ミニにゅうす 1023号 2021年12月13日
事業効果と関係なく廃止「お風呂券の復活を!」
市民サービスの削減と負担増を強いる「行財政改革推進プラン」の影響が広がっています。様々な制度の廃止は、代替制度もなしに利用者への周知や説明が不十分なまま実施されています。そのため、制度が利用できなくなって、はじめて廃止を知ったという市民がほとんどです。
今年4月から廃止になった通称「お風呂券(ひとり暮らし高齢者入浴料扶助費)」もその1つで、制度の利用者から「本当に困る、何とかならないか」との声が寄せられています。
「利用者は5%程度なので」を廃止の理由に
船橋市は財政が厳しくなったのは、「公共工事で借金がふくらんで、今後支払いが大変になるから」という主旨の説明をくり返しています。つまり財政が厳しくなったのは、市のお金の使い方が悪かったということです。この点は市も認めています。
しかし、その代償として、市民生活を支えていたお風呂券などを含む、63にものぼる市の事業を、廃止・統合・縮小するのは大きな間違いです。
お風呂のない低廉な家賃のアパートで生活する一人暮らしの高齢者にとって、銭湯の料金450円を払うのは容易ではありません。低所得者対策として役立っていたこの制度を復活するか、代替措置を求める質問に対し、船橋市は、措置を取らない理由のなかで「一人暮らし高齢者のうち、5%程度しか利用していない」ことをあげました。
5%の方たちを無視してもかまわない、と言わんばかりです。たとえ5%であっても、その方たちのために制度を作るのが公の仕事です。市は、ますます民間企業のような行政運営にまい進しています。
市内の銭湯にとってもこの制度は有効でした。ふれあいお風呂の日を使って、銭湯の利用促進にもなっていたからです。「お風呂券」は、高齢者の家計負担を減らし、公衆浴場の利用による地域交流促進など、1つの事業で、多くの効果がありました。市は事業の廃止にあたり、事業効果が高いという点は、一切考慮しませんでした。
市は今後、さらなる「行革」を進めるとしています。同じような見直し手法をとらせないよう、市民の皆さんと力を尽くします。
海老川上流の開発事業より、海老川水系の治水対策を
海老川流域は甚大な洪水被害の歴史があります。河川改修や支流の長津川に調節池が建設され、住宅への浸水被害は大幅に減りましたが、支流の飯山満川周辺では近年まで浸水被害が起きています。
海老川は千葉県の管理で、治水計画がつくられ工事が進められています。下流部の本町や宮本周辺は人家が連担し、河道を拡げられないため、河道で処理できない洪水は調節池や放水路で対応するとしてきました。
2019年策定の整備計画では、計画期間おおむね30年で表の工事が計画されています。
現在、海老川の排水能力は30㎜/時間しかなく、海老川調節池が整備されてようやく50㎜/時間となります。掘り下げて調節池を作る海老川調節池整備は、「工事予定地の地下の水位が高く、掘るとすぐに水が出てくるので、遮水工事や地盤改良工事が必要な難工事で時間がかかり、予算も大規模になるので長期間かかる」と言われており、計画期間の30年を超えることも考えられます。その間は、海老川下流の排水能力は30㎜/時間しかないので、水害が繰り返されるのは避けられません。
すでに、近年の大雨で河川に入らない雨水(内水氾濫)によって海老川流域では道路冠水が繰り返され、3・4・25号線の八栄橋付近や、市場から大神宮に向かうJRの高架下のアンダーパスなど、市中心部の道路が通行止めになっています。大雨の頻度が増えているのに、今後30年間、海老川の排水能力が改善されなければ、本町や宮本など船橋駅周辺の道路機能がマヒする恐れがあります。
海老川上流地区区画整理事業地は、ハザードマップで浸水が想定されていますが、市はこれに対し、「事業地を盛り土して地盤をかさ上げして浸水に備えるので問題ない」としています。また、「事業地内に調整池を設け、時間降雨量70㎜まで対応するので開発が海老川に負担をかけることはない」と、開発を合理化しています。
しかし、区画整理事業地だけ土盛りをして浸水を免れても、かさ上げ出来ず掘割になった既存道路を伝って流域の雨水が一挙に下流部に流れ込み、都市機能のマヒに拍車をかけることにならないか疑問です。
50㎜対応の海老川調節池がいつ整備される計画なのか、現状の浸水被害と整備されるまでの浸水被害がどうなるのか、市の認識を本会議で質問しましたが、現状の浸水被害を答えただけで、答弁はありませんでした。
莫大な費用をかけて区画整理事業を支援する前に、浸水から街を守る対策こそすべきです。