2005年 4月4日 583号

       
あなたの個人情報の保護は万全か?
   −個人情報保護条例の全部改正案の提出がされる−

  
 国民の個人情報の保護を目的とした個人情報保護法が4月1日から施行されています。
 最近でも民間企業からの個人情報流失が相次ぎ、国民の不安を招いています。先日も東京ディズニーランドなどの年間パスポート購入者12万人分の名簿が流出し、不審な勧誘にも使われました。IT技術の進展で個人データーが拡散しやすく悪用される危険性が高まっているなか、船橋市でも、個人情報保護条例の整備や、体制の強化をし、個人情報の自己コントロール権(プライバシー権)を守るために万全を尽くす必要があります。
 今回の3月議会には、個人情報保護条例の全部改正案が提出されましたが、次のいくつかの問題点についての指摘をしました。

@ 船橋市の個人情報保護責務が義務でなく努力規定となっていること
A 思想・信条・宗教などセンシティブ情報の取り扱い禁止が不明確であること。
B 個人情報の目的外利用の厳格性が担保されていないこと
C 民間業者に対して市と同レベルの個人情報保護規定の適用がされるのか不明確なこと
D オンライン接続にあたっての個人情報流失の対応が明記されていないこと。
以上指摘をしましたが、市は「運用にあたって問題がない」とする答弁に終始しました。

●小中学校生徒情報−警察への提供は大問題

 本条例案との関連で、昨年県教育委員会と県警察本部との間で締結された「児童生徒の健全育成に関する学校と警察との相互連絡制度の協定書」についても質問しました。この「協定書」には、県立の学校に通う児童生徒の情報を積極的に相互連絡し合うとする内容が明記されており、プライバシーが守られないだけでなく教育への信頼がそこなわれ問題になります。昨年11月、日本共産党県議団は、県教育委員会教育長へ「協定書の実施凍結と白紙撤回」を申し入れました。
 昨年末から、この協定を市町村の小中学校へとさらに広げていこうとする動きがあり、これは個人情報保護上問題ではないか、市の見解をうかがいました。しかし船橋市は、「条例が適用されれば問題はない」と「運用へ期待」をするだけで、プライバシー権を積極的に保護する姿勢が感じられませんでした。
 今後も、個人情報の保護がされるよう、船橋市の姿勢を質していきます。

市民には負担増とサービス減、一方で大型開発は推進

●高齢者福祉切り捨ての予算
老人福祉費の予算推移

2003年度  28億円
2004年度  25億円
2005年度  17億円
 老人福祉の予算は2年前と比べて11億円も減っています。高齢者医療費所得制限の引き上げでの7割カット、敬老祝い金、介護利用料助成などの大幅削減が行われてきたためです。収支を無視して進めてきた南口再開発の毎年の赤字10億円補填が、老人福祉費を食いつぶしています。こうした失政への反省を求めました。
 市長は「(別な数字を持ち出して)老人福祉費は減っていない」と言い張りました。しかし、介護保険利用料助成については、「(カットしすぎたので)一定程度戻すことも考えている」とも答えました。

●相変わらず開発を推進する予算
  −失敗に反省無く、新たな海老川上流域開発をすすめる−

海老川上流域開発の予想図

 南口再開発事業は、大失敗でした。171億円もの借金をこれから50年後まで引きずっていかなければなりません。市民に計画を隠したまま事業を推進したことにも問題があります。
 しかしこの失敗に何の反省もなく、市はまた新たな開発を進めています。海老川上流域特定区画整理事業(開発面積約80f)では、すでに1億円以上もの税金がつぎ込まれ、新年度予算でも500万円が組まれています。
 日本共産党は、「ゼネコンの素案では、高層ビルが林立し、観覧車が回転する計画となっている。ゼネコンの儲け仕事づくりが動機にあるからではないのか。この区画整理事業について、そもそもから議論し直すことが必要だ」と質しました。市長は「9割の地権者の同意が必要なので、それを前提としている」と答え、事業の必要性、採算性、市民への説明などの重要問題について、真剣な議論が行われているとは思えない答弁でした。こんな考えでの大規模開発の促進は認められません。

●市内経済の活性化へ−『商工業振興ビジョン』の活用を

 『船橋市商工ビジョン』が、2002年3月にまとめられています。このビジョンでは、
@ビジョン推進委員会の設置
A情報の収集と提供
B総合案内窓口の設置
C実験的連携プロジェクトの実施
が必要と提案されています。
 しかし、報告書がまとめられてから既に3年が経過していますが、これらを実行する構えが全く見られません。日本共産党がこのことを指摘すると、市は「商工会議所で検討しているので、推進を見ている」「出来るところからすすめている」との答えです。しかし、ビジョンで示されている課題については、全く手をつけていないのが実態です。2千万円もかけた報告書が眠ったままというのは税金のムダづかいです。やる気のない市の商工行政に腹が立ちます。