あの街この町 2004年2月号 NO.169
二和向台駅

  昨年秋に、利用者の念願だったエレベーターとエスカレーターが設置されました。周辺開発が始まった頃には「どろんこ道」があたりまえ。そのため、駅に「長靴置き場」があったなんて、どれだけの方が知っているでしょう。


●むだ遣いの責任も 政府の地方財政圧迫にも 全く触れずに
 市民への「ツケ回し」だけで「健全化プラン」とは何ごとか!


 船橋市議会の第4回定例会が終わりました。この議会の前に、船橋市は「財政健全化プラン」をまとめ、それが議会でも大きな焦点の一つになりました。
 いま、地方財政は国の税制改定や不況のもとで確かに厳しい状況です。そのうえ船橋市では、バブル時代の放漫な財政運営の「負の遺産」も背負っているため、「厳しい状況」であることは確かです。
 しかし、こんどの「プラン」では、根本の問題については全く触れずに、福祉などの、本来は「義務」である市民サービスを切り捨て、新たに市民に負担をさせることを「健全化」だと言い張っているのが特徴です。
 議会での論戦からいくつかご報告いたします。


●「不健全」の大もとには目をつぶる?

 このプランが『健全化』と言うからには、これまでの財政運営で『不健全』だったと考えるものは何か?――日本共産党の質問に、市長は何も答えられませんでした。
 不健全財政にした原因は、一つは国の政策の失敗による不況や、地方財政の切り捨てですから、それを言うと「国に矢を引く」ことになるので、「本籍が自民党」の市長には言えなかったのかも知れません。
 「不健全」の第二の原因は、バブル時代の「放漫な財政運営のツケ」です。ケア・リハビリセンターや船橋駅南口の再開発事業など、放漫な財政はその都度議会で指摘してきましたが、いま、そのツケも財政を圧迫しています。ケア・リハビリセンターは42億円をかけて作った豪華な施設ですが、日本の制度と合わず、ほとんど使われていない施設です。さらに、年間1億円を超えるお金をかけないと運営できないという代物です。
 南口の再開発にいたっては、この先毎年10億円近いお金がかかり、総額では「百数十億円」の負担が予定されているのです。財政を圧迫している、これらの問題を正面から見ないで「健全化」などという言葉を使うことは、市民をあざむくためには手段を選ばない「不健全な姿勢」だけが突出しています。


●「時代錯誤」も「憲法理念の放棄」も

 こんどの「健全化プラン」で見過ごすことができないのは、福祉に対する異常なほどの攻撃です。たとえば、「扶助費(生活保護費などの社会的弱者に対する扶助のための経費)が増大して『財政が硬直化』する」などと言っていますが、そのどこが「不健全」なのか、という説明は抜きです。
 さらに、これまで支給していた「児童養育手当の削減」では、死別は認めるが「離婚」は認めないというのです。これでは「女性は何があっても男性に従属するもの。そうでないものにはペナルティだ」という、時代錯誤の見本のような認識ではありませんか。そもそも、児童にとって、親との関係が「生別か死別か」は「全く同じ」だということも理解しないもので、憲法理念も「無視」の暴論です。


●談合なければ「安くなる」下水道・谷津幹線工事

 12月議会で議決した、公共下水道工事の谷津幹線工事は、9月議会に議案として提出を準備していたところ、7月25日「談合の告発」があって、いったん白紙にされた「いわく付き」の工事です。
 談合された時の入札価格の最低額は8億6100万円で、予定価格の92%という高率でした。 今回、再入札を行った結果、落札した価格は6億6700万円で、予定価格の71%でした。
 この落札価格の差1億9400万円が、「公正な競争」が働いたことによって、市民負担が少なくなったことになります。
 談合は、それだけで犯罪ですが、それが繰り返されるのは、落札価格を高くすることによって「暴利をあさるため」、という構図が、ここでも鮮明に証明されています。
 談合を排除することは、市民の税金を「大切に使う」ことなのです。


