あの街この町
 2010年7月号 No.194




■ 6月市議会 財政がきびしいと言いながら
  北口駐車場2億円の歳入放棄
  リサイクル施設はメーカー言い値の見積り
  

  6月議会では市長から補正予算、市職員の育児休業や研修のための休業制度創設、国民健康保険料限度額引き上げの条例などが提案されました。日本共産党は、「消費税の増税に頼らない財政健全化をはかる意見書」など7本の意見書を提出し、その内「医療センター運営費に対する県に応分の負担を求める意見書」が全会一致で可決されました。また、総務省のキャリア官僚を副市長に選任する議案が市長から出されました。国言いなりの人事に日本共産党は反対しました。脱官僚をかかげる民主会派は賛成しました。  

―  北口駐車場便宜供与の是正を

 船橋北口駐車場は、船橋市の道路の下に設置されていますが、駐車場を設置経営しているのは椛D橋都市サービスです。2010年3月期決算では、売上 6.9 億円に対し、利益が 1.1 億円も出ていますが船橋市への配当は175万円だけです。この駐車場の回りのコンクリートの駆体は、船橋市が 37 億円もかけて建設しています。市はこの駆体の貸付料として年間5千8百万円しか徴収していません。管理費及び金利分は含まれていません。また、駆体に囲まれた空間についての使用料は全く徴収していません。こうした実態が船橋市の外部監査人(公認会計士)から「会社に便宜を供与している」と指摘されることになったものです。

 本来なら「使用料金も徴収することができ、金額を算定すれば年間2億円を超える金額になります。どうするつもりか」と聞かれた市は「会社と協議させていただきたい。算定方法について勉強させていただきたい」と答えました。
  市民にはお金がないと福祉を大幅に切りすて、民間会社に特別な便宜の提供では、道理がありません。

―  「DBO方式」でまたまたムダ使い?「資源リサイクル施設」の不思議

 現在、北部清掃工場の敷地内でリサイクル処理をしている「資源リサイクル施設」を西浦事業所跡地に「新設して移転する」という計画をすすめ、建設費と運営費の総額 67 億円の「債務負担」(2010年〜2027年の延べ払い)を組むことが提案されました。

 運営も「DBO」方式というやりかたで、お金はすべて船橋市が負担し、施設建設も運営も民間に任せるという方法です。

 不可解なのは、現在の民間所有の破砕機より「新鋭機」を整備する、などと説明しているのですが、日処理能力は 63 d。現在の機械の 92 dより小さいこと。その上、処理費用もトン当たり237万円から412万円と、とんでもなく高くなることです。プラントメーカーなどの一方的な見積りや説明を鵜呑みにしているようです。

  正式契約の段階で、厳しくチェックしなければなりません。

 


■ 6月議会で一歩前進

■子宮頸ガン、ヒブ・肺炎球菌ワクチンの市費助成の陳情採択

 新日本婦人の会が提出した3種のワクチン接種に市の助成を求める陳情が全会一致で採択されました。

■「船橋市立医療センターに関する意見書」を全会一致で採択

 船橋市立医療センターは、千葉県の東葛南部保健医療圏の3次救急救命センターに指定され、脳卒中や急性心筋梗塞の拠点病院に位置づけられています。それなのに県は人件費や機器購入費用などの負担をしていません。日本共産党は、県に対し応分の負担を求める意見書を提案し、全会一致で採択されました。

(2面に陳情等への各会派の態度の一部を掲載)

■生活保護をくいものにする貧困ビジネスに関する質問で

「劣悪な居住環境の施設に入居している生活保護受給者が、アパートに入居できるようにする」と答弁。


■「命守る」思いは同じ
  医師連盟船橋支部と懇談

 日本共産党議員団は、4月に市医師連盟と懇談をもち「市民の命を守る」という共通認識を確認することができました。また、市医師会が運営している夜間救急診療所や市の特定健診の問題などが出され、6月議会の質問で取り上げました。

