あの街この町 2006年2月号 NO.177

■ 構造計算偽装、市にも責任! 公共施設がなくなる?!

 今議会は構造計算偽装マンション事件の発覚直後の開催でした。日本共産党市議団は偽装を見逃した民間検査機関へ建築確認業務を行わせてきた国の責任が重大なこと、居住者支援や建物の撤去など耐震強度の不足するマンション問題の解決に国が責任を果たすべきことを明らかにし、船橋市議会として国に意見書を提出することに取り組みました。その結果、船橋市議会として再発防止や被災者支援を求める政府あての意見書を議決し送付しました。

 
市長から提案された議案のうち4月にスタートする介護保険の包括支援センター整備費、二子町・夏見1丁目公園・八木が谷市民の森用地取得などの補正予算や法典西小放課後ルーム移設議案には賛成し、市施設を民間事業者に管理運営させる指定管理者の選定については反対しました。指定管理者制度では営利企業も参入が可能になり、市施設の公共性が損なわれる心配があります。船橋市は「官から民へ」と機械的に管理者の指定をすすめています。
 アンデルセン公園や海浜公園、総合体育館、心の福祉センターなどは現在も直営ではありませんが、船橋市がそれぞれの施設を運営するために全額出資し設立した市の外郭団体や、特別に優れた専門性のある団体に委託されています。今回は同じ事業者に指定されましたが指定管理者制度にした以上今後別の事業者の参入に道を開くことになり市民福祉という公共性の低下が懸念されます。
 一般質問では、昨年度決算が黒字となり、4年で300億円の赤字という財政見通しが「実態と乖離している」と市も認めながら今後もサービス後退と負担増の「財政健全化プラン」を進めていくという藤代市長の姿勢を追及、総選挙後に日本共産党議員団が実施した市民アンケートでも示された生活の不安が広がる市民生活を守る施策の充実を求めました。増税による高齢者負担増の救済対策、道路問題や防犯灯の増設、防災、介護保険、障害児介助員配置問題などを取り上げました。


「指定管理者」という名の「公共破壊」が始まった
 

 12月議会に、公共施設を「民間に渡す」ことを目的にした条例が16本も提出されました。    
 その名前が「○○(会社)を△△施設の指定管理者に指定する」というもので、福祉施設のほとんど全部が指定管理者の運営にまかされることになりました。
 これでは、建物は市が建設したものですが「運営は民間」で、公共施設とは言えなくなります。

「指定管理者の公募が無かったら、事業を止める?」

 この議会で「直営と指定管理者の比較検討を行ったのか」という質問に「直営は考えない」から「比較もしなかった」という答えがありました。
 どちらが公正で市民のためになるのか、という検討は絶対に必要なものです。その中にはもちろん経費の問題もありますが、利用する市民へのサービスがどうなるのか「公共性・公正性」が確保できるのか、というさまざま要素をもとに判断しなければならないはずのものですが、市はそれをしないで判断したのですから、無責任な話です。
 さらにひどいのは、西老人福祉センター内のデイサービス事業を受託していた法人が撤退し、別の業者が「指定管理者」になった事例がありましたが、もし別の業者が応募しなかったら、市はこの施設を休止することになったでしょう。
 市民の暮らしを支える仕事を「何の論証もなし」に、「民間が良い」などというのは、全く「いい加減な話」です。
 いま、船橋市は全体として「いい加減な話」をつなぎ合わせて行政をすすめる「無責任体質」がはびこっています。

