ミニにゅうす 992号 2020年10月5日
積算ミス54億円
海老川上流地区開発(メディカルタウン)は中止を
9月議会で「当初の素案作成業者である日本都市技術㈱のミスで、海老川上流地区事業計画【素案】の事業費総額の158億円に諸経費及び消費税相当額約54億円が計上されおらず、市もそのことに気づかなかった」との報告がありました。
市が現在の業務代行予定者で事務局の㈱フジタから未計上の指摘を受けたのは昨年11月でしたが、議会への報告はありませんでした。
㈱フジタによれば事業費総額案は、158億円から大幅に上回ります。このままでは実現の可能性は低いと思われます。市は、㈱フジタに実現可能な事業計画案の提示を求めています。事業地内に移転予定の医療センターの基本設計は、今年度執行を中止することがあわせて報告されました。
158億円の【素案】は船橋市が、補助金で43億円・医療センター用地として60億円で保留地を購入・さらに東葉高速鉄道の新駅建設費50億円を支出するという、市が莫大な財政負担を行う内容でした。市長はメディカルタウンを公約に掲げましたが、民間による特定の開発への市の突出した肩入れは異常です。日本共産党は繰り返し批判してきました。
総事業費が増加すれば、その分を地権者が減歩率を増やして負担することになります。【素案】の平均減歩率41%でも地権者の仮同意は81%であり、減歩率の増加で地権者の同意を得ることは困難です。地権者の同意がなければ事業は実施できません。
日本共産党はあらためて、事実上破たんしている本事業について撤退を強く求めました。しかし市長は「医療センター用地を確保して区画整理事業を進めていく。医療センターの建て替えスケジュールが少し遅れることになるけれども事業を進めていく」と答弁しました。
事業を進めるために、さらに船橋市が市費を投入するなど論外です。市民には財政が厳しいと「行革推進プラン」で痛みを押し付け、一方では特定の開発に便宜を図るなど許されません。
8月、船橋市は新たな洪水ハザードマップを発表しました。同事業地のほぼ全域が50センチから3メートルの浸水想定区域です。また、地震ハザードマップでは液状化の危険性が極めて高い地域で、防災面からも、開発事業から撤退すべきです。
コロナ禍の今こそ 公契約条例の制定を!
地方公共団体が発注する委託業務等において、労働者の適正な賃金水準や労働条件を条例で定め、受注者に対してその賃金水準や労働条件を確保することを義務付けるものが公契約条例です。公契約条例は、公共サービスの質の確保、さらには周辺地域の賃金水準の引き上げ、地域経済の活性化を進めていくメリットがあると考えられます。2009年に千葉県野田市が公契約条例を制定以降、全国の自治体で公契約条例の制定が進んでいます。
ここ最近では新型コロナウイルス感染症の影響で様々な業界でパートやアルバイト、派遣労働者などの切り捨てが行われています。労働者にとって仕事が少ないという中で、労働条件の改善を求める声はなかなか上げにくく、日本共産党に相談が寄せられています。
ごみ収集業務で働く方は市で積算している設計労務単価(日当約2万円)が全く反映されていない事が、聞き取り調査した中で明らかになりました。「日当8000円程度で働かされている」「上司から暴力を振るわれた事もあった」「唾を吐きかけられた事がある」等、低賃金だけでなく様々なハラスメントも深刻です。
結局、こうした実態がありながらも市の発注した業務を請け負った業者と、そこから先の労使間での事まで市は踏み込めないというのが現状です。公契約条例を制定し、その中で、賃金や労働環境、法令などをしっかり遵守させ、市が指導をしたりできる様にするべきではないでしょうか。
◆ごみ収集作業員に危険手当を
更に、新型コロナウイルス対策として、ごみ収集作業従事者への危険手当が必要ではないかと考えます。ごみの収集は様々な感染症への危険が伴う業務です。可燃ごみは袋が破ける等の危険があります。ビン・カンも不衛生なものに触れる危険があります。布団などについても感染者が使用していたのか不明なので作業員は日々不安を感じているとの声もあります。市民からもごみ収集作業員に対し「暑いのにマスクして大変」「危険手当をつけてあげて欲しい」という声もあります。
議会ではごみ収集作業員に危険手当をつけ、市が設計労務単価に危険手当分を上乗せするだけではなく、公契約条例を制定し、危険手当がきちんと労働者に支払われる条件づくりが必要ではないかと質問しました。
市は公契約条例については「研究・検討させていただいている」、危険手当については「(感染)拡大防止のための環境整備にかかる費用は適正にすべき」としながらも「労使間の取り決めになる」と答弁しました。
市が発注する業務について市が調査を行い、低賃金や様々なハラスメントがある実態を掴むべきだと求めました。公契約条例の制定に向け、声を広げていきたいと思います。