あの街この町 2003年7月号 NO.167
船橋駅

 船橋市内には30を越える駅があることを知っていますか?
 それぞれの駅には、それぞれの物語があります。
 ここは、船橋駅南口前、完成したばかりの再開発ビル「フェイス」がそびえ立ちます。
 計画が始まってから、30年近い歳月がすぎ、その間に社会が大きく変化し、バブルの時代も、その崩壊の時代もありました。
 そして、今は…。このフェイスのために百億を超える「開発のツケ」が市民に押しつけられているのです。


6月議会 船橋市長と与党は、庶民いじめの小泉内閣応援団

 船橋市議会の改選後初めての6月議会が開かれました。新しく議員になった方も質問にたち、新鮮さも感じられた議会でした。

国いいなりの市長提案

 市長の提出した議案は、国の税制制度の改悪をそのまま移した下請け議案と言ってもいいものです。配偶者特別控除を縮小したり、特別土地保有税の凍結で「土地の売買をしやすくする」など、市民には増税、大企業や大きな資産家などには減税になります。そのため、影響を受ける市民は7万3000人にものぼり、さらに、新たに課税者となる市民も4000人にもなります。しかし、全体として税収は落ち込み、市の財政にとってはいっそう深刻な事態を招く改悪です。
 また、国民を監視するものとして批判されている「住基ネット」(住民基本台帳ネットワーク)の運用をしやすくするためとして、「カードを交付する」ための条例も提出されましたが、このカード発行には税金の投入も仕組まれています。

●「庶民いじめ」にはキッパリ反対――日本共産党

 議会では、これらの問題に正面から問いかけたのは日本共産党の議員団だけでした。
 日本共産党と市民社会ネット以外の会派のみなさんは、国のすすめる悪政にも「国が決めるなら、何でも仕方がない」とでも考えたのか、あるいは「地方自治を忘れた」のか、とにかく全部に批判もなく賛成しました。ここには新しく議員になった方もほとんどが組み込まれています。

●地方自治をおびやかす有事法制にも市長は批判な

 もう一つ、国との関係では「有事法制」への対応についても、「国のいいなり」市政が現れました。市民の財産を強制収用までできるという、憲法違反で地方自治体にとっても重大な影響を持つこの法律に対しても、市長は何の批判もなく「受け入れる」という姿勢に終始したこともこの議会の特徴でした。
  「自治を忘れた地方行政」は戦前への回帰の一歩ではないでしょうか。心配です。


◆監査委員の人事で、むりやり共産党を排除
 日本共産党に見られると困るのは、どうして?

●改選後の臨時議会で……

 市議会議員の選挙後、議会内の人事を決める「臨時議会」が5月に開かれました。議長や副議長、それに委員会の所属やそれぞれの長などを決めるためです。
 ここで一番時間を費やしたのが、議会選出の監査委員の人事でした。監査委員は、市のお金の出し入れはもとより、事務についても独立した権限を持って監査することができる、重要な人事です。
 船橋市議会内で第二の会派である日本共産党は、当然のこととして「監査委員」に1名を選出してもらいたい、と申し入れをしました。
 ところが、日本共産党には「監査は渡せない」とばかりに、このことになると必ず他の会派が一致して抵抗するのです。
 理由として考えられるのは、市の事務を共産党に見られると都合が悪いことがある、ということです。
 それもそのはず、市役所の建っている土地の借地料のデタラメさ、議員の名前がちらつく土地を法外な値段で買い取るなど、議員の側にもすねに傷があるとなれば「共産党にだけは見せられない」ということかもしれません。
 ですから、「市の監査委員に日本共産党が就くかどうか」これが、公正な行政事務を行っているかいないかの判断基準でもあるのです。
 市民のみなさん。この点に注目しておいてみてください。


