あの街この町 No.231 2021年5月号

市民の命と暮らし最優先の予算へ
予算組み替え案を提出

 2021年度(令和3年度)予算が成立しました。一般会計予算額は、約2121億円です。昨年にくらべ、0・2%の増額となっており、新型コロナウイルス対応として国の補助金などを活用した医療機関への支援、ワクチン接種事業などが大幅に増えています。
 しかし、新年度予算で求められていたのは、第4波が懸念される感染拡大防止のため最大限の対策を行うこと、度重なる緊急事態宣言で深刻になっている市内経済と雇用の対策、生活困窮者への支援策です。これらへの充分な予算がつかないばかりか、市民負担増とサービス削減が盛り込まれています。海老川上流地区などの大型開発を進め、財源は、さらなる行革に取り組むことで確保していくと、表明しています。
 日本共産党船橋市議団は、新年度予算の問題点を指摘し、船橋市が地方自治体としての本来の役割を果たすよう求めるため、予算の組み替え案を提案しました。

日本共産党の組み替え案

 組み替え予算では、
◆「行財政改革」という口実で強行されている、高齢者や母子家庭などを狙い撃ちにした、各種事業の削減を行わないこと
◆「受益者負担」を口実にして低所得者を排除するような公共施設使用料の値上げ、運動公園や法典公園の駐車場の有料化をやめること
◆国民健康保険料や下水道使用料の値上げをやめること
◆病院と高齢者・障害者施設職員に対し、PCR検査の定期検査実施と対象者を増やすこと
◆子育て支援策として学校給食費の減額、生理用品の支給
などを提案しています。主な内容は、別表をご参照ください。
 2019年度決算によると、船橋市の財政指標は全国60中核市のうち第8位です。
 今年は、市長選挙の年でもあります。この豊かな財政力を皆さんとご一緒に、市民のくらしに活かせるよう、力を尽します。

ワクチン頼みではなく、積極的な検査を

 新型コロナウイルスワクチンの医療従事者への接種が先行して開始されました。市民への接種は65歳以上の高齢者、基礎疾患のある方、高齢者施設等の従事者、その他(16才~64才)の順番で予定されています。しかし、国からの供給が遅れているため、高齢者への接種開始時期も当初の予定より大幅に遅れ、4月中旬以降になります。ワクチンは居住地で接種することが基本とされていますが、普段から通院しているかかりつけ医が他市の場合、「医師が認めれば他市での接種も可能」ということが質問の中で明らかになりました。
 千葉県でも変異株感染者が見つかっています。船橋市保健所では、新型コロナ陽性検体を県衛生研究所に送って変異株の検査を行えることになっていますが、「変異株陽性者がでた場合の受け入れ医療機関の調整を行なっている」とし、検体を送っていませんでした。
 3月18日の市議会予算委員会で、日本共産党が実態を明らかにし、「検査をせずに、『変異株感染者0』は、感染を隠しているのと同じだ」という観点で、一刻も早く変異株検査を実施するよう求めました。
 これにより、船橋市保健所は3月24日から、一定の条件を満たした新型コロナウイルス感染症陽性検体について、変異株の検査を千葉県衛生研究所に依頼し始めました。
 変異株陽性患者を受け入れる病床の確保は、医療機関任せにするのではなく、国・県・市が一体となって医療体制整備に力を注ぐべきです。

「開発をやる」という結論ありきの船橋市

 海老川上流地区の土地区画整理事業は民間の事業なのに市が多額の税金を投入するだけでなく、市立医療センターの移転と東葉高速鉄道の新駅建設費用を全額市で賄うことが問題となっています。しかも、開発予定区域はハザードマップでは浸水や液状化の危険性が指摘されている土地です。市民の命を預かる市立医療センターの移転は安全な場所にするべきです。
 市はこの間、市立医療センターの建て替えにあたって「候補地が無い」などと説明してきました。現在の市立医療センターに隣接する農地は「地権者の合意が得られなかった」などとも説明してきました。船橋市が農地の地権者と交渉したとされるのは2015年度です。ところが、市はその前年の2014年度に「新駅設置及び駅周辺への市立医療センター移設」の提案を業者に依頼しているのです。農地の地権者との交渉は単なるアリバイ作りだった可能性があります。地権者は「交渉された認識はない」と述べているという話も出てきています。
 改めて市立医療センターの移転候補地を広く募るべきではないかと質問しました。市は「早期の建て替えが必要」などと答弁し、再募集はしない考えです。しかし、災害が起きてからでは取り返しがつきません。安全な場所に市立医療センターの移転をするよう引き続き求めます。

