あの街この町 2005年8月号 NO.175
京成 大神宮下駅

■福祉先進都市」やめます?「福祉は向こう三軒両隣」で3期目の藤代市長

 “住民福祉”は自治体の仕事の基本です。ところが藤代市長は年々福祉サービスを後退させてきました。選挙の公約も「福祉先進都市をめざす」から「共助社会の実現」に変わりました。
  「共助社会」というのは、福祉は「向こう三軒両隣でお願いする」という、市の責任放棄」宣言です。
 また、市長は議会で「安定した財政運営のために」と福祉切りすての『健全化プラン』を引き続き実施していくことを表明しました。障害者への補装具支給中止や保育園の民営化、公共料金の一斉値上げがその内容です。
 その一方で、肝心の財政難をまねいた2つの事業、南口再開発と中核市の問題では、反省どころか、責任も感じないとして(二期目の)「退職金3000万円も受け取る」「フェイスビルの大口権利者5法人には更なる負担は困難」と、214億円の赤字の穴埋めは全部市民に負わせると言うのです。また、中核市問題でも財源不足には知らんぷりで、「失敗の責任は全部市民へのつけ回し」という姿勢に終始しました。

●市民の暮らしを守るどころか、負担増に追い討ちをかける市税条例を提案

 小泉内閣の「大増税計画」を受けて、船橋市市税条例の「改正」が提案されました。
 主な内容は、65歳以上で、前年の所得金額125万円以下の場合、個人住民税の所得割・均等割の両方を非課税にしていた制度を、廃止するというものです。この制度改悪によって2600人高齢者が課税されることになります。また、これにともない介護保険料や高齢者医療制度、さらに、住民税非課税を利用条件としている市民サービス(紙おむつなどの介護用品の支給制度、福祉電話などの日常生活用品貸付け制度など)が影響を受けます。
 日本共産党は、今後、影響が出てくる国民健康保険料や介護保険料、市民サービスなどに救済措置をとるべきと市の対応を求めました。
 市長は、「国から、激変緩和措置が提示されてきているので、生活の実態を含めて、推移を見守りたい。」と答弁。自らが提案する条例によって、来年の6月には負担増が始まるというのに、他人事のような答弁にはあきれるばかりです。
 日本共産党は、負担軽減と市民サービス維持のために、皆さんと力を合わせて対策に取り組みます。

■不可解な土地売買が飯山満土地区画整理事業地内で

 飯山満土地区画整理事業地内にある産業廃棄物付き土地を、船橋市が買収する計画が明らかになり、「それは、区画整理事業の手法を市が否定することにならないか、また、産廃付の土地を買うのは問題」と指摘してきました。ところ、6月議会ではその土地が「すでに別の民間法人に転売されていた」ことが明らかになりました。
 市に対し「土地ころがしとも言える権利移動が行われている。今後値上げされた価格で市に売り込むようになったときは、絶対に手を出さないこと」を求めました。
 また、「夜、安心して駅から歩いて帰れるような街にしてほしいと願っている」との声に、「15年かけても、道路1本通すことのできないこの事業は破綻しているこの計画はただちに見直しをはかる必要がある」とも質しました。これに対し市は、「今後も土地区画整理事業の手法を続ける」との答弁がありましたが、あと残された5年で計画通りこの事業が完了する見込みはありません。
 区画整理という手法はあきらめ、道路は道路で別の手法で早急に整備し、地域のみなさんの要望にこたえるよう、変更を求めます。

■法を守らない業者と公共事業を再契約

 北部清掃工場で焼却されていた樹木を資源化し、土壌還元が可能であるかを実験するという「樹木チップ化処理事業」の再契約がされました。
 市と再契約した「株式会社ジャンクサービス」は市議会議員佐原正幸氏の妻子が役員をしている会社です。
 「議員が経営に携わっている」と市民から言われている会社と公共事業の委託契約をすることは問題であると日本共産党市議団が再々指摘してきた契約です。
 今年度(平成17年度)の樹木チップ化処理事業契約に際しても、市街化調整区域内にある工場の仮設建物の期限が4月6日で切れているのにチップ生産作業を中止させることもせず、そのまま市は再契約を進めました。
 日本共産党が7月5日にこの問題を議会で取り上げることがわかると、その日の内に仮設許可申請書が提出されるというでたらめさです。
 このように「法を守らないような業者と契約をすべきではない」との指摘に市長は「厳重に指導する」と答弁しました。
「ジャンクサービス」は、市の粗大ゴミ収集業務とこの樹木チップ化処理業務で年間約1億5千万円の事業を請け負っています。
 公共事業契約が公正に行われるよう、今後も監視が必要のようです。