市民の安全と財産を守るために公的な責任を果たせ  耐震偽装問題

  「船橋市内のマンションが震度5で倒壊のおそれ」とのニュースが大きく報道されました。現在わかっているところでは、市内のマンションなどで耐震基準を満たしていない建物が7棟あります。
 今回の問題の背景には、建築確認業務が法律改正で、株式会社など営利企業にも業務が拡大されたことにあります。日本共産党は「最高裁判決では、、民間が行った建築確認であっても、自治体の責任は免れない、と示していることから、民間が行った確認について書類の提出を求めるなど市として責任を持つ体制を強化すべき。また倒壊のおそれのある建物の周辺市民は、一日も早い解体撤去を求めているので、市として責任を持って対応すること、市内建設業者の代金未払いなども市として救済をすべき」と質問しました。
 市は「官から民へいう規制緩和が必ずしも問題とは思っていない。再発防止策を検討してゆきたい」。「転居先に市営住宅を紹介などしているが、民間不動産会社などにも協力を求め、きめ細かな対応をしてゆく」「近隣居住者の不安解消のため丁寧に説明会をしてゆく」との答弁がありました。
「官から民へ」移した結果は、「商売が詐欺に近く」なった!
 小泉構造改革のキャッチコピー「官から民へ」。
 その結果、国民のくらしにどんな結果がでてくるのでしょうか。
 それを想像するのに参考になるのが、耐震偽装事件と民間の「指定確認検査機関」の関係や、ライブドア事件です。結果は、国民の生命も安全も無視した「金さえ儲かればあとは知らない」という、詐欺みたいな商売の横行でした。

 民間の検査機関は「早いし、安い」が「きちんと検査していなかった」

 船橋市内では耐震偽装が行われた「共同住宅」が7棟あることがわかっています。
 そのすべてが「イーホームズ」「日本ERI」「東日本住宅評価センター」という「株式会社」の検査でした。
 そして・・・
 これらの企業の設立に関わり、出資しているのは不動産や建設に関わる企業なのです。
 はじめから「きちんと検査する意思など無い、都合のよい組織」としてつくられているのが「民間検査機関」なのです。

 阪神・淡路大震災を「逆手にとって」法律の改悪が行われた

 この1月17日は、阪神・淡路大震災の11周年の日でした。
 神戸市などでの追悼行事がテレビでも放映され、改めて震災の大きさを感じさせられました。
 ところで・・・
 民間の確認検査機関を認める建築基準法の改悪が行われたのが、この震災後でした。
 「震災の復興でたくさんの建築確認が申請される。特定行政庁だけでは手が回らなくなる」
 建築物の安全確認のために「中間検査を行わせるためにも民間の手を借りないとできない」などという口実でした。
 
 小泉首相は、郵政事業も民営化し、さらに公務員を減らし「官から民へ」が構造改革だと強弁していますが、その行き着く先は「国民の生命も安全も無視」「勝ち組だけが正義」で、「あとは知らない」という社会づくりです。
 そんな社会を誰が歓迎するのでしょうか?
 少なくとも「普通の国民」は歓迎できるものではありません。

介護保険、増えつづける自己負担
     必要なサービスが受けられないヘルパー派遣


 昨年の介護保険の制度改悪により、既に昨年の10月から特別養護老人ホームや老人保健施設などの利用にホテルコストが加算されショートステイ、デイサービス利用でも新たに食費が加算されるという負担増がはじまっています。
 議員団にも「(老人保健施設)入所している親の費用が3万円も増え、払いきれない」「デイケア・デイサービスの値上げは低所得者にも一律に行われたので、利用回数を減らした利用者がでている」の声が寄せられています。
 1割の一部負担金の他に食費・教養娯楽費などの保険外負担があり「保険料を払ってもお金がなければ利用できない」事態が一層ひどくなっています。

 「負担軽減考えない」冷たい答弁

 船橋市として保険外負担の実態把握と低所得者対策を求めましたが、船橋市も「実態把握は状況見て検討、負担の軽減は考えない」と冷たいものです。
 繰り返し是正を求めてきた在宅介護利用料の助成の給付制限についても市長は「精査させるので3月まで待って欲しい」と述べるにとどまりました。
 
