ミニにゅうす 1035号 2022年7月19日
土地利用規制法を使った弾圧への協力は拒むべき
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(いわゆる土地利用規制法)は9月から全面施行されます。
この法の目的は重要施設の「機能を阻害する行為の防止」です。
周囲おおむね1kmを注視区域や特別注視区域とし、その区域内にある土地・建物の所有者や賃借人、その他の関係者まで広く住民が調査され、多くの市民のプライバシーが丸裸にされてしまう恐れがあります。政府が機能を阻害すると判断すれば、土地等の利用中止を勧告・命令することができ、命令に違反すれば2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられるものです。
専門家からは市民運動なども弾圧される恐れがあると指摘されています。
この法律は具体的に何をしてはいけないのかが明確ではないという(罪刑法定主義に反する)問題があります。つまり、機能阻害行為とは何か定義がありません。船橋市で関係する習志野基地、演習場で言えば多くの機能が存在すると考えられます。通信機能、演習・訓練機能、災害救助、弾薬の保管、物資の輸送、さらに言えば自衛隊員の暮らしを支えたりといったことも機能と言えるかも知れません。
同法では第22条で、目的達成のために地方自治体に「その他協力を求める」とされています。
専門家からはこの協力について、道路管理者に基地周辺での抗議行動や座り込み者の排除などを求めたり、公園を集会で使わせないなどの協力を求めたりする可能性があるのではないかと指摘されています。
議会では「思想信条の自由、表現の自由を奪いかねない協力は拒むべきではないか」と市を質しました。
市は「どのような協力を求められるのか不明」「想定での質問に答弁ができない」と明言を避けました。
同法では地方自治体には協力を拒んでも罰則規定はありません。憲法違反の協力は拒むよう、引き続き求めていきます
海老川上流地区開発
安全求める市民の声に向き合え
船橋市は5月21日、22日の二日間の日程で、海老川上流地区開発が海老川下流域の治水に与える影響について、住民説明会を開催しました。
ところが、開発が治水に与える影響についてのシミュレーション結果は公表されませんでした。千葉県が5月、「海老川調節池の暫定整備と、海老川下流部の河床掘削を早期に行うよう努めるので、それを前提にしたシミュレーションにしてはどうか」と提案し、市がシミュレーションをやり直すと決めたからです。しかし県は2032年度までの対策実施に努めるとしているだけで、確証がありません。また仮に2032年度までに実施されても、盛土が行われるのは工事の初期です。その間の水害リスクへの言及は一切ありません。
共産党は本会議で「調節池の暫定整備がされなかった場合のシミュレーションもすべきだ」と問い質しましたが、市はそれに全く答えず、万全を期すという姿勢を見せませんでした。
また市は3月3日の本会議で、開発予定地に行われる盛り土量は45万㎥と答えましたが、5月13日の建設委員会では33万㎥と答えました。市が数字の根拠にしたのは組合(または組合準備会)が提示したもので、業務代行予定者である準大手ゼネコン(株)フジタの示す数字を市独自に検証をしていません。
また、有害物質を含んだ残土が開発地に持ち込まれないかなどの心配もあります。市は土壌汚染がされないよう盛土条例を準拠して取り扱うようフジタに話していると言いますが、フジタはJR東海のリニアのトンネル工事を受注した会社でもあり様々な懸念は払拭できません。
共産党は「工事を凍結するよう組合を監督すべきだ」と主張しましたが、市は「住民説明会が終わるまで工事に入らないよう待ってもらっている」と、着工を容認しています。
ハザードエリアに医療センター移転はやめよ
開発予定地は最大3mの浸水想定区域です。市は医療センターをそこに移転する予定です。
通常、放射線室は1階か地下に造られ、船橋市も低層部分への配置を想定しています。
2019年の台風19号では、郡山市の星総合病院で1階が浸水し、CTやMRIなど高額な機械が水没し、約25億円もの損害が出ました。気候変動の影響で豪雨が各地で強まる中、ハザードエリアに市立病院を移転するのは不合理です。
必要なのは災害に強いまちづくりです。市は現実を直視し、海老川上流地区は広大な公園にするなど、思い切った計画転換を進めるべきです。今後も追求していきます。