■都市計画決定をするのは、悪徳住宅産業をもうけさせるため?

●環境共生まちづくり条例改正案の審議経過から見た「非常識」

 都市計画で「商業地域」工業地域」として「決定」しているところに巨大なマンションが建設され、それまでくらしていた人たちが迷惑を受ける、という事態があちこちで起きています。
 それを未然に防ぐために「条例の改正」を提案しました。
 その内容は「商業地域や工業地域にマンションを建てるなら、少なくとも『住居地域の基準で計画をするよう』に、業者に求める」という、普通に考えれば「ごく常識的」なものです。
 ところが、船橋市議会の「多数の議員」には、これが「非常識」に見えるようです。
 この提案は一部のマスコミでも報道されましたが、船橋市議会の多数の議員には通じませんでした。
 よくわかったことは、都市計画で「商業」「工業」と「決定」するのは、その基準でマンションを建てると「もうかる業者」がいる、だから、住居環境など問題にしないほうが業者のためだということです。

●マンションができると「市民一人当たりの公園面積が減る」!

 商業地域に大きなマンションができると、人口が集中しますが、マンションをつくる際に整備される公園は市民1人当たりの公園面積に見合った公園にはなっていません。
 人工スキー場「ザウス」跡に建設されるマンションの場合は40%にも満たないのに、市は「これでよい」というのです。
 これではマンションが増えると市民1人当たりの公園面積は確実にちいさくなるのです。
 これでは「都市計画決定」は悪徳な住宅産業の「もうけのために決める「まちの環境が悪くなっても当然」ということです。「逆さま」ではありませんか?

■近くの公立保育園ではなく、遠くの私立に委託とは?
         ―保育園の分園設置―


 
船橋市は、保育園の待機児対策として海神4丁目23番に保育園の分園を設置することを決定し、議会に承認を求めました。市が建設する保育園なのに、近くの公立海神第一保育園ではなく、行田1丁目にある私立保育園の分園だというのです。
 日本共産党は、分園に一番近いのは公立保育園なのに、遠くにある民間保育園の分園に決めて、分園のあり方を議会で議論をさせないという市長のやり方を、厳しく質しました。
 市は、「待機児急増のため、やむを得ない」としていますが、昨年度当初の待機児数は199名で、昨年度中は200名しか定員が増えなかったことから、今年度に待機児が発生することは、すでに昨年の段階で明らかとなっていました。
 児童福祉の根幹に関わることを、「やむを得ない」という口実でドサクサ紛れに決定するというのは、ひどい話です

■侵略戦争を肯定する教科書の採用はすべきではない

 「新しい歴史教科書をつくる会」の「歴史・公民教科書」を日本政府が検定合格したことにアジアの人たちから大きな批判の声がよせられています。
 この歴史教科書では「日本は白人の支配から、アジア諸国民を解放する民族独立のため」「朝鮮の植民地化も日本の安全保障と白人帝国ロシアとの戦い」「日中戦争も日本と中国の双方に原因があった」「日本の自存自衛とアジア開放を目的とした戦争だった」などと記述し、「日本が行った戦争は正しい戦争だった」と教え込む記述が多く見られます。
 これでは、憲法の「政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこることのないようにすることを決意し、平和と民主主義に基づく国づくり」と宣言していることと全く反しています。
 ですから、日本の侵略によって被害を受けたアジアをはじめ、世界中からこの教科書の「合格」は「異常」「反対」の意見が出るのも当然です。
 日本共産党は「新しい歴史教科書(扶桑社発行)を船橋市の中学校に採用すべきではない」と質しました。
 教育長は選定審査中であること、を理由に適否の答えもなく、さらに侵略戦争への認識についても「歴史認識は政治にかかわる」などと、態度を明らかにしませんでした。
 歴史の真実を歪めるような教科書の採択をさせないために声をあげていきましょう。

