に市川市にある「○○機構」などと、あたかも独立行政法人のような名前の団体名が書かれた「名刺のコピー」を持たされて「ここに行くように言われた」という方が訪れたこともあります。
  「○○機構」は、疑いなく「貧困ビジネス」です。
  こんな「ビジネス?」をはびこらせるのは、「公的な一時避難所」がないからです。
  路上生活をよぎなくされた人たちを「一時避難所↓アパート」という手順を踏むことができないために、貧困ビジネスを紹介してしまうのです。
  行政の責任放棄というしかありません。

■「意見書審議経過」に見える、自・公議員の胸の内

-- まだまだ反省できない?

 総選挙で誕生した新政権に提出する意見書を審議している中でみえたもの・・・。
  『後期高齢者医療制度の廃止等に関する意見書』では、公明党の議員が「(後期高齢者医療制度は)若者負担の抑制を考えた制度で、時代にマッチした制度である」から反対。
  耀(かがやき)の議員は「高齢者に応分の負担を求めてこれからの医療費の抑制を図る必要がある」と述べて反対。
  与党時代にこの医療差別を持ち込んだ政党の人たちですから、国民の怒りも理解できないし「反省もできない」のでしょう。
  また、『高校授業料の無償化等に関する意見書』では公明党の議員が「所得の高い世帯も含めて一律に無料化するのはいかがなものか」、耀の議員が「親の所得の低いことを理由に(すでに)授業料の減免を受けている。メリットが少ない」と反対した。
  他にも『給付制奨学金の創設に関する意見書』にも反対しました。
  国民の厳しい審判を受けても反省できない人たちのようです。


■受診率低下招いた「メタボ健診」

-- 「医療費の抑制が目的」

 健康診断のやり方が、昨年4月から大きく変わりました。
  以前は自治体が無料で行っていた健康診断(基本健診)が、国民健康保険や後期高齢者医療保険、健康保険組合など加入する医療保険ごとに行うことになりました。健診内容もこれまでの総合的な健康診査から、検査項目が減らされ肥満をチェックする「メタボ健診」に変わりました。
  ガン検診は引き続き自治体が行い、さらに介護保険に関わる健康診査(生活機能調査)もあり非常に複雑です。
  その結果、市民にはわかりにくくなり健康診断、ガン検診とも受診率の低下を起こしています。
  受診率の低下は国の健診制度の変更による全国的な問題で、「メタボ健診」の導入は「医療費の抑制が目的」で後期高齢者医療保健制度と一体として自公政権によって進められたものです。後期高齢者医療保健制度の廃止とともに健康診断制度も元にもどすべきです。


■2009年9月議会

-- 意見書・請願・陳情に対する各会派の態度は



このほか、日本共産党が今議会で取り上げた問題
●幸福の科学が政治活動に使っている施設が非課税でよいのか
●家具転倒防止器具取り付け工事助成について
●障害のある子どもたちへの学校施設整備と人の配置
●介護保険サービスの自己負担について
●北総鉄道運賃の値下げについて
●北部清掃工場の計画について
●消防職員の性的暴行事件について