あの街この町 No.229 2020年11・12月号

船橋市議会「行財政改革」でつぎつぎ「市民負担増」なのに
158億円の大型開発は進行中

 令和2年第3回船橋市議会定例会は、コロナ対策の約75億円を含む補正予算を議決。市が独自に行う、市内医療従事者への慰労金10万円の支給が決定しました。
 しかし、75億円のうち、約74億円は国や県からの支出金で、市の負担はわずか8140万円。一方、「行財政改革プラン」で、10月の徴収分から下水道料金も値上げされました。また、9月7日に発覚した海老川上流域土地区画整理事業の総事業費が、当初予定の158億円を大きく上回ることが判明しましたが、船橋市は止めようとしていません。
 新型コロナウイルスの感染に収束のめどが立たない中、市民生活は不安定な状態が続きます。こんなときに、負担ばかりを押付ける「行革」は、今すぐ、ストップさせましょう!

海老川上流地区開発(メディカルタウン)は中止を

 9月議会で「当初の素案作成業者である日本都市技術㈱のミスで、海老川上流地区事業計画素案(以下:素案)の事業費総額の158億円に諸経費及び消費税相当額約54億円が計上されおらず、市もそのことに気づかなかった」との報告がありました。
 市が現在の業務代行予定者で事務局の㈱フジタから未計上の指摘を受けたのは昨年11月でしたが、議会への報告はありませんでした。
 ㈱フジタによる新たな事業費総額案は、158億円から大幅に上回り、市はこのままでは実現の可能性は低いとして、㈱フジタに実現可能な事業計画案の提示を求めています。
 158億円の素案は船橋市が、補助金で43億円・医療センター用地として60億円で保留地を購入・さらに東葉高速鉄道の新駅建設費50億円を支出するという、市が莫大な財政負担を行う内容でした。市長はメディカルタウンを公約に掲げましたが、民間による開発への市の突出した肩入れは異常です。日本共産党は繰り返し批判してきました。
 総事業費が増加すれば、その分を地権者が減歩率を増やして負担することになります。素案の平均減歩率41%でも地権者の仮同意は81%であり、減歩率の増加で地権者の同意を得ることは困難です。地権者の同意がなければ事業は実施できません。

医療センターの建設は切りはなして

 事業地内に移転予定の医療センターの基本設計は、今年度執行を中止することがあわせて報告されました。日本共産党はあらためて、事実上破たんしている本事業について撤退を強く求めました。しかし市長は「医療センター用地を確保して区画整理事業を進めていく。医療センターの建て替えスケジュールが少し遅れることになるけれども事業を進めていく」と答弁しました。
 事業を進めるために、さらに船橋市が市費を投入するなど論外です。市民には財政が厳しいと「行革推進プラン」で痛みを押し付け、一方では特定の開発に便宜を図るなど許されません。

ハザードマップを無視した開発

 8月、船橋市は新たな洪水ハザードマップを発表しました。同事業地のほぼ全域が、50センチから3メートルの浸水想定区域です。また、地震ハザードマップでは液状化の危険性が極めて高い地域で、防災面からも、開発事業から撤退すべきです。

PCR検査件数を増やし実態把握と早期保護を

 船橋市の新型ウイルス感染症陽性患者は、県内では最も多く、直近の陽性率は千葉県の平均を上回っています。船橋市は9月1日に新たなPCR検査機器を導入し、1日当たりの検査数を90件から180件へと増やしました。
 しかし、検査数は全く増えていないのが実情です。9月4日の議案質疑で、検査の方向性についての質問に対し、市長は、
① 市内高齢者施設の新規入所者に検査を実施すること。
② 介護・病院などのスタッフへ2週間に1度の定期検査を実施すること。
を検討すると回答しましたが、定期検査の対象者をどこまで広げるかが課題です。
 コロナ対策では、感染ケースの4割程度を占める、無症状感染者からの感染をいかに防ぐかが重要です。早期発見・隔離・保護・治療の充実に向けて引き続き取り組みます。

今年も予算要望書を市長に提出

 2020年も日本共産党は市民アンケートを実施しました。6月より市内に約14万枚を配布し、9月15日までに940通の回答が寄せられました。ご協力ありがとうございました。
 今年もアンケートを基に「2021年度予算要望書」を作成し、10月20日市長に提出、要望実現の申し入れを行いましました。これからも皆さんと力を合わせて要求実現に取り組んでまいります。

コロナ禍の今こそ公契約条例の制定を!

