あの街この町 No.236 2022年8・9月号

『訂正』
「あの街この町」No236号に掲載しました次の記事に誤りがありました。
(WEB版は訂正済みです)

県立高校統廃合
(正)「10組程度を統廃合する」
(誤)「最低でも20校の県立高校を統廃合する」

ここに訂正し、お詫びいたします。

第2回定例議会 物価高騰から市民生活を守れ

 令和4年(2022年)第2回定例会は、6月24日に閉会しました。
 今議会では、市立医療センターの非紹介患者初診加算料の値上げ(5500円から7700円)、市内全小中学校への電子黒板の設置(3億300万円)、子育て世帯生活支援給付金、物価高騰対策や新型コロナ対策のための地方創生臨時交付金などの議案が審議されました。
 日本共産党は、住民の暮らしと中小企業を守るための「消費税減税を求める意見書」、「消費税インボイス制度の実施中止を求める意見書」、また「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有の検討を撤回することを求める意見書」の3つの発議案を提案しました。

物価高騰対策とは呼べない 物価高騰対策の補正予算

 物価高騰が市民生活を直撃しています。特に食品・日用品や電気ガス代など生活必需品の値上がりが深刻です。第2回定例市議会では物価高騰対策の補正予算が全会一致で可決成立しました。しかし、とても物価高騰対策と呼べる内容ではありません。
 生活支援特別給付金は低所得の子育て世帯に限られ、対象となる児童は1割に過ぎません。学校・保育園・幼稚園の給食食材値上がり分の補てん、燃料代が値上がりしているバス・タクシー事業者支援も行われますが、介護施設や障害者施設の食材費の補てんも、飲食店など物価高騰で経営が厳しくなっている事業者への対策もありません。
 船橋市には現在、物価高騰対策に使える国の臨時交付金が16億8200万円残されています。
 早い梅雨明けでしたが、電気代を抑えるためエアコンを我慢すれば、熱中症になりかねません。日本共産党はせめて値上り分1世帯5000円程度の電気代補助(30万世帯で15億円)を市長に提案しました。
 現在、船橋市は剰余金等を積み立てた基金を100億円以上保有しています。物価高騰問題は自治体だけでは解決できませんが、基金も活用し自治体としてできる限りの物価高対策を行うべきです。

気候危機打開にむけ 温室効果ガスの早急な削減を

 船橋市では、今年度から環境政策課にゼロカーボンシティ推進室が新設されました。市の地球温暖化対策実行計画では、2050年にゼロカーボンを達成するため、2030年度の温室効果ガス排出量削減目標を、2013年度比でこれまでの26%から国の目標に合わせ46%に引き上げました。その根拠を質したところ、「国のマニュアルに沿って電源構成を見直したら目標値が上がった」「家庭や事業所の再エネ100%への切り替えや、運輸部門においてEV車への切り替えなど、さまざまな部分において、期待を込めた」とあまりにも根拠のない実効性に欠ける答弁でした。
 地球規模の異常気象が進んでいます。今議会には「2029年二酸化炭素ゼロ目標を視野に一刻も早く野心的な削減の実行を」「気候市民会議の開催を」など、気候危機に関する5つの陳情が提出され、市民環境経済委員会で審議しました。
 日本共産党は、「2030年までの期限が迫る中、二酸化炭素削減が遅々として進んでいないことを考えると、本市としても早急に進める必要がある」と5つの陳情について賛成しましたが、いずれの陳情も「賛成少数」で不採択となりました。
 引き続き気候危機打開に向け、みなさんとともに取り組んでまいります。

