ミニにゅうす 1107号 2025年11月3日

医療センター移転建替え
「現プラン」見直しはどうなるか

 第3回定例議会では船橋市医療センターの2024年度決算審査と、医療センター移転建て替え計画見直しのための補正予算が審議されました。

2024年度純損失10億8200万円

 現在、医療センターは移転建て替え計画がありますが、現在の病院の経営状況では建て替え費用を支払うことは困難というのが実態です。
 医療センターは人件費や物価の高騰による経営状況の悪化で、2024年度収支は10億8200万8507円の純損失となりました。政府が診療報酬単価を低く抑えているためで、全国の医療機関で同様の問題が起きています。さらに2025年度は13億円の純損失が見込まれています。

医療センター現プラン
見直しのため委託料の補正

 市長選後の7月の議会で現プランの見直しが表明され、今議会では移転建て替え計画の再検証のための業務委託料約2100万円が増額補正されました。発注先は現プランの設計会社ですが、「発注者側の市が条件をオーダーするので現プランに引きずられない」とのことから、日本共産党は補正予算には賛成しました。
 審議の中で、市は新病院の建設のため、庁内連絡協議会を9月に設置したこと、今年度中に建物の規模や構成を検討し、概算工事費の算出を行い、2026年度上半期中に事業収支計画を整理することを明らかにしました。
 昨年9月の建設工事入札不調後、現プランの総事業費が1000億円を超える見通しとなり、市長選挙では医療センターの移転建て替え問題が一つの争点となりました。
 医療センターの機能を確保し、病院や船橋市の事業費負担が適正な計画になるのかはこれからです。また依然として建て替え場所は「水害や液状化のリスク」がある海老川上流地区区画整理地内であり見直しが必要です。

排外主義、外国人差別許さず、豊かな共生を

 外国人への不安や敵意をあおる根拠のないデマや嘘が問題になっています。参議院選挙では、「日本人ファースト」をかかげ事実を無視した外国人敵視・排外主義の発言を行った参政党が議席を増やし、見過ごせない状況です。今議会では、外国人差別を許さない取り組みを求めました。
 人口が65万人となった船橋市ですが、令和2年4月からの5年間で日本人は1308人の増加、外国人は5489人の増加で外国人居住者が大幅に増加しました。外国人住民数は令和7年4月1日現在では2万4434人と過去最高となっています。
 外国人居住者が急速に身近な存在になっているだけに、行政が正確な情報を積極的に発信する必要があります。
 特に行政にかかわる情報では、「生活保護で外国人が優遇されている」とか「高額療養費が外国人に多く支給されている」など「外国人が優遇されている」というものがありますが、実態について聞きました。

生活保護や国保「外国人優遇」はデマ

 まず、生活保護では「法は日本国籍を有する方を対象にしている。外国人に対しては、日本国民に準じた措置で、保護決定に必要な手続きや調査は日本国籍を有する方と同じで、外国籍の方が生活保護を受けやすいということはありません。」
 国民健康保険では、「(国保加入者の外国人比率4%に対し)外国人の高額療養費の割合は1・2%と公表されている。医療目的の渡航者の国保加入は制度的にできない。」
 どちらも明確に「優遇を否定」する答弁でした。

外国人従業員がいなければ成り立たない多文化共生を

 さらに経済部長からは「市内各事業所は人手不足の中、多様な人材の確保に努めており、その中で外国人労働者も事業を支える人材として市内の経済活動の一端を担っている。」との答弁がありました。市内のコンビニでも工場でも外国人従業員がいなければ成り立たなくなっています。
 船橋市で関東大震災時にデマによって朝鮮人を多数殺害する事件が起きたのは、排外主義も要因といわれています。二度と繰り返さないためにも外国人差別を許さず、地域でともに豊かに暮らす多文化共生の取り組みを求めました。
 暮らしが困難になっているのは外国人が増えたからではなく、財界・大企業優遇による非正規雇用の拡大と賃金抑制、国の医療・介護・福祉・教育予算削減が原因です。政治家の外国人差別はこうした問題から目をそらし解決を遠ざけるものです。