●命や健康を支える「扶助費」

 船橋市が、「財政が厳しい」という口実に、「扶助費」が増えていることをあげています。扶助費とは、生活保護法による生活・教育・医療の提供や、児童・老人・障害者の福祉のために使われる経費のこと。
 船橋市の扶助費で、特に増えているのは生活保護への支出。深刻な不況を背景に、生活に困窮する世帯が増えていることが、生活保護の増加の大きな要因です。中でも、医療に対する支出は全国で第3位。生活保護は、市民の命と暮らしを支える事業として、これまでになく大きな役割を果たしています。
 ホームレスを対象とした簡易宿泊施設ができたことも、生活保護が増えた要因の一つです。
現在、市内では3施設で約230名が生活保護を受けています。この施設利用者が一日も早く自立を果たすためにも、専門家の配置、就労指導などもかかせません。
 船橋市は、扶助費の増加が財政を厳しくしていると、悪者のように扱いますが、扶助費の増減は、自治体の義務を果たしているかどうか、判断の基準にもなります。


●12月議会こんなことを取り上げました

●加入者の意向を聞かないまま交通共済、火災等災害共済制度を廃止に

 市は突然、「交通共済」「火災等災害共済」制度の廃止を提案してきました。
 廃止の理由として「加入率が減少している」「収支の見通しがない」「行政の役割が終わった」としています。しかし市民意識調査でも「廃止」と「存続」はほぼ同数です。高齢者では存続を求める声が40%にもなっています。また収支も、火災共済は黒字、交通共済は年々赤字が少なくなってきています。
 加入者の意向も聞かないで廃止するやり方は賛成できないと市の姿勢を追及しました。市長は「行政の役割は終わった」と改めて答弁し、市民不在のやり方を改めようとはしませんでした。


●健康増進事業「廃止」から一転「継続」に

 船橋市では、中央保健センター内の健康増進センターで健康増進事業を行っています。この事業はガンなど成人病の一次予防をおこない、市民の健康増進に寄与する市独自の事業で、費用も4200円と安価であることから年々利用者も増加しています。特に青年の健康づくりに役立っています。
 しかし、発表された市の「財政健全化プラン」には、健康増進事業について「再構築及び廃止する」と明記されてありましたが、市民の健康を守り医療費を抑制するという観点から、市の見解を質しました。船橋市は、健康増進事業が市の重要な事業であることを認め、「廃止」でなく「継続」とすることを約束しました。


●子どもたちの学校が危険いっぱいでは困ります

 11月14日、大穴北小学校5階のモルタル壁(2m×3mの大きさ)がはく離し、落下しました。昇降口の真上にあたる部分で、児童が下にでもいたら大変な事故になるところでした。
 船橋市の学校は、昭和40〜50年代に建築された校舎が多く、老朽化が進んでいます。各学校から市にあがってくる営繕調査でも「ベランダの壁に亀裂」「トイレの臭気がひどい」「雨漏りがする」「窓の開閉ができない」等々、さまざまな改修要望が出されています。
 しかし、市は財政難を言い訳にして、学校の要望にも応えていない状況です。また現在、各学校がどの程度老朽化しているのかを判断できる資料すらありません。
 日本共産党市議団は、計画的に校舎の改修を行うことをこれまでも提案してきましたが、今議会では「専門家を各学校に入れて調査を行い、しっかりとした資料を作成し、それに基づいた改修計画を立てて工事を行うこと」を提案しました。市教委からも「専門家に依頼し学校個々のカルテをつくりながら改修工事を行ってゆく」と答弁し、改善の方向が示されました。
(写真は、壁がはく離した大穴北小学校舎)


●役所内でも「大きな反響」−−「出前受付制度」の提案に

 高齢者やハンディキャップを負う方たちが、市役所に「申請書類を提出」するということは、たいへんな苦労を伴います。
 提出しなければ「不利益をこうむる」ことになり、中には「提出しない人がいるだろう」という予測をもとに予算編成されているものも見受けられます。
 「冷たい市政だ」と言われる原因の一つです。
 12月議会で「相談や受付の事務を行うために、市の職員を派遣する『出前受付制度』を始めてはどうか。定年退職後の職員を『非常勤一般職』として採用しているが、それらの職員を充てれば経費もわずかで済むし、高齢者などから喜ばれるではないか」という提案をしました。
 早速、役所内の管理職などからも、「あれをやってもらえれば、窓口でのトラブルも少なくなるし、高齢社会を支えるには、ほんとうに助かる話だ」などという反響もありました。
 ぜひ実現させたい制度です。


●放課後ルーム4年生以上も受け入れを!

