2011年9月19日 No.752

◆原発からのすみやかな撤退を!

北部清掃工場建て替え
民間企業丸投げでいいのか
問題ある灰溶融炉は中止に


 市は、平成19年に学識経験者など入れた「北部清掃工場機種選定委員会」を設置し、同20年6月に、機種を「ストーカ式灰溶融炉」とし、「設計、建設、運営まで」すべて民間会社に委託する方向を決めていました。
 ストーカ式は、ゴミを格子上の炉で燃焼させます。灰溶融炉は、その燃えカスを高熱で溶かし、固め、破砕して、建設資材(スラグ)として利用しようとするものです。
 しかし、この方法は、CO2を大量に生じさせ、経費もかかりすぎ、スラグも需要が全くないという代物です。国も平成22年には、見直しの通知を出し、市はこれを受けて、灰溶融炉は中止することを決定しました。
 日本共産党は、機種選定の根本が崩れたこと、ストーカ方式は、船橋市が長年使用してきた機種であり、民間への丸投げのやり方を改め、市が責任をもって入札を行う方式への転換を要求しました。
 市は「機種選定は、その当時としては正しい選択だった。民間のノウハウを活用するには、設計から運営まで一括して依頼することが安くなる」と答えました。しかし、支出が少なくて済むかどうかは、15年経過しなければわからないのが実態ですし、その根拠も計算できていません。
 市はこれまでも、北部清掃工場では最初の機械は、全く仕様通りに動かず、数年で新しい機種に取り替えました。また南部清掃工場に隣接して建設した「焼却残査再資源化施設」もまともな稼働もせずに廃止、18億円もかけた温水プールも給水がうまくできず、8年で閉鎖するなど失敗続きです。
 ゴミ処理は、地方自治体の基本業務ですが、焼却業務をすべて民間に任せれば、市としての焼却技術の承継ができません。また、民間会社では、燃焼するゴミそのものを減らすという動機は生まれてきません。
 市は、来年の予算で、今後15年間で350億円もの債務負担額(分割払債務)を計上しようとしています。引き続き、市の主張の根拠を正して行きたいと思います。

 

「悪質」と「確信犯」どうやって見分ける?
再建管理条例は必要か?


 市議会に「債権管理条例」という条例が提出されました。
 内容は、滞納されている市民税や国民健康保険料、下水道使用料、道路占用料などを、それぞれの課から請求するのをやめて、一括して「もれなく取り立てる」という制度をつくるというものです。
 滞納されたお金を「収入未済金」と言いますが、それが21年度の一般会計では92億円にものぼります。国民健康保険会計でも39億円にもなり、「納めて欲しい」と思うのは当然です。
 しかし、中には「払える条件がない」人もたくさんいます。雇用の悪化など生活苦が広がっています。高額となった国保料などが支払い能力を超える負担となって苦しんでいます。この条例の運用で一番懸念されることはそこです。

「滞納整理が進んだ」と評価される面もありますが…

 船橋市が「市の債権回収で効果を上げている」と、報道もされました。そうすると、中には「埋蔵金」みたいに思う人もいるようです。
 でも冷静に考えれば、そんなことは期待できません。
 これまでだって、担当課では整理するために努力をしており、相手の事情がわかって、裁判をしても無理かもしれない、と判断するものもあったのです。

「悪質な滞納者」「確信犯」をどう見分けるの?

 取立てにあたって、生存権を脅かすような対応はしてはなりません。市も「悪質な滞納者」や「確信犯的」な滞納者には、訴訟も差し押さえもして、債権の回収をする、と言っています。
 一方、「やむを得ない事由があると認めるときは」減額や免除をする、という規定が設けられていますが、「誰が認めるのか」は曖昧です。
 さらに気がかりなのは、裁判所から「支払い督促状」を送る手法もとる、というのです。
 消費者金融などへの返済が遅れると「裁判所から督促状が来て」驚いた、という相談が来ますが、これからは船橋市への滞納があると、同じようなことが起こりそうなのです。
 「法律のことがわからない」人を脅かすような手法はとってほしくありません。

丁寧に事務を進めれば、今の体制でも「ことは足りる」

 この条例をつくって、債権管理課の体制を強化すれば、一時
的には効果が出るでしょう。
 でも、「そうしなければ出来ない」ものではありません。今の法律体系の中でも、丁寧に仕事をすれば、出来るのです。
 「債権管理条例」によって低所得など支払いに苦しむ市民を脅かして取り立て、生活費まで取り上げるような人権侵害を起こすおそれがぬぐえません。

 

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