あの街この町 No.233 2021年11・12月号

第3回 定例議会
新型コロナ・ジェンダー平等・土地利用規制法
いのち・くらし・人権を守ろう

 8月30日から10月5日までの日程で第3回定例議会が開かれました。
 市長から提案があった新型コロナ対策などの補正予算や、2020年度決算を審査しました。日本共産党は新型コロナ対策に関し4本の意見書と選択的夫婦別姓に関する意見書、土地利用規制法に反対する意見書を提案しました。市民民主連合などの賛成を得たものの賛成少数で否決されました。

公平性に欠く還元事業の実施
キャッシュレス決済ポイント

 新型コロナ対応臨時交付金約10億円の補正予算を使った「キャッシュレスポイント還元事業」が賛成多数で可決されました。
 市内の店舗でキャッシュレス決済を行うと、決済金額の一部がポイントとして還元されます。これによって消費を喚起し、コロナ感染症で影響を受けている市内事業者の経営を支援するとともに、国が推進するキャッシュレス決済を普及させることが目的です。しかし、対象はキャッシュレス決済を導入している店舗に限られ、現金で買い物する市民は支援の対象外となり、公平性を欠く事業内容です。コロナ対策であれば検査体制の充実や教育支援などが先ではないでしょうか。日本共産党他3人の議員が反対しました。

市民と野党の共闘で、ジェンダー平等を実現

 世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数2021」では、日本は156カ国中120位。ようやく日本でも、ジェンダー平等の議論が、進み始めています。
 日本共産党は、この問題でも市民と野党の共同で、船橋市でもジェンダー平等に向けた努力を続けています。今議会で、無所属議員や他の政党会派の議員にも呼びかけ、「選択的夫婦別姓制度の導入に向けた国会審議の推進を求める意見書」を提案しました。
 提出に賛同したのは、今仲きい子・はまの太郎・池沢みちよ・朝倉幹晴・浦田秀夫の各議員です。
 主な内容は、選択的夫婦別姓制度に関し、制度の導入に向けた国会審議を推進するよう、強く要望するという内容です。
 結果は賛成が、市民民主連合(8人。2人は退席)、日本共産党(5人)、飛翔(3人。3人は反対)、無所属(3人)で、賛成少数のため否決となりましたが、船橋市議会の中で多数派になるよう、引き続き力を尽くします。

感染爆発と医療崩壊
背景に不足する船橋市の医療

 千葉県内では、新型コロナウイルス感染症により、県全体で1020人の方が亡くなっていましたが、このうちの110人の方は船橋市民です(10月20日現在)。
 2021年度版の都市データパックに掲載されている、中核市の統計によると、人口1万人当たりの医師の数は、船橋市は63市中60位。病床数も60位です。人口は最も多いのに、医療環境は最下位クラスです。
 本市のコロナ対策は失敗ではないのか、こうした本市の状況について市長の見解を質しました。
 市長は、「私としては、多くの方々のご意見を取り入れながら最善を尽くしてきた。万全とは言わないが、船橋市としての体制はしっかりとやってきた。それで、それによってできているものはたくさんあった」と答弁。こうした深刻な事態に至ってしまったことについて、説明はありませんでした。
 なぜ、感染爆発がおき、医療崩壊が起こってしまったのか。この状況に対して反省が無いのであれば、同じことが繰り返されてしまいます。
 現状の認識を改めることが重要となっています。

国民監視の「土地利用規制法」は廃止を!

 「土地利用規制法」は、自衛隊基地などの周囲おおむね1kmを注視区域等に指定し、土地や建物などの利用状況を調査・規制します。
 船橋市では陸上自衛隊の習志野演習場、習志野駐屯地周辺のおおむね1kmが注視区域等に指定される可能性が高く、住民からは不安の声が上がっています。同法の調査では駅やホテル、飲食店の従業員だけでなくお客さんも含め土地や建物を利用するあらゆる人(周辺1kmに関係なく)が対象になるからです。
 調査は氏名や住所、思想信条、交友関係など多岐に及ぶ可能性があり、人権を侵害する危険があります。
 船橋市は同法に基づく情報提供を求められた際には市民の個人情報提供を拒むべきではないかと質問しました。
 併せて、個人の思想信条の自由が侵されるような個人情報の扱いについても質しました。
 市は「廃止を求める考えはない」「粛々と事務を執行していく」「法令等で規定されている範囲で(個人情報を)提供する」と答えました。
 市民の個人情報を提供することは人権侵害で許されません。憲法違反の法律行使を許さず廃止させるために力を尽くします。

