あの街この町 2005年11月号 NO.176
東武線 塚田駅
 近隣の開発が進み、利用者が急増している塚田駅。改札からホームに移動するには「長い階段」の上り下りがあり「エレベーターを付けて」という切実な声が出ています。
 「3年以内の解決」のために、がんばります。


■ 福祉切りすてに痛みを感じない藤代市長

 9月5日から、28日までの会期で市議会が開かれました。
市長からは「市立リハビリ病院建築請負契約およびその運営条例案」、「前原市営住宅建築請負契約」、改悪された介護保険法にもとづく食事代や宿泊代の負担をもとめる条例案などが出されました。


 「介護保険利用料助成を大幅に削減したが、一年経過をみて検討し直すと約束してきたではないか」との追及に、藤代市長は「削減しても市民からの苦情はないので、見直す考えはない」と居直りの答弁がされました。市民の声を聞こうとしない市長の姿勢こそ問題ありです。
 福祉を大幅に切り下げた2004年度決算が出されましたが、剰余金が32億円にものぼりました。特に福祉予算は使い残しが18億円も生じています。高齢者医療費、児童養育手当などを大幅に削りましたが、削らなくても十分やりくりができたにもかかわらず、福祉を切りすてる藤代市政の特徴が明らかになった議会でした。
−日本共産党の質問や追及で−

@ 市立リハビリテーション病院では、差額ベッド料を25,000円もとるとしていますが、党議員の追及で「医療上必要な者、あるいは病院側の都合により個室等に入った場合は差額料を求めない」と確約しました。
A 市教育委員会と警察との間で、児童生徒の非行情報を提供し合う協定が本年8月に締結されましたが、市教委は「情報提供に当たっては、事前に父母・児童生徒の了解を得る」ことを約束しました。乱用に一定の歯止めをかけることができました。
B 入札では市内業者の参加が少ないときは、県内まで広げ、参加業者の拡大を検討していくと答弁。
C 「小児慢性特定疾患医療費助成制度の継続を求める陳情」が全会一致で採択となりました。
D サラリーマン増税を中心とした庶民増税反対の意見書が可決されました。


● 誰のための市立リハビリテーション病院?


 市立リハビリテーション病院新築工事が始まります。この事業は、船橋市夏見台4丁目(医療センターの前)に建設費用など約64億3500万円で、200床の入院ベッドを持ち、脳血管疾患、脊髄損傷等の患者に対し回復期のリハビリテーションを集中的に行う病院計画です。
 条例では200床のうち40床が個室とされ、個室料が1日につき市内に住所を有する者は2万5000円、市外の者は3万7500円としています。一ヶ月に75万円から112万円も負担できる方が、どれだけいるでしょうか?
また、入院は6ヶ月までと期限をきり、外来診療も紹介状を持参しない患者は対象外とされています。
 これでは市立の病院なのに、病院を運営管理する民間指定管理者の経営が優先された計画です。
お金がなければ利用できないような個室を20%もつくることの問題点を指摘し、この病院を必要とする患者の誰もが利用できるよう変更を求めました。

● 居住費・食費を自己負担化

 平成17年10月1日から、介護保険3施設(特養・老健・介護特養型)にホテルコストの名前で、居住費や食費の自己負担化が導入されました。市立の特別養護老人ホーム(朋松苑)も、入居者の費用は別表のようになります。
 利用者負担は年間で第3段階の方は18万円、第4段階の方は30万円も増えることになります。 
民間の特別養護老人ホームにおけるホテルコストは、「施設と利用者の契約」で料金が決まり、料金に上限はありません。
 市内の利用者991名の方に深刻な影響が及びます。

市立特別擁護老人ホーム「朋松苑」の
 利用者負担(1割負担+食費+居住費)の変化
利用者負担合計を月額表示(万円)

              現     行

見 直 し 後

改正後の
 利用者負担段階

合 計

1割負担

食 費

居住費

合 計

1割負担

食 費

居住費

第1段階
(生保受給者等)

2.5

1.5

1.0

-

2.5

1.5

1.0

0.0

第2段階
(年金80万円以下)

4.0

2.5

1.5

-

3.7

1.5

1.2

1.0

第3段階(第2段階以外の世帯非課税者)

4.0

2.5

1.5

-

5.5

2.5

2.0

1.0

第4段階
(本人課税世帯課税)

5.6

3.0

2.6

-

8.1

2.9

4.2

1.0


● なぜ続けるの?
   「収益のない、ただのギャンブル」・・・オートレース事業

 オートレース事業は、「船橋市が発祥の地」なのだそうです。
そのオートレース事業が、毎年赤字続きで、ついに累積赤字が8億1千3百万円になってしまいました。
 これまでにも、「もう廃止するしかない」「廃止のための計画をたてなさい」ということを何度も指摘してきたのですが、 今回市長は「民間委託で赤字を返すという、スキーム(計画)ができた」と言い出しました。 
 委託先は「日本トーター」という企業で、国内のギャンブル場の設備のリースや販売で大きな利益を上げているそうです。
 「スキーム」は、この企業が「赤字でも年間4千万円は船橋市に支払う」という内容です。2千万円が人件費、2千万円は「これまでの赤字」の穴埋めにつかって、累積赤字の穴埋めが終わるのは平成33年だという、なんとも当てにならない話です。

これでは「賭博場開帳の罪」になりませんか?