 保護者が働いているなどの事情で、放課後家庭で子どもだけになってしまう小学校1〜3年生の児童を対象に、遊びと生活の場を提供する「放課後ルーム」が開設されています。
 昨今、凶悪な犯罪の報道が絶えない中、「4年生以上の児童も対象にしてほしい」との強い要望に応えるよう求めました。しかし制度として行うことには明確な答弁をしませんでした。ひきつづき4年生以上の児童の受け入れ実現を求めていきます。


●勇気ある「内部告発」か?

 「市が建築基準法に反する確認申請をおろしてしまい、後に気がつき市が是正を求めても、建物が違法なまま完成してしまった、こんな事は許せない」との告発が、日本共産党の議員に寄せられました。
 調査したところ、告発の内容がほとんど正確であるだけでなく、この建築業者が船橋市の公共施設の請負契約中の業者であることが判明しました。
 日本共産党はすぐに議会でことの真相を明らかにするよう求め、その結果、業者から市と議長宛に謝罪文書と直ちに是正するとの回答が出されました。不正は許さないという告発が早急な解決につながったもので、勇気ある告発者をたたえたいと思います。


●介護保険の施設整備を急げ!

 「老人保健施設では長期間入所できず、施設を転々としている」「寝たきりで退院しても行くところがない」という声があちこちで聞かれます。船橋市は特別養護老人ホームの入所待機者が10月1日現在897人にもなり、施設の不足は本人も家族も悲惨な状況に追い込んでいます。
 日本共産党は介護保険を運営する市が基盤整備に責任をもち、施設整備の拡充に取り組むよう強く求めました。
 答弁にたった福祉サービス部長からは、整備目標未達成の特別養護老人ホームが来年度70床の施設1箇所と既設の施設の増床で48床整備されることが示されましたが、老健施設や介護病棟については予定がないこともわかりました。


●介護施設の「不足」は深刻

 特養ホームや老健施設の目標数は、整備されても待機者解消には程遠く、介護病棟の不足は介護だけでなく医療も必要としている一番困難を抱えた高齢者を受け入れる施設がないという問題です。介護施設不足問題にもっと船橋市として真剣に取り組むべきです。


●国民健康保険料の減免制度の活用を

 03年6月から市は新しい減免基準を作成しました。減免の対象者は(1)災害に遭った場合(2)所得の減少(3)債務返済のため不動産を譲渡した場合となっています。
 この規定に基づく今年の減免申請は、火災によるものが3件、所得減少によるものが47件提出されています。水害による被害世帯からの申請がないとの日本共産党の指摘に対して、市は「被害世帯には今後市から減免制度を通知して行く」との答弁がされるとともに、該当4世帯にはすぐに連絡がされることになりました。


●職員に不当な非難をあびせる目的は何?

 職員給料を年額で19万円も引き下げる条例が可決となりました。日本共産党は、職員給与の引き下げ勧告は、人事院制度の本来の立場を逸脱する勧告であること、年金の引き下げなどにも連動するものとして反対しました。
 会派「維新の会」の中村実議員が「惰眠をむさぼる職員」と題した質問で、「職員が残業中にトランプゲームをしていた。メールを打ちまくる女性職員がいる」などと発言。日本共産党は事実の確認を求めました。調査の結果、トランプゲームは事実が無く、メールは産休明けの職員の子どもが、保育園で病気になったため、緊急のメールを打っていたことが分かりました。事実の確認もせず、「働かない職員」とレッテルを貼る誹謗中傷発言は、許せません。
 日本共産党は、職員がこうした中傷にくじけることなく、全体の奉仕者として市民の立場に立って、仕事に取りくんでいただきたいと思います。