2006年 7月 3日 NO.618
「大きいこと」は良いことか−−大型合併で「政令市」をめざす?
 
 最近の船橋市長は「合併も視野に、政令市を検討する」などと、しきりに「政令市」という言葉を使うようになりました。
 政令市は、県とほとんど同等の権限を与えられる都市のことで、千葉県内では「千葉市」が政令市です。
 
● 判断基準は、市民のくらしが「良くなるのか、悪くなるのか」のはずですが・・・

 地方自治体が、どんな形を選択するのかは、まずそこに住んでいる市民にとって「くらしやすくなるのか」が基準でなければなりません。
 船橋市はいま、「中核市」ですが、一般市だった3年前と比べて「くらしやすくなった」という実感がありますか?
 中核市を選択するときにも、「財政的には市民に負担を押しつけることになる」から、もっと時間をかけて「合意を得られることなのか」を市民に聞け、という主張をしたのが日本共産党でした。
 いま市は「中核市」で千葉県の事務を一部引き受けていますが、そのために使っている事務費は「年間40億円弱」です。その40億円は、みなさんの税金で賄われているのです。

● 政令市は、もっと大きな財政負担が待っている

 今年の5月、清水市と合併して政令市になった「静岡市」を訪ねました。
 政令市に移行するにあたって、年間90億円近くの市債(借金)を予算に組んでいることがわかりました。
 担当者も、このまま続けば市債残高は「とほうもない額」になるでしょう、という説明でした。
 いまの「国と地方の関係」を考えると、他に歳入増が期待できるわけではありませんから、当然の話です。
 
● 市長は、「研究することは必要」だと・・・

 議会で市長は「一つの選択肢として、合併して、政令市に移行することも研究していかなければならない」と答えました。
 合併では市川市、習志野市などの名前があがっていますが、「浦安市」という名前は全く出てきません。
 それは、浦安市が「財政が最も豊かな市」で、合併などという「愚かな選択」をするはずがない、ことを知っているからです。
 ただ「大きいことが、良いこと」なら、浦安市だって参加するはずですが、この一つを見ても「合併そして政令市」が「最善の策」でないことがよくわかります。

利用者も施設も大変−−障害者自立支援法
  

 障害者福祉を大きく変える法律である障害者自立支援法は去年10月31日、共産、民主、社民の反対、自民、公明の賛成で成立しました。
 そして今年4月から順次施行され、障害者の福祉サービスは、利用者負担が原則一割負担となりました。このことにより通所施設等では、これまで無料であった障害者が一気に1万〜3万円(給食代を含む)もの支払いを強いられています。
 工賃収入を大幅に上回る利用料負担に障害者が働く意欲をなくし、施設利用をあきらめるなど、深刻な事態が生じています。
 また、施設運営も大変厳しくなっています。施設事業所への支援費の報酬単価引き下げと、支払い方式が月額制から日額制になったためです。このために「施設運営を続けるために職員の一時金や給与の削減で切り抜けるしかない」という施設が出ています。
 日本共産党は「利用者負担と施設運営の危機打開への制度の抜本的改善を」の緊急要求を出しました。

● 船橋市「独自支援」を10月から実施 
 
 6月定例市議会「健康福祉委員会」において船橋市は障害者サービスに関する利用者負担の軽減について「3年間の激変緩和措置を実施する」ことを明らかにしました。
 相談、日常生活用具の給付、移動、訪問入浴などの「地域生活支援事業」と車いす、義手、義足などの補装具給付を市独自の軽減対象にする内容です。これらについて市民税非課税、市民税均等割課税のみの世帯については自己負担額がゼロになります。また、課税対象者の場合でも社会福祉法人が提供するサービスの利用料と合わせて最高でも月37,300円の自己負担で済むようになります。
 今年度の軽減措置にかかる予算は1,800万円で、延べ対象者は3,300名になります。

● 市議会でも障害者団体からの「請願・陳情」に背をむける自民・保守、公明党会派

 障害者自立支援法で福祉サービスを利用する障害者の負担が重くなることを受け、障害者団体から「利用者負担増の軽減に関する陳情」「福祉・医療制度への応益負担反対等に関する請願」が相次いで市議会に提出されていました。障害者の切実な願いに行政も答え、3か年の時限措置ではありますが独自支援策をとりました。
 しかし、市議会ではこのような障害者団体の請願・陳情を自民・保守、公明党議員が多数で不採択とし、障害者の切実な願いに背を向けました。
 障害者自立支援法は問題の多い法律です。今後も日本共産党は制度の抜本的改善に向け取り組んでまいります。