-- 夜間休日診療事業は市の責任で実施を

 夜間休日急病診療事業(夜急診)は1973年に医師会の協力で診療所が設置されて以来、医師会が開設者となり運営されてきました。

 2008年 11 月に医師免許のない者が夜急診で医療行為を行ってきたことが発覚し、医師会の医師の方々から「夜急診は市が責任を持って実施すべきだ」との声が上がっています。

 市が公設公営で夜急診療事業を行い、診療は医師会の医師に協力医になっていただいて実施するよう求めました。

 市は「公設公営が一番理想であるが、医療公社等に委託できるかどうかも含め検討したい」と答弁しました。

-- 特定健診の受診可能期間を通年に!

 船橋市の特定健診の受診可能期間は5月1日から 12 月 31 日となっています。

 受診可能期間を延長し、特定健診を受けやすくするよう求めたところ「通年にすることが可能かどうか現在検討中である」との答弁がありました。

■わずか5ヶ月で船橋市の保育のあるべき姿を検討?
  強引な運営の「あり方検」

 この4月から「船橋市保育のあり方検討委員会」が行われています。

 会議の開催は、今年の 11 月までに最大で 13 回の開催を予定、8月には一次報告を提出、二週間に一度のペースで開催され市民の傍聴が困難、発言途中で中断されるなど、強引で性急な運営が行われています。

 今議会で、この「あり方検」の運営について、なぜ強引な運営を行うのか、本市の保育のあり方全体を検証するなら急ぐべきではないし、公立保育園の早急な民間委託が目的であるならやめるように、市に求めました。

 市は、短期集中的なやり方にしていると答弁し、その理由については答えませんでした。

-- 公立保育園の民営化約束は事実無根

 5月には、一部地域で配布された長谷川大議員(市政会)の作成したビラに、 市と協議し公立保育園の建替を期に民間委託する約束をとりつけた という記述があり、日本共産党は本会議で「事実か」と質問。
市は「議会で答弁した以上の事があるわけではない」と答え、事実と異なる記述であったことが明らかになりました。
  同会派の別な議員が新規建て替えに合わせて民営化を迫っていることに対し、市は、「あり方検討委員会の結果をふまえて検討する」など、民営化の結論を「あり方検」に丸投げするかのような答弁を行っています。「あり方検討委員会」の運営について、今後も監視が必要です。


■育児休業制度改善
  …でも男性の取得は進む?

 市職員の育児休業制度が、配偶者の就業の有無にかかわりなく取得できるなど、男性に配慮した内容に改善されました。

 2009年度に育児休業を取得した市職員(常勤)は4380人中175人で、全て女性でした。また、市民サービスに密着している部署で働く職員は時間外・休日出勤があたりまえで、育児休業どころではありません。これを改善する人的配置がなければ制度も絵に描いた餅になってしまいます。

  「制度活用のためには人の配置が不可欠」との質問に、市は「取得を呼びかける」との答弁だけで、制度の活用をすすめる姿勢は示されませんでした。

■日本共産党議員が質問で取り上げた内容

●緊急雇用対策
●失業者への支援
●福祉の切り捨て
●UR建て替えと余剰地について
●放課後ルームの問題
●習志野自衛隊の騒音問題
●東葉高速線の問題
●身近なスポーツ施設の増 設を
●スクールガードについて
●貧困ビジネス
●三咲駅前広場について

-- 議会傍聴記

 せめて、来年度の小学2・3年生が学級減にならないように市費で先生を増やしてほしいというのは、ずいぶんささやかな要望だと思うのですが、それさえも認めない議員の多いことにことにびっくりしてしまいました。 

  西浦資源リサイクルセンターは、施設費も運営費も市で試算せず、全くのプラントメーカーの言うがままで、びっくりしました。

 これは大問題なので、会計検査院にも行って調べてみたいと思います。施設費は 10 億円くらいでできるのではないでしょうか。(Y)