あの街この町 No.237 2022年11・12月号
第3回定例議会 市民のために使わず過去最高額約97億円をため込む
8月29日からの37日間の日程で、2022年(令和4年)第3回定例会が開かれました。市長から提案された物価高・コロナ対策、住民税非課税世帯への5万円給付金などの補正予算131億円と、教育長の人事案件、昨年度決算の審査を行いました。
昨年度の決算では、剰余金が過去最高額の約97億円にものぼりました。財政がきびしいと、市民負担増や住民福祉を後退させた、市長の政治姿勢が問われます。
今議会では市民から、海老川上流地区開発による海老川下流部の治水への影響をみるシミュレーションのやり直しを求める陳情が出されました。日本共産党は開発の危うさを指摘し陳情に賛成しましたが、自民・公明・民主などの反対多数で不採択となりました。
学校給食費 第3子以降無償化へ!
来年1月から、第3子以降の学校給食費が無償となります。千葉県が、市町村へ補助制度を開始するのに合わせたものです。
これまで、日本共産党が市議会で繰り返し取り上げてきた学校給食の完全無償化に向けて、ようやく一歩を踏み出しました。
千葉県内では53市町村(本市を除く)のなかで、給食無償化や減免・補助などを実施しているのは、24市町村になっています(実施予定も含む)。日本国憲法では第26条に「義務教育は、これを無償とする」と明記されており、学校教育の一環である学校給食は当然、無償にすべきです。
完全無償化は約26億円の予算があれば実施できます。船橋市の一般会計2500億円の約1%です。引き続き、給食費の完全無償化に向け頑張ります。
今こそ 財政調整基金を市民のために
昨年度の船橋市決算では、剰余金が過去最高額の約97億円となりました。
剰余金を積み立てた後の財源調整基金の残高は、244億円と歴代3位の額です(グラフ参照)。
基金は財源調整基金のほか、減債基金・特定目的基金などがあり、それらを合計すると、352億円と、過去最高額となりました。
船橋市は物価高騰対策生活応援事業として、対象となる世帯に限って、1世帯あたり4440円のお米券を配布します。
これほどの剰余金があれば、全市民に一人5千円の現金給付(64万人で32億円)を実施することができます。基金にため込まず、今こそ、市民のために使うべきです。
市独自のPCR検査センター設置を
新型コロナ第7波では、感染疑いの方が市内の発熱外来を受診できない状況が続きました。こうした状況下で船橋市では、①重症化リスクが低い方(65歳未満で基礎疾患のない方、及び妊娠していないか、妊娠の可能性がない方)や、②発熱、咳、喉の痛みなどの症状が比較的軽い方に対し、受診を抑制するような案内がされていました。
市は8月、民間に委託してPCR検査キットを郵送し、検査を実施しましたが「結果がわかったのが、症状が出てから5日後だった」という声が。日本共産党は、「いつでも、だれでも無料で検査が受けられるPCR検査センターを設置すべきではないか」と改善を求めました。これに対し、「市独自の検査センターは設置する予定はない」との答弁でした。市民が医療を受ける権利が奪われる状態は、早急に改善が必要です。
引き続きPCR検査センターの設置、医療体制の充実を求めていきます。
緊急支援給付金 対象拡大を!
電力・ガス・食料品等の価格高騰による負担増を踏まえ、対象の世帯に対し1世帯あたり5万円の「緊急支援給付金」が支給されます。
対象となる世帯は、基準日(本年9月30日)に船橋市に住民登録がある世帯で、世帯全員の2022年度住民税均等割が非課税である世帯。予期せず本年1月から12月までに家計が急変し、申請日において、住民税が非課税である世帯と同様の事情にあると認められる世帯です。収入の目安は単身又は扶養親族がいない場合で、年収100万円です。2023年1月まで申請できます。
物価高騰対策ということですが、対象となる世帯が少なすぎます。市内全体の約30万世帯のうち、わずか25%です。日本共産党は、対象世帯を広げた市独自の物価高騰対策を求めましたが、市は迅速に支給することを理由に市独自の対策を拒みました。引き続き物価高騰対策を求めていきます。
【給付金 問い合わせ先】
9時~20時(土日祝を除く)
☎0120―777―136
火葬料が2倍に?!
