あの街この町
 2011年8月号 No.197


■ 6月市議会 震災や放射能汚染から市民を守る市政へ

 改選後初の定例議会が終わりました。
 東日本大震災の復旧や被災者支援など、総額16億1014万8千円の補正予算が全会一致で可決しました。
 今議会は、地震や福島第一原発による放射能汚染からどのように市民を守るのかが課題となりました。
 現市政には今回の震災の経験を将来に教訓として残す義務があります。日本共産党が、震災の総括をどう行うのかただしたところ、副市長は「記録をまとめ工夫して提示する」と答えました。
 市長から提案された船橋市独自の被災した住宅の改修費助成制度は、当初対象外だったマンションの共有部分も対象になり、議会の審議を通じ、市民の声が幾分反映されました。
 被害の大きい海浜公園の復旧費では流水プールの復旧が外され、存廃も含め検討していることが明らかになりました。
市民に親しまれている流水プールの今後については市民の声を十分反映したものにするよう求めました。
 この他、日本共産党が要望してきた海神駅のバリアフリー化や、行田の国家公務員体育施設を取得する意向が市長から示されました。

■ きめ細かく継続した放射能測定を

 福島第一原発の事故による、放射能汚染への不安が広がっています。市は6月上旬、市内11か所で測定を行い、「国の指標を下回った」と発表しました。しかしこの指標は非常事態にある福島県内のものです。
 「平常時における国際的な年間基準1ミリシーベルト、1 時間あたり0・1 9マイクロシーベルトを対策の基準とすること」「学校、幼稚園、保育園、公園については、すべての箇所で測定を継続して実施すること」を求めました。
 環境部長は、「(年間)20ミリシーベルト以内は文科省の目安。あとは、いまこの値でどうやって対応するかは、(市民が)それぞれで考えていく必要がある」「測定は土壌の調査結果を受けて考えたい」と答えました。
 その後、市は調査箇所を16か所に増やしましたが、市民の不安に答えるものではありません。ひき続き、子どもたちが日常生活する場所のきめ細かい測定と汚染対策を求めていきます。


■議員の海外視察復活許すな!

 今年10月、姉妹都市25周年記念に際し、米国・ヘイワード市を市長・議長らが訪問します。訪問には、自費負担の市民団も募り、記念式典等への参加と交流を深める計画です。
 この計画に自由市政会から、「議員も参加させてほしい」との声があがり、議長から「公費を使って議員をヘイワード市に訪問させる提案」がされました。
 中止になっていた海外視察の復活は許せません。議員も自費で市民団に参加すればよいことです。


■ 被災住宅に市独自の助成制度実現

 瓦屋根、塀、浄化槽の破損等々、東日本大震災で被災した住宅等の補修費用の2分の1(上限50万円)を助成する制度が実現しました。液状化被害では、県の助成制度と併用できます。
 市の制度は戸建住宅、分譲マンションの専有部分、共有部分(管理組合が申請)を対象に助成。
 日本共産党は、震災直後から、震災での住宅被害に、市の独自支援を求めてきました。
■制度の問合せは
  被災者総合相談窓口
  電話047-436-2568


■ 保育園「民営化」は一時中断

 市は、政府がすすめる「子ども・子育て新システム」にあわせるためとして、「市立保育園の民営化」の動きを一時中断すると表明しました。
 新システムは「保育園を整備する自治体の責務をは ずし、自治体は情報提供だ
けで保護者が施設を探して直接契約する」とされ、民営化は中断したものの保育内容の低下が懸念されます。


■ 待機児童の解消を

 市内では、584人もの子どもたちが認可保育園に入れず待たされています(6月1日現在)。さらに、定員に対し平均110%の児童を受け入れており、待機児童と合わせた保育園の定員不足は1430人分にのぼっています。市は、「待機児童対策を市政の最重要課題として積極的に取り組んでいる」と答弁しました。しかし、今年度中の定員増は352人、待機児童解消にははるか及びません。
 また、今議会に提案された二和保育園の耐震化工事に合わせて定員を増やすことを求めましが市は、「二和ではできないが今後はできる限り定員を確保したい」と答えました。


■ 防災対策の強化を。
  
日本共産党は、ひきつづきとりくみます

●避難所にもなる学校施設の耐震化を早く!
 文部科学省は、2016年3月までに小中学校などの耐震化を完了するとして整備指針を公表しました。
 船橋市の「市有建築物の耐震化整備プログラム」では、2016年に耐震化率90%を目指すこととなっていて、文部科学省の整備指針と一致していません。
 今議会では、せめて国の方針どおりすすめるよう求めました。
 教育委員会は、「耐震化を促進すべく努力する」と答弁しました。

