ミニにゅうす 1036号 2022年7月25日
零細業者を廃業に追い込むインボイス
市内の影響を調査せよ
来年の10月1日から、消費税を納税する際、「仕入税額控除」を行うためには「適格請求書等」の保存が控除の要件となります。これがインボイス制度です。
日本共産党はこの間、「インボイスの開始によって、市内に1万以上存在すると考えられる消費税の免税事業者に多大な負担を被せかねない」と主張し、船橋市に対して「零細業者を廃業に追い込むようなインボイスは中止せよと、国に意見すべきだ」と求めてきました。
インボイス制度は同時に、地方自治体にとっても、大きな影響があります。
船橋市が民間事業者に、消費税がかかる支払いを求める場合、(制度上では、市が「売手になる」場合、といいます)市がインボイスを発行しないと、民間事業者が仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。
地方公共団体で、市民サービスの提供など基本的な仕事をする経費は、「一般会計」に計上されています。この会計の中で行われている課税売上事業は、53事業。海浜公園管理費負担金や霊園管理料、運動公園使用料や駐車場施設貸付料などがあります。
一方、船橋市が民間事業者に対して消費税のかかる支払いをする(制度では「買手になる」場合、といいます)場合があります。民間事業者から物品などを購入する場合です。
物品などの購入の際には、入札などを行いますが、インボイス発行事業者かどうかを入札等の参加要件にしてしまうと、免税事業者は市の仕事を受けられなくなります。
共産党は6月議会で「インボイスの発行者か否かを判断材料にせず、市内の事業者と引き続き取引すべき」と市を質しました。現在は、免税業者も参加できる、というのが市の答弁です。
そもそも市の事業で、インボイス制度によってどのくらい影響が出るのか、市は把握していません。一日も早く調査を行い、市内事業者の実態をつかむべきではないでしょうか。
温暖化招くプラスチックごみ
焼却をやめ 分別回収を
「プラスチックゼロ」は地球と人類の未来にとって緊急課題です。船橋市も含め日本では、プラスチックごみ(以下、プラごみ)のほとんどを「有効利用」と称して燃やし、「プラごみを燃やすごみ発電」が奨励されてきました。石油由来のプラスチック焼却は温室効果ガスを増やし、船橋市でも年間約8万トンのCO2を発生させています。
同時にプラスチックの多くは利用後、環境中に流出してしまうことも少なくありません。世界の年間生産量は4億トンを超え、プラごみのうち毎年800万トンが陸から海へと流れ込んでいると推計されています。海洋生物や生態系への深刻な影響が明らかになっていますが、日本は一人当たりの使い捨てプラスチックの廃棄量がアメリカに次いで2番目に多いプラスチック大国です。プラごみ対策は世界に対する責任です。
4月、「プラスチック資源循環法」が施行されました。同法では容器包装か製品かに関わらずリサイクルを進めるとされ、家庭から排出されるプラごみの回収については企業による自主回収と、市町村が回収し、リサイクルを行なっていくとしています。
船橋市はこの間、プラごみの分別回収を行なってきませんでした。「プラごみを燃やすごみ発電」で有効利用(サーマルリサイクル)する方が良いと考え、そうしてきたからです。しかし、サーマルリサイクルは国際的にはリサイクルとしてカウントされません。日本でも昨年のプラ資源循環法審議の際、政府は「廃プラのサーマルリサイクルは資源化(リサイクル)とはみなさない」と答弁しています。
こうした状況下で船橋市は3月、プラごみの分別収集、資源化を行った時の経費や温室効果ガス削減効果の試算結果を発表しました。「年間7億7千万円の施設運転管理費、収集運搬費がかかる。その割に温室効果ガス削減量はわずかだ」として、当面は焼却処理を続けると結論づけました。
日本共産党は6月議会で、東京都がプラごみ分別回収を始める区市町村に3年間、経費の大半を補助する制度を運用していると示し、「千葉県に強く働きかけ、同様の制度を作らせるべきだ」と主張しました。また千葉県内で20以上の市町村が容器包装プラスチックの分別をしている実態を示し、「経費の高さは言い訳にならない」「分別しないことで私たち自身がプラスチックの使用量を意識しにくくなっていないか」と質しました。
市は補助制度について「国県に働きかけたい」と答えましたが、市民意識への影響については答えませんでした。
自治体に経費負担を押し付けるごみ処理のあり方は問題ですが、足元からできることに船橋市も踏み出すべきです。市民と力を合わせ、プラごみ問題の解決へと力を尽くすことが求められます。