土地利用規制法を使った 弾圧への協力は拒むべき

 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(いわゆる土地利用規制法)は9月から全面施行されます。
 この法の目的は重要施設の「機能を阻害する行為の防止」です。
 専門家からは市民運動なども弾圧される恐れがあると指摘されています。
 この法律は具体的に何をしてはいけないのかが明確ではないという(罪刑法定主義に反する)問題があります。船橋市で関係する陸上自衛隊習志野基地、演習場で言えば多くの機能が存在すると考えられます。通信機能、演習・訓練機能、災害救助、弾薬の保管、物資の輸送、さらに言えば自衛隊員の暮らしを支えたりといったことも機能と言えるかも知れません。
 同法では第22条で、目的達成のために地方自治体に「その他協力を求める」とされています。
 専門家からはこの協力について、道路管理者に基地周辺での抗議行動や座り込み者の排除などを求めたり、公園を集会で使わせないなどの協力を求めたりする可能性があるのではないかと指摘されています。
 議会では「思想信条の自由、表現の自由を奪いかねない協力は拒むべきではないか」と市を質しました。
 市は「想定での質問に答弁はできない」と明言を避けました。

県立高校統廃合より 少人数学級の実現を!

 千葉県教育委員会は、中学生の減少を理由に2001年に県立高校統廃合計画案を公表し統廃合計画を進めてきました。 その結果、142校あった県立高校は121校に減りました。船橋市内でも2011年度には船橋西高校と船橋旭高校が統合され、船橋啓明高校になりました。
 さらに県教育委員会は、この先10年間で「10組程度を統廃合する」という計画を含む、次期県立高校改革推進プランの計画案を公表しました。
 計画案では「1学年6学級~8学級を適正とする」とし、適正規模に満たない学校は統廃合の対象という方針を掲げています。統廃合の学校名はまだ明らかになっていませんが、船橋市内では豊富高校(4学級)が統廃合計画の対象になる可能性が大きくなります。豊富高校は全校生徒の半数以上が船橋市内在住です。仮に豊富高校が統廃合の対象となれば、市内中学校の進路においても重要な問題になります。「船橋市からも県立高校をこれ以上減らすべきではない」という声を上げることが必要だと市を質しました。
 市は「まだ学校名が示されていない中で、今考える段階ではない」と終始やる気の見えない答弁でした。生徒の数が減るというのなら、学校を減らすより今こそ少人数学級を進めるべきです。
 地域の受け皿となる県立高校をこれ以上減らさせないために、これからも取り組んでまいります。

楽観的なシミュレーションは危険 海老川上流地区開発

 船橋市は現在、海老川上流地区の区画整理事業が、海老川下流域に水害を引き起こさないかどうかのシミュレーションをしていますが、問題があります。海老川調節池の暫定整備と、下流部の河床掘削が前提とされているからです。この二つは千葉県の事業ですが、県は「2032年度までの実施に努める」というだけで、確証がありません。仮に実施されても盛土は工事の初期で、その間の水害リスクは考慮されていません。
 共産党は本会議で「前提が崩れた場合のシミュレーションもすべきだ」と質しましたが、市は答えませんでした。
 他にも盛り土量(33万㎥)を市独自に検証せず、業務代行予定者の大手ゼネコン(株)フジタが示す数字をそのまま発表する、盛り土がどこから持ちこまれるのか、6月議会の時点で確認していないなど、市の無責任さが際立ちます。共産党は「工事を凍結するよう、区画整理組合を監督すべき」と求めましたが、市は「住民説明会が終わるまで着工を待ってもらっている」と容認しています。
 医療センターの移転も懸念されます。開発地は最大3mの浸水想定区域ですが、放射線室は低層部分に配置される予定です。豪雨が各地で強まる中、危険です。市は開発地を広大な公園にするなど、思い切った計画転換を進めるべきです。

6月の船橋市議会
日本共産党提案の意見書(発議案)・主な陳情・議案への態度


共産=日本共産党(5人)、民主=市民民主連合(10人)、公明=公明党(9人)、自由=自由市政会(7人)、飛翔=飛翔(6人)、創風=創風ふなばし(6人)、新楓=新楓(4人)、無所属:(3人)、は・小・今=議員の頭文字
【 ○=賛成、×=反対、退=退席 】