 このスキームには、2つの大きな「過ち」があります。
 1つは、オートレース事業が「収益事業で市の財政に貢献」することを条件として「例外的に認められている賭博」であるのに、「収益が無い」のにこの事業をやることは「ただ、ギャンブルをやる」ということで、これでは「刑法186条の2」に抵触する行為と言わなければなりません。
 2つめは、累積赤字の穴埋めも16年後に完結できる保証もないことです。企業が「やめた」と言えばそれでこのスキームは破綻ですから。こんな無責任な「スキーム」を認めるわけにはいきません。

やめるチャンスは何度もあったのに

 私たちは、この事業が「まだ収益があった」頃から、「廃止のための準備に蓄え、廃止の手順を検討しなさい」と言ってきました。今になれば、この私たちの言ってきたことが「正しかった」と思います。でも、議会の中では少数でした。
 こんどこそ、議会が役割を発揮する時ではないでしょうか?

● 国と一緒に医療削減を続ける市長に 議会と市民が一致して反対

 小泉内閣の医療制度改悪によって、ぜんそくなどの難病に苦しむ子どもの医療制度である「小児慢性特定疾患治療研究事業」が縮減されました。これにあわせて千葉県が独自助成を廃止し、船橋市も独自制度の変更を検討しています。
 今市議会には、ぜんそくの子どもやその保護者から「現在の制度を継続してほしい」との切実な要望が陳情書として提出されました。
 現在、市内の制度の利用者は4500名で、このうちぜんそくの対象者は、約3500名。船橋市が現在の制度を継続しなかった場合、国の基準に当てはまる重度の対象者は10名程度で、ほとんどの利用者が制度から排除されることになります。
 制度の継続を求める議会の質問に対して、市は「今後は、国の示した方針や、千葉市の例、対象者への影響を考えて、本事業のあり方について再度検討していく。」と答弁。継続は検討しないという市の姿勢が明らかとなりました。
 議会はこの陳情書を全会一致で採択。あくまでも継続を否定する船橋市に対して、市民と議会が共同して反対の声を上げました。
 医療助成制度の削減をつづける市長の政治姿勢が、ここでも厳しく問われています。

● エレベーターが無かった!・・・西部保健センター

 2003年の9月議会で承認された、8億1300百万円余りの「西部地区消防保健センター」が4月に完成しました。
 ところが、議会には何の報告もされずに、2004年の4月に、7350万円の追加工事が同じ請負業者に発注されていました。内訳は、「エレベーターの設置工事」でした。
しかし、2003年の議会に提出された設計図にはエレベーターの設置工事が入っていたことから質問したところ、「エレベーター停止のプログラム研究に費やす日数を要したため、原設計を見直し追加工事を発注した」というものでした。
市長自身「エレベーターは当然付いているものだと思っていました。見過ごしてしまったことは申し訳ない」と陳謝したぐらいのずさんな仕事でした。
受注企業は「三井住友・木村・利興特定建設工事企業体」ですが、構成企業の一つ「利興建設」は、違法建築で指名停止処分を受けていた企業で、市が見過ごしたために違法建築物が完成近くまで進み、その是正のために1億円もの負担をしたとも伝えられています。この追加工事は、その穴埋めのためではないかとの疑問があります。
日本共産党は、11月の決算特別委員会であまりにも不明朗な市の契約業務について、究明していきます。

● ていねいな調査を!・・・旭硝子工場跡地のアスベスト問題

 市内で閉鎖した旭硝子工場跡地からアスベストが飛散しているのではないかという心配の声が出ています。
 この工場で働いていた労働者の中からも、アスベスト被害と認定された死亡者がでていることが明らかになり、裁判の中で、「当初使用済みの石綿製用具は一般廃棄物と一緒に工場敷地内に埋めていた」という労働者の証言もありました。
当時の工場では、石綿製用具の手袋、クロス、リボン、紐、防熱服、ベルトコンベアー等多くのアスベストが使われていたと言われています。
 また、当時はアスベストを使って仕事をしていた作業所の温度を下げるため「換気扇で外部に空気を排出していた」と企業側が証言しています。
 市は、「アスベストの存在認められず、周辺環境への影響はないものと考える」「周辺住民からの健康への影響の情報もない。現時点では問題ないと考えている」と答えました。
 しかし、これだけの情報があるのですから、跡地の土を移動しないうちに「安全確認」の調査をするべきではないでしょうか。

● 学校と警察の相互連絡制度・・・子どもの情報が筒抜け?!

 本年8月1日、船橋市で、「学校と警察との相互連絡制度」が施行されました。この制度は、子どもの情報を学校と警察が共有することから、教育上も個人情報保護上も問題があります。
 そこで、「本人や保護者の同意なしに、教育上知りえた情報を警察に流すのは個人情報保護条例違反ではないか。」と質すと、「本人や保護者の確認をとる」との答弁がありました。 
 制度そのものに問題があり、今後も制度の中止を求めていきます。

  ―監査委員さん、これは余計な仕事です―

 監査委員が平成16年度船橋市決算審査意見書に、「平成16年度を初年度とする財政健全化プランについては着実に実行されたい」との意見を付しました。
 「財政健全化プラン」とは、母子等家庭の児童養育手当や介護保険の利用料助成等の福祉予算を大幅に減額するおおもととなった基本財政プランで、今後さらに、公民館使用料、駐輪場料金、保育料の値上げ等が盛り込まれているものです。
 こんな市民いじめのプランを、監査委員が奨励するのはひどい話ですが、それよりなにより監査委員が政策のあれこれについて「ああしろ、こうしろ」と言うのは、権限外の余計なことです。自分たちの役割もわからない監査委員に市の監査は任せられません。