●「防災無線が聞こえない」――未整備地域の解消を
 「防災無線が聞こえない」という声が多数寄せられています。現在市内で防災行政無線が設置されているのは169箇所。未整備地域が28箇所も残されています。「藤代市長就任からの4期14年間で、わずか9箇所しか増やしていない。未整備地域を解消する計画を至急策定すべき」と質しました。松戸副市長は、「設置したが『うるさいから撤去してくれ』といわれて撤去した例がある。町会・自治会の総意として言ってもらえればつける。未設置地区で本当にコンセンサスが得られているなら充分予算措置はしていく」と答えました。

●消防力の不足は異常事態。整備急げ
 市民にとって消防署や消防職員の存在はいざという時の命綱ですが、船橋市の消防体制は国が示す基準に遠く及びません。
 消防署や出張所などの署所の数は、基準の17か所に対し13か所しかありません。消防職員数は、基準の850人に対し601人で249人も足りません。「これではいざという時市民の命を守れない。不足解消は急務ではないか」と質しました。
 水野副市長が答弁に立ち、「他の自治体に比べて本市の消防体制が特別劣っているという事実はない」などとしつつ、「今後、人口の推移、高齢化の推移など消防上の需要に応じて検討していきたい」と答えました。

陸前高田市に派遣された船橋市消防局職員
陸前高田市に派遣された船橋市消防局職員



■ どんな議会を目指すのか?
  「議員のあり方検討特別委員会」が設置されました。

 選挙後の新しい「議員の構成」が決まりました。各会派(※)から、「議会の改革」についての提案がなされました。
 日本共産党議員団として提案した改革案の主なものは @予算・決算特別委員会の「時間制限」をやめること A本会議の開会時刻を午前10時から開くことを原則とし、質問時間をもっと長くすること B各常任委員会を別々の日に開くようにし、すべての常任委員会の審議を他の議員も傍聴できるようにすること C議会の審議状況をテレビ放映すること…など11項目です。
 しかし設置されたのは「議員のあり方検討特別委員会」で、ことによると審議を形式的なもので良い、という主張も出てくる可能性もあります。皆さんの注目をお願いします。

(※)市議会の会派=政党名を名乗っているのは私たちの「日本共産党」、それに「公明党」「民主党」「みんなの党」の4つの会派で、あとは一種の「サークル名」みたいな「会派」を結成して登録します。



■ 6月議会の陳情や発議案

日本をよくする県民の会「市立中学校の教科書採択に関する陳情」は各地の地方議会に「新しい歴史教科書をつくる会」がだしているものと同一の内容です。歴史を歪曲し日本国憲法を敵視する教科書を採択せよという教育への不当介入の陳情ですが、保守・民主党・みんなの党によって採択されています。

「政党助成金を被災地の復興支援に充てることを求める意見書」は「政党交付金は政党の活動を支える制度として定着している。復興財源は政権与党が責任を持つべき」(公明党)などの主張により不採択に。日本共産党は「被災地は塗炭の苦しみにあり、政党が助成金をもらい続けることは許されない」と主張し賛成しました。

日本共産党は議員発議の意見書として「被災者主体の復興支援」「消費税増税によらない復興財源」や「福島原発事故対策と原発の計画的廃止」「介護保険法改悪反対」の意見書を提案しました。

6月議会の陳情や発議案



■ 市民の前でも言うのでしょうか?

被災者に冷水をかける発言
 震災被災者の生活再建に公的支援が欠かせませんが。
 地震で被災した市民を救済する被災住宅改修費助成制度について自由市政会の長谷川議員が「被災した家屋に問題があるのではないか」「地震に備えた人が馬鹿を見る制度ではないか」と質疑。
 同じく被災した低所得者への貸付制度についてみんなの党の中原議員が「かわいそうな人にものすごい手厚い支援が進むことを危惧する」と発言。
 被災者に冷水を浴びせるものではないでしょうか。

●放射能汚染調査公明党が反対
 学校、保育園、食材などへの放射能汚染の調査を求める陳情が出されました。公明党は「市民の不安を取り除くためには、専門家の講演による正しい知識と情報をみんなが理解することが大切だ」と不採択を主張。市内の放射能汚染調査に反対しました。