介護保険が使えない通院介助

 また最近、ヘルパーに病院の通院を付き添ってもらう通院介助が介護保険で使えないと問題になっています。
 病院内の介助は病院の業務だからという理由ですが、病院に介助するスタッフいるわけではありません。
 さらに、船橋市福祉公社では、通知に「市役所の手続きや町会行事、床屋の付き添いも認められない」と明示しています。
 通院にしても市役所の手続き等にしても不可欠な付き添い介護であり、介護保険の適用外にする道理がありません。
 利用者の生存にもかかわる大きな問題ですので、ただちに是正するよう求めました。「今後内容を見て検討していきたい」と答弁がありましたが、一日も早く是正されるよう、行政に働きかけていきます。

社会教育団体の活動にブレーキ
    ― 公民館使用料金の引き上げ
を計画

 
 公民館使用料等検討委員会は、公民館使用料の基準単価の引き上げ、また、これまで全額免除対象となっていた社会教育関係団体にも使用料負担を求めることを内容とした答申を市長に提出しました。
 いま船橋市内にある25の公民館の利用状況(年間延べ数)は、11万1千を超す団体、185万人となっています。
 検討委員会では、使用料等の見直しで今後の公民館使用のあり方がどのように変わり、船橋市の社会教育に対する影響はどうなるのか、今後の公民館をどうするのかといった観点からの議論は全くなく、市民の福祉を削り、負担増を強いる市の「財政健全化プラン」を追認する答申となっています。
 使用料の引き上げ等はやるべきでないと質問しましたが、市は「答申を尊重し、実施案を検討していく」と答えるのみでした。しかし、使用料の引き上げや社会教育団等からの使用料徴収は、各種団体のみなさんの活動にブレーキをかけることになります。
 日本共産党は、今後とも公民館使用料の引き上げ等、市民に負担増を強いる市長の政治姿勢に反対していきます。

普通学級で学ぶ障害児に、職員の配置を!

 船橋市では、障害を持つ子どもが普通学級で就学する場合、そのこどもや学級をサポートする、職員の配置を行っていません。
 今議会では、こうした普通学級で学ぶ障害児に、保護者や学校からの要望に応じて、職員配置を行うよう求めました。
 この質問に対し、船橋市は、
@. 船橋市心身障害児就学指導委員会が、障害を持っていても普通学級への就学が適当であると判断した場合は、特別介助員を配置する
A. その他の場合は、市民ボランティアでの対応を行いながら、「特殊支援教室」のあり方と関連させながら検討していく
との見解を示しました。
 しかし、「特殊支援教室」は、国で検討されている「特別支援教育」のなかで提案されているものです。特殊支援教室の内容や、職員の配置などは、まだ確定されていません。
 船橋市教育委員会は、一日も早く、要望に応じて職員を配置し、学校現場が置かれている困難な状況を改善すべきです。

<2005年12月議会> 
条例案・意見書・陳情に対する各会派の態度は

 
〔表の見方〕○=可決または採択 ×=否決または不採択 
結果 日本共産党 市民社会ネット 民主・市民クラブ 公明党 新風 市清会 緑清会 リベラル
庶民大増税中止の意見を提出に関する陳情 × × × × × ×
乳幼児医療費・現物給付方式の拡充に関する陳情 × × × × × ×
介護保険制度改定に伴う新予防給付等に関する陳情 × × × × × × ×
自衛隊習志野基地における軍事訓練中止に関する意見書 × × × × × ×
米原子力空母の横須賀基地母港化反対に関する意見書 × × × × × ×
日本共産党と
 市民の
皆さんとで
 実現!


■ 構造計算書偽装問題で2回にわたり船橋市議会として意見書を提出
■ 公団住宅の家賃値上げ反対の意見書採択
■ 公共性のある私道について、市が整備することを検討するとの見解が示される
■ 二子町・夏見1丁目公園の用地購入と整備予算が可決
■ 八木が谷市民の森を緑地として保全するため用地を購入