平均150時間もの残業 保健所の長時間労働の解消を

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、船橋市の保健所では異常な長時間労働が常態化しています。
 「船橋市新型コロナウイルス感染症対策保健所本部」で管理職を務めるある職員は、昨年4月から今年2月までの期間、ひと月あたりの残業時間の平均が150時間にも上りました。
 厚生労働省が過労死ラインの目安としているのは月80時間ですが、毎月その2倍近くの残業を強いられていることになります。
 保健所の一般職員も、昨年7月から今年1月まで、月80時間以上の残業をした職員はのべ103人となり、最多は月173時間でした。
 日本共産党は本会議で実態を示し、「新規で正規雇用を大幅に増やすべきだ」と質しましたが、市は「採用数を増やすことによって必ずしも解決されると言うことでもない」と増員を否定。さらに、「保健所の現状を総務部などに聞き取らせ、必要な対応をしたい」と述べるだけで解決策は示されませんでした。
 保健所は、陽性者の把握、感染ルートの確認、医療機関との連絡調整など、対策の要となる仕事を担っています。ワクチン摂取の時期が不明な中、体制強化は急務です。
 市長の政治姿勢が問われます。

「生理の貧困」対策 生理用品の無料配布を求める

 コロナ禍で収入が減り、生理用品が買えない「生理の貧困」という苦境に立たされている若い女性が少なくないことが問題になっています。コロナ危機のもと、真っ先に生活状況が悪化する女性や子どもへ、世界各地で生理用品の無償配布が始まっています。本市でも、防災用の備蓄を活用した生理用品の無償配布と、小・中・高校や公民館など公共施設のトイレに生理用品を気軽に使えるよう設置することなど、「生理の貧困」に取り組むことを求めました。
 「女性だから仕方がない」と我慢してきたことが、決してそうではない、女性の「学ぶ権利」や「働く権利」「人間としての尊厳」に関わる深刻な問題として対策が求められています。

下水道使用料のさらなる値上げ中止を

 船橋市では「行財政改革」として昨年7月から下水道使用料の値上げが強行されましたが、今後も更なる値上げが計画されています。議会には船橋市下水道事業経営戦略案が示され、その中では今後の使用料値上げ計画や試算が出ています。「受益者負担」なる考え方を持ち出し、将来的には汚水処理の経費を市民が負担する使用料でまかなう計画です。
 現在示されている計画では表1の通り2024年7月、さらに2028年7月にも値上げを行うとされています。これを基に計算すると2か月で40㎥使用していた家庭の使用料は表2の通りです。
 昨年の値上げ前の下水道使用料と比較すると1回の請求額の差額は1398円増になり、年額にすると8388円もの値上げです。
 我々は水を使わずに生活することはできません。下水道使用料の値上げは命に直結する大問題です。下水道料金の値上げは止めるべきではないかと質問しました。市は「次回改定予定の2024年度に向けて検討を行う」という値上げの計画を進めていくという答弁でした。
 日本共産党は値上げ中止、「行財政改革」中止の声を引き続き上げていきます。

 

船橋市議会 意見書と主な陳情への態度


共産:日本共産党(5人)、自由:自由市政会(11人)、公明:公明党(9人)、民主:市民民主連合(8人)、自民:自由民主党(7人)、真政:真政会(4人)、
みらい:みらい@船橋(2人)、 無所属(3人):は・小・今=議員の頭文字

退:退席、○:賛成、×:反対