2003年 6月16日 537号
●地方税法改正で
大幅庶民増税!大企業や大資産家には減税
今年2月から3月にかけ自治体や国民生活に関係の深い法律改正が行われ、今市議会に市税条例改正案が提出されました。
その内容は「配偶者特別控除の廃止」「地方たばこ税引き上げ」など庶民増税であり、一方では「特別土地保有税の凍結」「新増設にかかる事業所税の廃止」などの大企業や大資産家減税です。
船橋市においても、この地方税法改正で、平成15年度は「たばこ税」引き上げで、約2億2100万円の増収であり、大企業や一部の大資産家に対する減税措置では約3億9600万円の減収です。
日本共産党市議団は庶民増税を押しつけた上に、地方財政の危機を一層深刻にする市税条例の「改正」に反対し、奮闘しました。
配偶者特別控除廃止 新たな個人住民税の納税者が4000人
配偶者控除に上乗せして適用されてきた配偶者特別控除の廃止が平成16年から所得税で、平成17年から個人住民税で実施されます。
この廃止で4人家族の標準世帯負担増は5万9000円になると見積もられています。船橋市でも課税最低限が個人住民税所得割で325万円から270万円に引き下がり、影響を受ける市民は7万3000人(納税者の30%)にもなります。
さらに今まで非課税対象者であった4000人が課税対象者とされます。庶民増税となる個人住民税の平成17年度増収は13億円にものぼります。
この不況のなかで庶民増税を行えば、国民生活を今以上に痛めつけ、消費を抑制し、景気を一層冷えこませることは明白です。
非課税世帯から課税世帯で福祉サービス支援にも影響!
船橋市では高齢者や障害者福祉サービスの中で所得制限を適用しているものがあります。
今まで、非課税世帯の条件でサービスを受けていたのに課税世帯となり、今まで同様のサービスが受けられなくなる世帯が出現する可能性があります。
非課税者から課税者となる4000名の市民のうち、どれだけ影響が出るのか、市でも把握していません。
日本共産党市議団は介護保険利用料の助成、家族介護慰労金の支給、紙おむつの支給が受けられなくなる事態にならないような対策を講じるよう強く求めました。市も実態調査に入ることを約束しました。
●住民基本台帳カードの交付で住基ネット本稼動
住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)の第2次稼動(8月25日から)にともない、住基カードが導入され、カード交付に係る手数料を500円と定める条例が今議会に提案されました。カードを使用することのメリットは「住民票の写しの広域交付が実現し、転出入の手間も半減される」と総務省と同じことを市も強調しています。しかし、転出入についてもそれほど簡素化される訳でもなく、また、他の自治体で住民票の写しを取る市民がどれだけいるでしょうか、疑問です。
一方、船橋市は平成15年度までの住基ネットの構築に約2億3740万円かけ、これからのランニングコストも年間約6080万円も使うことになります。カードは今回1万4000枚(総人口の2.5%)用意されますが、カード1枚あたり約2万2200円の税金を投入することになります。
船橋市における住基ネットの目的や効率を市民に明らかにせず、ただ国いいなりで住基ネット構築に多額の税金を投入する問題点を日本共産党は質しました。
住民個々の選択による住基ネット参加を
また、個人情報の保護については「個人情報保護法」も成立しましたが、この法においても思想信条など個人の名誉・信用・秘密に直接かかわるセンシティブ(慎重な扱いを要する)情報収集の原則禁止規定が欠落し、自己情報コントロール権も明記されないなど、個人情報保護の制度としても不十分です。このような状況下でも、総務省では住基カード本来の利用だけでは記憶容量が大きく残り、もったいないから自治体の条例で定めて、他の目的に使うよう指導するパンフレットを発行しています。その中では、福祉カード、印鑑登録カード、施設利用カードなどが例として上げられています。
船橋市が条例を定め、福祉カードとして利用することとなれば、地域の民間事業所との関係なども出、個人情報の保護はますます難しいものになります。
住基ネットの住民票コードは国民総背番号として使われることによって政府による個人情報の一元管理がもたらされ、さらには企業利益を効率的に生み出すカギとしても使われる、との指摘も数多くあります。
住基ネット本稼働を前に、市民の中にさまざまな心配がある中で、船橋市でも住民個々の選択によって住基ネットに参加する「選択制」を選ぶべきではないかと、日本共産党は主張しました。これに対して市は「住基ネットからの離脱については重大な危険がおよんだ場合は切断できるようになっている」とし、市民個々の考え方による離脱は認めないとの見解を示しました。