ミニにゅうす 1019号 2021年11月8日

コロナ禍なのに積立金が増えた2020年度決算
市民負担増の「行財政改革」で36億円の剰余金も

 9月議会(第3回定例会:8月30日~10月5日)では2020年度決算を審査しました。同年は、新型コロナの感染拡大により、学校の一斉休校や緊急事態宣言の発令、医療のひっ迫、市民の暮らしと営業が厳しい状況に直面した年になりました。ところが船橋市はこうしたコロナ禍にもかかわらず、財源調整基金(市の貯金)を増やしていました。
 コロナ病床確保、事業継続支援金、困窮する子育て世帯への給付金、GIGAスクールのITC機器整備など様々な新型コロナ対策が行われました。これらには国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金53・3億円があてられ、船橋市の財源はほとんど使われていません。療養ホテルの確保や検査など保健所のコロナ対応業務も国や県の支出金で行われています。
 この結果、船橋市は財源調整基金を2020年度に3億円積み増しし、2020年度末残高は114・3億円となりました。さらに36億円の決算剰余金が出ており、このうち33億円を財源調整基金に積立てています。財政難だといって市民を脅し「行財政改革」でコロナ禍のもと、国民健康保険料、下水道使用料の値上げ、公民館・運動施設等使用料の値上げなど市民に負担を押し付けた結果、多額の剰余金となりました。
 財源調整基金は災害時など想定外の支出などに備えるために積み立てているもので、本来であれば、コロナ禍で苦しむ市民を守るため、有効に使われるべきものです。それが使われないどころか、積み増していたのです。
 市民を苦しめてため込んだお金はいったい何に使われるのでしょうか。海老川上流地区の民間大規模開発への後押しに使われることは許されません。
 2020年度船橋市一般会計決算は、日本共産党と無所属の1議員を除く賛成多数で承認されてしまいました。
 日本共産党は今後も「行財政改革」中止と、財源調整基金を活かした市民のくらしを守る支援策を求めていきます。

 

「捜査関係事項照会」から、図書館利用者の人権を守れ!

 警察が、裁判所の発行する令状もとらずに「捜査関係事項照会」によって、特定の利用者の情報提供を図書館に求めた事例が全国で多発しています。憲法が保障する「表現の自由」や「内心の自由」を脅かす恐れがあり、日本図書館協会や専門家からは懸念の声があがっています。
 第3回船橋市議会定例会で開催された予算決算委員会文教分科会での日本共産党の質問に対し、船橋市は、図書館利用者の個人情報を警察に提供していたことを明らかにしました。
 2020年度には、警察から捜査に関する照会が1件あり、図書館が情報提供していました。

強制力のない、任意照会

 「捜査関係事項照会」の根拠は、刑事訴訟法第197条第2項に基づく手続きです。裁判所の令状はなく、警察の判断で行政機関や企業に任意で情報を求める捜査手法であり、強制力はなく、図書館側が拒否しても、罰則はありません。
 しかし、船橋市は、個人情報保護条例の第14条第1項第1号(法令等の規定に基づく場合の個人情報提供制限除外規定)を根拠に、個人情報の提供をしていい事例に該当するので提供したと答えました。

図書館の自由に関する宣言

 「図書館は、利用者の秘密を守る」。これは、日本図書協会の「図書館の自由に関する宣言」にかかれている、図書館の重要な任務の一つです。
 そして、「図書館は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、図書館間の相互協力をふくむ図書館の総力をあげて、収集した資料と整備された施設を国民の利用に供するものである」ことを宣言しています。
 この宣言は、第二次世界大戦以前の図書館が、言論統制をおこなう「思想善導(しそうぜんどう)」機関であったことの反省に基づいています。「思想善導」とは、政府が反体制の思想を排除して体制側の思想を広めるために行った思想統制政策です。戦後、言論統制の役割を果たしたことへの反省から、現在の憲法に基づく「図書館法」が制定され、その後、図書館の役割をより明確にするために、1954年に、全国図書館大会と日本図書館協会総会で「図書館の自由に関する宣言」が採択されました。

市民の人権を守る船橋市に

 宣言を無視したこうした運用が公立図書館で常態化すれば、市は政府の意向によっては市民の人権を守らなくていい、という深刻な事態を全庁的に拡げていくことにつながります。
 日本共産党は、こうした運用が公立図書館でも、行政運営全体でも行われないよう、力をつくします。

無料法律相談 12月22日(水)/1月19日(水) 船橋市中央公民館