ミニにゅうす 993号 2020年10月12日

企業の意向をくみ取る「サウンディング調査」実施中
公民館の指定管理者制度導入の動き

 9月議会に、市教育委員会から「公民館への民間活力導入に向けたサウンディング型市場調査」を行っている報告がありました。
 今年度、行革推進プランで公民館の指定管理者制度導入の適否が検討されています。検討であれば、社会教育施設として公民館が果たしている役割を検討評価すべきです。
 ところが「サウンディング調査」は民間企業に対し、どういう条件だと公民館の管理運営を受けるのか調べるものです。しかも社会教育法に基づく公民館でなくコミュニティーセンターに変えることや、指定は全26館でなく一部の館でもよしとしています。市民の教育を受ける権利を保障する公民館でなくてよい、ということです。
 12月には調査結果の概要が公表され、今年度中に方針を決定し、来年度には執行するというスケジュールも示されました。
 市民が学ぶ公民館を守りましょう。

 
◆次々と「サウンディング調査」から指定管理者導入へ

 船橋市はこれまでも次々と「サウンディング調査」を行い、指定管理者制度の導入を進めています。9月議会では運動公園・法典公園の指定管理者が議決され、2021年1月から指定管理者制度に移行します。12月議会には市営住宅、一宮少年自然の家の指定管理者の議案が提案され、2021年4月から指定管理制度に移行する計画です。
 さらに9月から市営霊園・霊堂、10月から児童ホーム、子育て支援センターの「サウンディング調査」が始まっています。きららホール(文化創造館)の「サウンディング調査」は昨年度行われ、今年7月に結果概要が公表されていますが、間もなく実施予定の市民文化ホールの「サウンディング調査」と合わせ、指定管理者制度に向けた検討が行われる模様です。

◆指定管理者制度=民間の管理運営で福祉や教育・文化が守れるか

 運動公園・法典公園は指定管理者導入による駐車場有料化で、健康のために利用する高齢者が利用できなくなる問題となっています。児童福祉の機能強化が必要ですが、児童ホームや子育て支援センターの民営化は逆行するものです。市民の文化芸術活動を支えてきたホールの民営化は営利が優先する施設となってしまうでしょう。災害時も避難施設となる公共施設が、民営化で市民を守れるのかという問題もあります。
 「行革プラン」ですすめる指定管理者制度の導入は中止すべきです。

感染対策のために避難所の増設と
保健師など専門家の配置を

 新型コロナ感染症の感染拡大のもと、災害時の避難所の増設が求められています。
 台風10号が接近した9月6日、長崎市や熊本市では避難所が満杯になりました。感染対策で「ソーシャルディスタンス」=社会的距離が必要になったためです。船橋市でも避難所の収容人数が約3分の1になりました。
 市はこの間、避難所間仕切りを市内26公民館に配備(624部屋)し、新たに同じく小中学校や三山市民センターなど公設避難所への配備(3246部屋)を決めました。
 市はこれによって「間仕切り整備前よりも多くの避難者を受け入れられる。」「それでも受け入れが難しい場合は、まずは協定締結先の民間事業者の施設の活用をしていきたい(表参照)」としています。
 しかし、市内では「そもそも公設避難所が家から遠すぎる」という声も上がっています。日本共産党は本会議で「各地域に避難所を増やすべきだ」と質しました。
 市は、千葉県が、県旅館ホテル生活衛生同業組合と災害時における宿泊施設等の提供について協定を結んでいることから、「高齢者や障害者など特別な配慮が必要な方で、かつ長期に渡る避難生活を要する場合などについては、県に対して市内や近隣市のホテル等の利用について要請していきたい」と答えました。
 ホテルや旅館は必ずしも身近にはなく、災害時に空き室があるのかも不確実です。不安定な状況は改善されません。

避難所の機能強化を

 また市は避難所の受付段階で体調不良者とそうでない人を区分けし、動線や滞在場所なども区分けすると言います。避難所の施設・設備に関する改善や指導、支援を行う専門的知見からの人的サポート体制を敷くことは想定していません。PCR検査も保健所と連携すると言いますが、災害混乱時には患者や感染疑い者が放置されかねません。本会議で、避難所でPCR検査や医療診断ができる体制づくり、保健師や看護師、栄養士、介護士など専門的有資格者の配備を求めました。
 市は「難しい」と答えましたが、新型コロナ対策は専門的知見なしには不可能です。国に予算措置を求めるとともに、市も体制づくりに取り組むべきです。

無料法律相談 11月11日(水)/12月9日(水) 船橋市中央公民館