あの街この町 No.245 2025年5・6月号

第1回定例議会 これで良いのか 新年度予算
松戸徹市政 3期12年の締めくくり?

 2月13日から41日間、船橋市議会で2025年第一回定例会が開かれました。相次ぐ物価高騰に苦しむ市民を置き去りにしながら、海老川上流地区での大型開発を進める2025年度予算案が、自民党、公明党、立憲民主党などの賛成多数で可決されました。日本共産党は市の予算案(一般会計2568億円)に対し、学校給食無償化や18歳までの医療費無料化、高齢者補聴器助成事業の拡大、生理の貧困対策の拡充などを含めた組み換えを提案し、論戦を行いました。
 さらに議案質疑では、すべてが必要とは思えない総額1000億円超を費やす医療センター移転事業やひっ迫する医療・救急体制、下水道管の老朽化、DV継続が懸念される離婚後共同親権などを取り上げ、見直しや対策をと市長に迫りました。

市民に冷たい新年度予算

 新年度の一般会計予算は過去最高額の2568億円となりました。増額した予算の大半は児童手当の拡大(15歳から18歳)や昨年の定額減税給付分、政府主導の自治体DX(デジタル変革)などで、国の事業によるものです。米や野菜など食料品の値上がりに悲鳴を上げる市民生活への船橋市独自の支援は欠けています。
 船橋市の基金残高は2023年度決算で総額468億1593.1万円と過去最高額を更新しており、暮らしを支援する財源がなかったとはいえません。
 市長が支援する「メディカルタウン」のために新駅建設費や開発助成金は29・3億円も予算化されていますが、防災対策や、保育園・放課後ルームの待機児童対策、介護職員不足問題など深刻な課題への取り組みは遅れたままです。「メディカルタウン」のための医療センター移転建て替えは、建設事業費が膨れ上がり1000億円を超えることが判明しても見直そうとしていません。そのことが予算編成にあたっても学校給食費の無償化、災害対策などの市民要求に応えない結果をもたらしています。
 日本共産党は、医療センターの整備は手術室など必要な機能の拡充にとどめ、過大な財政負担とならないようにすべきだと提案しています。

理事長背任疑惑のJCHO船橋中央病院
市は現地建て替えを求めよ

 「歩いて行ける総合病院がなくなる」―独立行政法人地域医療機能推進機構(通称JCHO〈ジェイコー〉)船橋中央病院の日本建鐵跡地(山手1丁目)への移転発表以来、周辺住民から不安の声が出ています。しかも移転予定地は周辺の道幅が狭く、休日の道路渋滞が深刻ですが、野村不動産と住友不動産が最大1300戸のマンション開発を行う予定です。渋滞がさらに悪化し、救急車の通行に支障が生じかねません。
 日本共産党は2月28日の市議会で市に対し、中央病院の現地建て替えをJCHOに求めるべきだと訴えました。また、移転用地を巡りJCHOの山本理事長が野村不動産に34億円の利益供与を行った疑いを「しんぶん赤旗」が報じており、真相解明も併せて求めるべきと質しました。
 市はどちらも拒みましたが、医療従事者の待遇改善や地域医療の拡充が求められる中、見過ごせない事態です。見て見ぬふりをすべきではありません。

下水道管の老朽化、船橋市は大丈夫?

 埼玉県八潮市内で発生した大規模な道路陥没事故によって、全国の下水道施設の老朽化問題が焦点となりました。日本共産党は、今後の市の対応と改修について質疑を行いました。
船橋市は、
・直径1・5m以上、最大で5mの管渠が埋設されている道路の路面下空洞調査を実施
・直径2m以上の管渠が埋設されている道路の目視による調査を3月から2か月間で実施
することを明らかにしました。
 しかし、今回の調査費用と補修が必要となった場合の費用への国からの支援は未定です。水道や下水道などは、命にかかわる問題であり、自治体任せではなく国の責任で対策すべきです。
 しかも、新年度予算では、下水道WPPP(ウォーターPPP。下水道施設の維持管理・更新をすべて民間にまかせること) の導入を検討する予算が計上されました。下水道管の改修事業を利用して、国の支援が欲しければWPPPの導入をしろという内容です。下水道事業は、衛生的な生活環境の保持、自然環境の保全などを行う重要な事業であり、国が費用負担するのは当然です。
 来年度は、下水道料金の値上げが予定されています。県営水道料金も20%の値上げが予定されており、市民の負担はさらに大きくなります。6月の市長選挙と市議補欠選挙、7月の参議院選挙で、下水道料金の値上げを食い止め、老朽化対策へ国の支援を実現できるよう、力を尽くします。

市民の命を守る救急隊の増隊は急務

 昨年暮れに「救急車を呼んでも、なかなか来ない」「受け入れ先病院が、なかなか見つからない」という情報が日本共産党市議団に寄せられました。
 市内では、搬送困難事例件数は10月192件から今年1月には451件に、現場滞在最長時間も10月199分から1月には694分という状況がわかりました。12月には市内の救急車がフル稼働し、およそ8分に1回救急車が出動している日もありました。1度出動した救急隊が、消防署に戻る間もなく次の現場へ向かうという状況でした。「早急に増隊が必要ではないか」と求めましたが、消防局長からは「まずは2024年度増隊(1隊)した効果の検証をし、救急需要を見ながら適正な時期に検討していきたい」と答弁があっただけでした。
 今年の夏も猛暑が予想され、救急隊員の過重労働も心配です。今後高齢化社会が進めば、ますます救急車が必要になります。市民の命を守るためにも、早急に体制強化が必要です。


3月の船橋市議会
議案・日本共産党提案の意見書(発議案)・主な陳情への態度


共産=日本共産党(5人)、民主=市民民主連合(11人)、公明=公明党(9人)、結=結(7人)、清風=清風会(5人)、飛翔=飛翔(4人)、市政=市政会(議長を除く3人)、無所属(4人)は・三・か・佐=各議員の頭文字 【○=賛成 ×=反対 退=退席】
議案等に対する各議員の賛否についてはこちら(船橋市議会HP内PDF)