自然破壊 開発利益優先が鮮明に
災害引き起こす海老川上流地区開発

 7月に市が縦覧(一般に公開)した海老川上流地区での大規模宅地開発「メディカルタウン構想」に関する市の都市計画案に、市民から66通の意見書が出されました。洪水や液状化の危険地域での開発や医療センター移転などに反対の声が大多数です。しかし9月15日の船橋市都市計画審議会(以下、市都計審)で、計画案は13対1の賛成多数で承認されました。今後、千葉県都市計画審議会が計画案を承認すれば、土地区画整理組合の設立が認可され、造成工事が開始されます。
 市都計審の開催日は新型コロナ「第5波」の影響で10月に予定されていました。ところが2026年度中に病院が開設できない、工事による休業補償額が引き上がるなどの組合設立準備委員会からの要望を受けて、市は市都計審を前倒しに開催しました。
 市は想定し得る最大規模の降雨(9時間で総雨量516mm)でも宅地の浸水深が50 cm以下となるよう、開発区域で宅盤の嵩上げを検討すると報告。また海老川下流部での水害の懸念に対し、区域内に調整池を整備することから、1時間に約50 mmの降雨なら問題ないとしました。気候変動の影響は考慮されていません。県による海老川調節池の早期整備を要望するとも言いますが、完成時期は未定です。
 昨年の市の環境アセスメントでは、開発区域と周辺で重要種としてカヤネズミやニホンイシガメなど39種の動物、10種の植物、6種の魚類と底性動物が確認されましたが、開発による影響は少ないと結論づけました。しかし生息地の減少は生物多様性の確保に逆行します。
 市民の声を聞かずに開発利益を最優先にする姿勢が鮮明です。

策定中の総合計画に意見書提出

 2022年4月開始で10年間の市の計画「基本構想」「基本計画」を現在市が策定中です。この計画に市議会として意見を反映するため、総合計画に関する調査研究特別委員会が設置されています。
 市長提案の基本構想について、日本共産党は福祉切り捨ての行財政改革を大前提とする「持続可能な行財政運営」とメディカルタウン構想の「海老川上流地区」の記載の削除を求めました。
 また、「基本的人権の保障、気候変動、ジェンダー平等、貧困解消など問題解決に向き合うこと。三番瀬のラムサール登録推進。感染症対策として医療や保健の充実」等を盛り込むことを求めました。
 「基本構想」は12月議会で議決され、基本計画は来年3月までに市長が策定します。

一人一台 ICT機器導入支援員の抜本増を

 学校ではタブレットやノートパソコンなどのICT器機を1人1台配布して授業が始まっています。9月議会には先生用のICT端末の契約議案が提案されました。
 船橋市は各学校に週1回だけICT支援員の派遣を決めていますが、学校からは各学校に1人の支援員配置を求める声が寄せられています。併せて昨年度は学校の様々な業務(コロナ対策や教材の作成等)をサポートするスクールサポートスタッフが各校1人配置されていましたが、今年度は大幅に減らされています。ICT支援員、スクールサポートスタッフの増員をすべきではないかと質しました。
 市からは「ICT支援員は今年度の状況を踏まえて検討したい」「スクールサポートスタッフは県費による配置なので県に要望する」との答弁がありました。対策が急がれます。

新たな湾岸道路推進!?「三番瀬最優先の方針は変わらない」市長

 三番瀬を埋め立てて建設しようとした第2湾岸道路計画は市民の反対で中止になりましたが、「新たな湾岸道路」という名前で復活しようとしています。
 9月、千葉県と千葉・船橋・市川・習志野・市原・浦安の6市長が、国土交通大臣に「市原市、千葉市から市川市の外環高谷ジャンクションまでの湾岸部に多車線の自動車専用道路の建設」を要望したのです。
 この道路が三番瀬を避けても、船橋航路をまたぐことになれば、野鳥が行きかう谷津干潟と三番瀬の間に高い橋脚の壁を作ることになり、自然環境への影響は避けられません。
 新たな湾岸道路に関し市長の姿勢を問いました。市長からは「三番瀬は最優先にするという考え方は変わっていない、市の基本方針は変わっていない」との答弁がありました。
 また、策定中の市総合計画に三番瀬の保全とラムサール条約登録の推進を盛り込むよう求めました。

住民要求実現へ 北総鉄道
運賃値下げに着手

 北総鉄道は、これまで多額の利益を出しながら、累積損失を理由に「値下げができない」と言ってきました。しかし2022年度には累積損失が解消されることが明らかになり、運賃値下げの見通しが出てきました。運賃値下げを求める市民団体と沿線市の日本共産党が共に活動を続けてきた成果です。
 現在、北総線の運賃は、親会社である京成電鉄のおよそ2倍のため、北総鉄道に対し、「現在の半分に運賃を引き下げるよう、船橋市として意見をあげるべきだ」と議会で要求しました。しかし企画財政部長は、「他市と情報交換しながら、状況を注視していきたい」と回答をしただけで、市民の要求実現のために北総鉄道に声をあげるという姿勢は、全くみられませんでした。今後も住民の声が反映されるよう頑張ります。

第3回定例市議会 意見書(発議案)と主な陳情への態度


共産:日本共産党(5人)、民主:市民民主連合(10人)、公明:公明党(9名)、自由:自由市政会(7人)、飛翔:飛翔(6人)、創風:=創風ふなばし(6人)、新楓=新楓(4人)、無所属:(3人)、は・小・今=議員の頭文字

退:退席、○:賛成、×:反対