来年2月、2ヵ年かけて行われていた「馬込斎場」の改修工事が完了します。工事完了に伴い、「馬込斎場」を運営する四市複合事務組合(船橋市・習志野市・八千代市・鎌ヶ谷市)は来年4月から「馬込斎場」の使用料の改定を決めました。2019年10月に供用開始した「しおかぜホール茜浜」に料金を統一するもので、火葬料は現行の2倍に跳ね上がります(2年間は1・5倍の緩和措置)。また、式場の使用料も、これまでは式場・遺族控室・通夜控室など、各部屋ごとの使用料が設定されていましたが、改定後はセット料金となり、使用しない部屋があったとしても、セット料金として支払いが発生してしまいます。
公共の斎場で、避けることのできない火葬料の引き上げなどするべきではありません。今後も使用料の引き下げを求めてまいります。
「有価物・資源ごみ回収協力金」の廃止で地域活動を後退させるな
船橋市は行財政改革として町会自治会やPTAの活動資金にもなっている「有価物・資源ごみ回収協力金」(以下「協力金」)は廃止します。新たな支援策を示しましたが、支援総額の1638万円は「協力金」の7119万2千円(2021年度)からは大幅削減です。
町会自治会のみなさんから、「活動するなというのか」「役所には協力できなくなる」という怒りの声があがっています。
これまで「協力金」を活用し、お祭りなど地域の行事が行われてきました。それが住民のつながりを作り、いざというときに助け合える地域づくりとなってきました。民生児童委員、ごみ減量推進委員、スポーツ推進委員、選挙立会人、国勢調査員も町会・自治会が推薦していますが、地域のつながりがあるからこそ推薦できるのです。
日本共産党は地域コミュニティを壊す「協力金」の廃止や支援策の見直しを強く求めました。市長は「みんなが納得できる形のものを制度化して提案させていただく」と答えました。
学校で先生が足りない!!
9月1日現在、市内の小、中、特別支援学校の教員未配置数は29人です。産休、育児休暇、病気等で長期間休みを取る先生の代わりとなる教員がいないという問題があります。
小学校では音楽の先生が担任の代わりにクラスに入ったため、音楽は専門の授業が受けられない学校などがあります。自習の時間も増え、子どもたちの学ぶ権利が奪われています。
代替教員がいない為、教員の多忙化も深刻です。先生達が忙しいために児童生徒と向き合う時間も減っています。子ども達が、いじめや様々な悩み事を先生に相談できずに1人で悩みを抱え込む様な状況は一日も早く改善が必要です。
議会では「国、県に改善を求める声を上げるべき」「補助教員の拡大や市としてスクールサポートスタッフの配置をすべき」と質しました。
市は「教員未配置問題は県に要望をあげている。国へは県を通じて要望する」「補助教員については状況を見極めながら考えていきたい。スクールサポートスタッフは県に要望をしている」と答弁しました。
本来、国や県が予算や人員の確保をすべきですが、教員未配置が深刻な中では市独自に対策をするべきです。引き続き改善に向けて声をあげていきます。
海老川上流部開発やめよ
海老川上流地域の飯山満川や北谷津川の川沿いでは、浸水被害が発生しており、一日も早い対策が求められています。
しかし、そのための対策として県が実施予定の、「海老川調節池」は、38年もの間、事業が進まないままで実現する保証はありません。
こうした状況で、海老川上流地区土地区画整理事業が始まれば、現在の浸水被害がどうなるかは、住民にとって切実な問題です。8月に公表された、区画整理事業による、海老川流域の治水への影響を検討するためのシミュレーションには、周辺地域からも高い関心が寄せられていました。
ところが、このシミュレーションに県の指示で「海老川調節池」の暫定整備が含まれてしまいました。
しかも、区画整理事業がこのシミュレーションを口実にして、工事着手します。
新たな災害が、うまれるような街づくりです。推進ではなく、中止するよう求めることこそ、船橋市の仕事です。
9月の船橋市議会
日本共産党提案の意見書(発議案)・主な陳情・議案への態度
共産=日本共産党(5人)、民主=市民民主連合(10人)、公明=公明党(9人)、飛翔(6人)、創風=創風ふなばし(6人)、市政会(4人)、新楓(4人)、架け橋(3人)無所属(3人)、は・小・今=議員の頭文字
【 ○=賛成、×=反対、退=退席、欠=欠席 】