ミニにゅうす 1105号 2025年10月6日

AED使用率 男女で格差

性別を救命率の差にしてはならない

 心停止に陥った際、電気ショックを与え、正常な心臓の動きを取り戻すために使うAED(自動体外式除細動器)は、公共施設はもちろん企業など多くの場所に設置されるようになっています。日本AED財団によりますと、心停止後の救命率は119番通報のみだと7%ですが、救急車到着前に心臓マッサージとAEDを使えば約半数の人の命が救えるそうです。2004年からは医療従事者でない一般市民でも使用できるようになりました。また操作も難しくなく、機器に電源を入れれば音声で使用方法が流れるため、より多くの人の命が救われるようになっています。
 しかしその一方で、女性へのAED使用率が男性に比べて低いという分析結果が京都大学等の研究グループから出されています。
 心臓に電気ショックを与えるためにAEDは2枚のパッドを素肌に貼ります。患者が女性の場合、パッドを貼るために胸元を露出することになり、救命行為だったにもかかわらず、ワイセツな行為をとったと訴えられてしまうことなどを恐れて、女性へのAED使用をためらう人が多いのが理由ではないかと言われています。今年1月には大手インターネット番組で、そうした事例が存在するとの悪質なデマも流されました。

女性への使用方法 市として啓発を

 この状況を改善するために船橋市消防局ではどういった対策をとっているのかと市議会で日本共産党が質したところ、市が公共施設に設置しているAEDには三角巾が配備されていることが分かりました。AEDパッドを素肌に直接貼り付けさえすれば下着を外す必要がなく、その上から三角巾や薄い服などで覆っても救命機能に影響はないそうです。消防局の救急講習ではその内容の指導も行っているそうですが、いったん広まってしまった社会の誤解を取り除くためには、チラシやポスターなどの啓発も必要ではないかと共産党は要望しました。

困窮するシングル女性への支援を

 近年シングル(配偶者のいない独身者)が増加し、離婚や死別を含めると男性の42・6%、女性の46%がシングルです(2020年の国勢調査より)。また同年、国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、50歳時の未婚率は男性が28・3%、女性は17・8%で、かつてより大きく伸びています。
 女性は勤労者の半数以上がアルバイトやパート、派遣など非正規雇用です。よってシングル女性は貧困率が高く、20〜64歳の24・5%、65歳以上の46・1%が貧困とされています。
 「月に1、2回買うスーパーのお惣菜が唯一のぜいたく」などの悲痛な声が出される中、男女の賃金格差の是正、最低賃金の大幅引き上げ、年金の底上げはもとより、実態に見合う支援を行うべきです。

家賃補助の実施、市営住宅の年齢制限撤廃・増設を

 今議会で日本共産党は、シングル女性がアパートを選ぶ際、防犯のために2階以上の住まいやオートロック、犯罪の起きにくい駅近などの立地条件が重要なことから家賃が高額になりやすい事と、男女で賃金の格差がある事を示し、低所得者を対象とする家賃補助の制度をつくるよう求めました。
 市は「2019年から賃貸人に月2万円を補助する、住宅セーフティネット家賃低廉化事業を実施している。家賃補助と同等の制度だ」と答えましたが、6月10日現在の空き住戸は15戸のみで、1階や駅から遠い、年齢制限があるなどの物件もあり、十分な制度とは言えません。

「住まいは人権」の視点で

 船橋市の市営住宅については千葉県のように60歳未満のシングルも入居可とし、現状の供給計画を緊急に見直し、増設すべきと市を質しました。
 市は「60歳未満の単身者について需要が一定数あることは認識しているが、高齢単身世帯の申し込みが非常に多く、現時点で要件の緩和は考えていない」と答えましたが、そうであれば一層、市営住宅を増設すべきです。
 市は「福祉部局などと連携させながら、住宅提供には引き続き努めていきたい」とも答えました。「住まいは人権」の視点に立った市政執行が強く求められます。