市議会に「債権管理条例」という条例が提出されました。
内容は、滞納されている市民税や国民健康保険料、下水道使用料、道路占用料などを、それぞれの課から請求するのをやめて、一括して「もれなく取り立てる」という制度をつくるというものです。
滞納されたお金を「収入未済金」と言いますが、それが21年度の一般会計では92億円にものぼります。国民健康保険会計でも39億円にもなり、「納めて欲しい」と思うのは当然です。
しかし、中には「払える条件がない」人もたくさんいます。雇用の悪化など生活苦が広がっています。高額となった国保料などが支払い能力を超える負担となって苦しんでいます。この条例の運用で一番懸念されることはそこです。
■ 「滞納整理が進んだ」と評価される面もありますが…
船橋市が「市の債権回収で効果を上げている」と、報道もされました。そうすると、中には「埋蔵金」みたいに思う人もいるようです。
でも冷静に考えれば、そんなことは期待できません。
これまでだって、担当課では整理するために努力をしており、相手の事情がわかって、裁判をしても無理かもしれない、と判断するものもあったのです。
■ 「悪質な滞納者」「確信犯」をどう見分けるの?
取立てにあたって、生存権を脅かすような対応はしてはなりません。市も「悪質な滞納者」や「確信犯的」な滞納者には、訴訟も差し押さえもして、債権の回収をする、と言っています。
一方、「やむを得ない事由があると認めるときは」減額や免除をする、という規定が設けられていますが、「誰が認めるのか」は曖昧です。
さらに気がかりなのは、裁判所から「支払い督促状」を送る手法もとる、というのです。
消費者金融などへの返済が遅れると「裁判所から督促状が来て」驚いた、という相談が来ますが、これからは船橋市への滞納があると、同じようなことが起こりそうなのです。
「法律のことがわからない」人を脅かすような手法はとってほしくありません。
■ 丁寧に事務を進めれば、今の体制でも「ことは足りる」
この条例をつくって、債権管理課の体制を強化すれば、一時
的には効果が出るでしょう。
でも、「そうしなければ出来ない」ものではありません。今の法律体系の中でも、丁寧に仕事をすれば、出来るのです。
「債権管理条例」によって低所得など支払いに苦しむ市民を脅かして取り立て、生活費まで取り上げるような人権侵害を起こすおそれがぬぐえません。
|