船橋駅南口再開発に毎年7〜9億円の貸付のために、
福祉・くらしを削るなんて!とんでもない!
●日本共産党が条例を提案
 68歳 69歳 医療費補助の継続を


8月から医療費負担が3倍に

 船橋市では、今年の8月から、老人医療費の助成対象者の条件が変更されることになり、現在の対象者のうち7割に当たる6400人が制度を利用できなくなります。糖尿病患者の方などからは「今でも一回8000円かかるのに、3倍になったら支払いが2万円を超え、とても払えない」といった悲痛な声があげられています。
 こうした市民の声を受けて、日本共産党は対象者を「改悪」前に戻すための条例を市民社会ネットと共同で提案しました。市は3月の条例改悪の際、経済情勢の低迷、国の制度変更、急激な高齢化など「財政難」を理由にあげましたが、日本共産党は「ムダな開発を改めること」で財源はつくれることを示し、その理由一つひとつに反論しました。
 結果は、自民党・保守派や公明党などの反対多数で、残念ながら否決されてしまいましたが、市民社会ネット、民主・市民クラブ、日本共産党が賛成し、実現へ向け一歩切り開くものとなりました。日本共産党は引き続き、市民のみなさんと共同を強め、実現するためにがんばります。


市の未来に責任を負って……

 改選後の本格的な論戦となった6月議会。私たち議員団は、医療の問題、介護などの福祉の問題、まちづくりの問題など、いろいろな角度から問題を取り上げました。
 「財政が、右肩下がりだから」とか、「受益者負担が原則だから」とか、市は努力もせずに本来の仕事を手抜きしています。
 たしかに税収は、国の政策の失敗で落ち込んでいますから、バブル期のように「むだ使いのゆとり」は無いかもしれませんが、財政力は決して弱い市ではありません。
 だからこそ、今までの船橋市は「地方交付税」が国から配分されない、全国でもわずか3%の少数派の自治体だったのです。
 議員の発言の内容は、インターネットでもご覧になれます。ぜひ傍聴の時間がとれない方は、船橋市議会のホームページにアクセスしてみてください。

●国民健康保険料 減額・免除で一歩前進

 「国保料が高すぎて払えない」――国保料の滞納世帯が急増し、国保制度そのものを崩壊させるような実態になってきている今、支払える国保料への対策をとることが必要です。
 日本共産党は、くり返し「減免基準を作るべき」と市に求めてきました。さらに「介護保険では低所得者への減免基準があるのだから、国保でも同様に減免基準を作るべき」と主張しました。
 市は、「低所得者への減免はできない」としながらも、失業などで収入が減少した場合に減免する『新しい減免要綱』を作成しました。
 低所得者への減免は今後の課題になりましたが、減免要綱ができたのは一歩前進です。

●津田沼駅〜新津田沼駅間 乗り換え安全対策

 昨年6月議会で、乗り換えの不便さ、歩行者の安全対策について、日本共産党は改善を提案してきました。
 今回の議会で、市は「習志野市から『平成15年度に津田沼駅周辺のバリアフリー化計画を策定し、17年には北口にエスカレーター設置などしてい行きたい』との提案があり、船橋市も財政負担など積極的に対応していきたい」との答弁がありました。また「放置自転車、はみだし看板などの撤去も引き続き協議していく」との答弁でした。

●自衛隊訓練に協定締結を求める

 自衛隊を海外に派兵できる有事法制が強行成立し、今後は自衛隊の訓練が、増えていくことが予想されます。しかし、現在、船橋市と自衛隊との間では、訓練についての取り決めは何もありません。「広報ふなばし」でも、自衛隊の広報班からの情報を、そのまま掲載するだけです。
 日本共産党は、「基地対策課」を設置している神奈川県大和市の対応に学び、自衛隊との間に、訓練に関する協定を結ぶこと、自衛隊と連絡・交渉を行う窓口を設置するよう、市長に求めました。市長は、「騒音は取り組んでいく」と答えましたが、自衛隊にされるがままの現状については、答弁しませんでした。

●清潔な公衆トイレを駅前に

JR西船橋駅北口・JR津田沼駅北口
 「駅前に気軽に使えるトイレを」「歩行者デッキ上の異臭をなんとかしてほしい」――駅周辺の利用者からは、たくさんの要望が寄せられています。特に異臭については衛生上の問題があり、改善が必要です。
 日本共産党は、今議会でJR西船橋駅北口と津田沼駅北口に公衆トイレを設置するよう、具体的な場所も提案して、質問しました。
 市は、JR津田沼駅については「現地を調査する」と約束。しかしJR西船橋駅については「階段横にできる新店舗のトイレを使えるようにしたい」と、公衆トイレ設置には背を向けています。
 引き続き、駅前にトイレが設置されるよう、働きかけていきます。