2004年 3月29日 561号
●「指定管理者制度」の導入
 −公の施設を株式会社にまかせていいのか−


 船橋市は今議会、「老人福祉センター」と知的障害者授産施設「光風みどり園」の施設に指定管理者制度を導入することを提案しています。
 この制度は自治体業務を、株式会社を含む民間企業に委託していく手法です。公の施設に関する権限も「指定管理者」に委任するもので、指定管理者は施設の利用許可を行い、料金も自由に設定でき、使用料は指定管理者の収入となります。株式会社などの民間事業者も「指定管理者」になれるのですから、もうけを確保するため、職員の非常勤化やパート化で低賃金を促進することにより、専門性を損なう問題も出てきます。
 このように「指定管理者制度」は自治体の公的責任を放棄し、公の施設を民間に丸投げする手法です。
 日本共産党は市に対し「株式会社を指定管理者とするのか」「市民への公正・平等なサービス確保はできるのか」などをただし、個人情報の漏えい防止、事業報告書の議会提出、市長や議員の親族などの兼業禁止などを求めました。
 市は「株式会社を排除する考えはない。利用者が公平にサービスを受けているかどうか、他市の行っている 『評価委員会』 のようなものも検討していきたい。個人情報は条例と協定書により二重に保護される。議員や市長の親族などの兼業禁止は、行政の透明性や公平性を確保し、市民の理解を得るという観点からも今後考えていきたい」と答弁しています。今後の監視が大切です。

保育所・公民館・病院など自治体のほとんどの業務が対象

 今、指定管理者制度や地方独立法人制度構造改革特区などの言葉を良く耳にしますが、これは「小泉構造改革」の自治体版で、財界の求めに応じて何十兆円とも言われる公務の市場開放を促進し、ビジネスチャンスに転化するものです。
 船橋市においても今議会は2事業だけの「指定管理者制度」導入提案でしたが、今後3年以内に現行の委託制度が廃止され「指定管理者制度」に移行するか、市が直接事業を行う「直営」に戻すのかが迫られます。保育所、公民館、病院など自治体のほとんどの業務が「指定管理者制度」の対象になりますので、自治体の公的責任を堅持させ、住民サービスを守る取り組みが求められます。


●事実上福祉後退表明
 68歳・69歳医療費助成にきつい所得制限

 船橋市は昨年「老人医療費助成制度」を改悪しました。68歳・69歳の方の内、対象者を「非課税世帯に限る」としたため、医療費1割負担の方は昨年7月末で8,977人でしたが、2,464人へと激減し、 72.5%の方が3割負担となりました。
 この制度改悪後、ある69歳の女性の方は「76歳の夫が糖尿病で足を切断、医療費は月に8,000円近く、介護サービスの利用料18,000円を支払い、本人も高血圧で治療を受けているが、薬をもらうことだけにし、他に具合が悪くて我慢している」、また、ある68歳の女性の方は「糖尿病の治療中で、合併症もあり、眼科と整形外科でも治療を受けているが、3割の医療費負担が本当に大変で生活をきりつめている」などの深刻な事例を紹介し、老人医療費助成制度の内容を昨年8月の改悪前の条件にもどすべきだと質問しました。
 市からは「改悪前の制度にもどす考えはない」との答弁が最初でした。
 改めて、「元に戻してほしい」とする2万名に近い署名を寄せられた方々の思いや、市の「福祉と緑の都市宣言 (92年)」にもとづく助成制度創設の理念と意義などを示し、市長自身の選挙公約である「福祉先進都市をめざす」とした政治理念にも反する制度改悪だと指摘しました。
 しかし藤代市長は、自らの「選挙公約」や「福祉と緑の都市宣言」などに対して弁明することなく、「理解してほしい」の一点張りで、事実上船橋市の福祉政策の後退を表明しました。
 この問題については、議会に陳情としても提出され「健康福祉委員会」でも論議されました。
 日本共産党は「福祉と緑の都市宣言」にもとづく68・69歳の医療費助成こそ、船橋市の福祉政策を守る根幹であり「採択すべきだ」と主張しました。しかし、公明党のように「経済的に、社会的に、総合的に判断して反対だ」との意見が多数を占め、陳情は賛成少数で「不採択」となりました。


●年金課税強化で税・保険料アップ
 船橋市では年収250万円で約11万円増


 小泉内閣は今国会で、65歳以上の年金受給者に対する2005年1月からの 『課税強化』 を提案しています。その内容は、(1)公的年金等控除の縮小 (非課税部分を140万円から120万円に)(2)老年者控除 (年間所得1,000万円以下なら一律50万円を控除する)を廃止する―というものです。
 この課税強化で、新たに所得税や住民税の課税対象となる世帯が生まれ、それと連動して、国保料・介護保険料の引き上げにもつながります。
 船橋市の場合、年収250万円のモデル世帯 (夫婦とも65歳以上で一方が控除対象配偶者。収入は年金のみ)で、(1)所得税・住民税で約5万9千円の増税(2)国保料で約1万8千円の負担増 (3)介護保険料で約3万円のアップとなり、年間約10万8千円もの負担増となります。
 こんな改悪を許さず、安心して老後が暮らせる年金制度にするよう、力をあわせましょう。日本共産党は国政でも地方からも声を上げ、力を尽くします。