■34年間も放置!信じられない行政事務

 今議会に提案された議案には、行政事務のずさんさが露呈する議案が提案されました。
 1971年に、都市計画道路用地の取得に協力した市民に対して、当時の市長が市有地を無償で譲渡するという約束をしていたことがわかり、その決済を今議会に提案したものです。
船橋市は市長名で振り出した念書を、3年前に市民から申し出があるまで34年間も放置していたというのです。
事務が正常に行われていれば、当事者に対しては速やかで誠実な対応ができ、当該地からは、この34年間に固定資産税としての収入があったはずです。
ずさんな管理の結果、課税できたものを見逃したりすることは、市民に対して不利益を与える行為です。二度とこうした事態が起こらないよう、行政事務の改善が求められます。

■みなさんが選んだ議員の態度表明、チェックしてください!
 政府が行う社会保障の削減や、住民生活を無視した自衛隊の訓練に対し、改善を求める市民の声が議会に寄せられました。
 陳情第10号「障害者自立支援充実の意見書提出に関する請願」は、主な内容として「応益負担の導入の中止」を求めるものです。自立支援法では、障害が重く日常生活が困難な人ほど福祉サービスが必要ですが、サービスを利用するほど利用料がかかり、払えないときは、障害者の親や家族にまでサービス料を払わせようという制度を導入しようというのです。
 また、陳情13号「習志野自衛隊パラシュート訓練による騒音等の改善に関する陳情」は、騒音や振動などの影響が出ているため、自衛隊に要望を出してきた市民から提案されました。「一住民として要望しても改善されないので、船橋市からも改善するよう働きかけてほしい」という、切実な要望でした。いずれの陳情も、毎日の生活を安心して送りたいという、当たり前の要望です。日本共産党は2つの陳情に賛成の立場をとりました。
 しかし、議会の結論は多数で不採択、つまり、議会としては「国の政策だから従え」という意思表示を行ったのです。
 みなさんが選んだ議員は、みなさんの声に応えていますか?

■国会が解散、総選挙に  ―たしかな野党が必要―
 8月8日、参議院は小泉首相の提案した「郵政民営化関連法案」を否決しました。 この法案は、国民が積み立てている郵便貯金と簡易保険の積立金340兆円を、アメリカの投資会社や日本の銀行が運用して利益をあげるために「おまかせする」ことが目的です。 そうなると、郵便事業はたちまち赤字になり、地方から「郵便局が消える」のは避けられません。
 ですから、地方議会から次々に「民営化には反対する」という決議や意見書がだされていたものです。郵政民営化関連法案の否決は、国民の利益から考えれば「否決が当然」といえます。
●「こんなはずではなかった」と思うことのない一票に
  「こんどの選挙は、郵政民営化の是非を、国民に問う選挙」だと、首相は言います。
そうなら、国民のくらしには「一つも良いことのない」民営化には、「反対」の意思をしめしましょう。
 
そして・・・
 「この選挙が終わったあと」のことも考えてみて投票することも大切ではないでしょうか。この選挙のあとには、消費税やサラリーマン増税の計画が待っています。
 憲法9条を変えて「海外で自衛軍(自衛隊を軍隊に格上げして)が戦闘行動できる」「戦争をする国」にすることも検討されているのです。
 
もしも・・・
 あなたが、自分の一票で当選させた議員が、あなたの希望と違った対応されたら、あなたはどうされますか?
 こんなことは、これまでにもありました。
 年金を受け取ってみて「誰がこんなことを決めた!」と怒っていた方がいましたが、その方が投票した議員も賛成して決めたことがわかって「こんなはずでは無かった」と改めて怒っていました。自分の一票がどんなふうに役立つのか「投票の前に考える」。このことを強く訴えたいと思います。(S)