ミニにゅうす 1096号 2025年4月14日

市内の小児医療を守るため民間病院への補助金を求める

 船橋市内には小児科を標榜する開業医は64件、これに対し小児が入院できる病院は船橋医療センター(29床)の他、民間(船橋二和病院・20床)1病院しかありません。一般的に救急や小児科は、医療資源の投入量に比べて診療報酬が低いことから、不採算部門と言われています。それでも2つの医療機関は小児病棟をなんとか維持し、市内の小児医療を守っています。
 このような不採算部門の補填などのため、医療センターには船橋市一般会計から毎年20億円もの繰入金があります。繰入をしてでも維持すべき大切な部門だからです。しかし、民間の病院にはこのような支援は、県からも市からもありません。
 材料費・薬剤費・人件費の高騰などにより、2024年は全国で医療機関の倒産件数が過去最悪となりました。「市内の小児医療をどのように守っていくのか」「不採算部門が病院の経営をさらに圧迫している」「民間病院に対しても病床維持のための補助金制度の新設が必要ではないか」と3月議会で質問しました。
 これに対し健康部長は、「国及び県に小児医療の支援について要望していきたい」「過去に小児病床を運営していた市内の民間2病院に小児病床の再開を働きかけている」と答弁しましたが、2病院に小児病床があったのは1つは2011年まで、もう1つは2006年までの話です。小児科医師の確保も大変困難な状況で、小児病床の確保はまったく実現の目処がありません。
 「医療センターの移転建て替えに1000億円をかける前に、民間病院を支援すべき」と市長を質したところ、「小児病床は非常に大きな課題と考えている」「支援については、市の中で検討していきたい」との答弁がありました。国や県任せではなく、市として、市内の小児医療を守るための支援の実現を引き続き強く求めていきます。

ひっ迫する地域医療 全国でも最低水準

 昨年の12月から今年2月にかけて救急車が来ても受け入れ病院がなかなか見つからない状況が起こりました。市内では見つからず市外の病院への搬送が月約200件にもなり、中には銚子市、成田市、木更津市、横浜市など遠方の病院にまで搬送されています。
 また、高齢者が療養する病床や子どもが入院できる病床が少ないため、高齢者や子どもが他市の病院に入院せざるを得ない状況があります。
 船橋市の医療体制がどうなっているのか本会議で取り上げました。
 所管の健康部長は答弁で、船橋市を含む6市の東葛南部保健医療圏での状況を明らかにしました。以下の通りです。
①人口規模が県内最大の約180万人で2030年まで人口は増加する。2050年にかけて後期高齢者人口の増加率が県内最大で医療需要が増加する。
②東葛南部圏域の医療資源について(表参照)
③東葛南部圏域で看護師の職員不足等により非稼働病床のある病院が6か所
現状でも極めて深刻な状況が示されましたが、今後高齢者人口が増えればもっと厳しい状況が予測できます。

課題解決の日本共産党の提案

 医療センターは1000億円の移転建て替えではなく、手術室など必要な機能の充実整備を急ぐことを日本共産党が提案。
 具体的には、医療技術の進歩に合わせた医療機器や治療法の導入と、治療室の確保といった必要な増築に限った工事を行うことを提案しました。この増築案のほうが時間的にも短縮でき、早期に活用が可能です。
 しかし市長は「現存のプランというものをベースにして、まだスリムにすることができるのか、なるべく実現ができる形に持っていきたい」と答え、移転建て替えをそのまま進める意向を示しました。こうした市長に市政を任せるわけにはいかないのではないでしょうか。