 地方公共団体が発注する委託業務等において、労働者の適正な賃金水準や労働条件を条例で定め、受注者に対してその賃金水準や労働条件を確保することを義務付けるものが公契約条例です。
 ここ最近では新型コロナウイルス感染症の影響でパートやアルバイト、派遣労働者などの切り捨てが行われています。労働者にとって仕事が少ないという中で、労働条件の改善を求める声はなかなか上げにくく、日本共産党に相談が寄せられています。
 公契約条例を制定し、その中で、賃金や労働環境、法令などをしっかり遵守させ、市が指導をできる様にするべきではないかと質問しました。
 これまで市は「国が全国統一的な労働関係諸法を整備すべき」と答弁してきましたが、改めて市は「研究・検討させていただいている」と一歩前進した答弁が得られました。

介護事業所の財政支援を利用者に負担させるのは間違い

 コロナ禍のもと利用者が激減することで、ほとんどの介護サービス事業所が存続の危機に立たされています。このままでは、必要な介護サービスを提供する体制が崩壊しかねない状況です。
厚生労働省は、本来国が行うべき財政支援の一部を利用者に負担させるという、極めて不当な内容の特例措置を実施しました。これにより、利用者は今までと同じサービスを受けるのに、サービス利用料が上がってしまうということになりました。「介護事業所への財政支援は、介護報酬とは別に自治体が責任を持つべきだ」と質したところ、「自治体が持つということは考えていない」という、利用者の負担増を全く無視する答弁でした。特例措置分を補助すると決めた自治体にならって、本市も介護事業所・利用者を支援するべきです。

2050年までに温室効果ガス排出ゼロ宣言を

 台風や猛暑などの気候変動が激化する中、温暖化対策が急がれます。船橋市は市役所の活動で年約14万トンものCO2を排出しており(2018年度)、うち6割は廃プラスチックの焼却です。市は高効率ゴミ発電で熱回収をしていると言いますが、欧州では熱回収をリサイクルと見なしません。
本会議で「温暖化対策に逆行しているという認識はあるか」と質した所、市は「プラスチック分別回収の再検証がいる」と答えました。
またCO2排出の4割は電気・ガス等の施設内利用で、
再生可能エネルギーへの転換も急務です。「本庁舎などで再エネ事業者と契約を」と求めた所、市は「再エネを導入、その他検討できればと考える」と回答。今後は「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」表明も必要であり、本気の取り組みを求めていきます。

突然米軍機から第一空挺団が降下訓練

 9月14、15日の両日、陸上自衛隊習志野演習場で、米軍機から第一空挺団が降下訓練を行うとの情報が市民に公開されました。
 公開は9月11日金曜日の夕方だったため、市民からは市に問い合わせもできませんでした。
 米軍機からの降下訓練が実施されたのは初めてのことです。
 日本共産党は、防衛省に対して直接、厳重抗議を行い、今回の経緯について質すと、「相手国のあることなのでお伝えできない。」など、一般的な情報提供さえ拒否しました。
 習志野演習場は、自衛隊の演習場です。米軍基地ではありません。今後も米軍の都合で利用されるなら、船橋市は基地のあり方自体を見直し、基地の撤去を求めるべきです。

船橋市議会 意見書と主な陳情への態度


共産:日本共産党(5人)、自由:自由市政会(11人)、公明:公明党(10人)、民主:市民民主連合(8人)、自民:自由民主党(7人)、真政:真政会(4人)、
みらい:みらい@船橋(2人)、 無所属(3人):は・小・今=議員の頭文字
退:退席、○:賛成、×:反対