あの街この町 No.230 2021年2月号

12月議会 コロナ禍 開発事業でなく市民のいのち暮らし守れ

 コロナ禍のもとで市民の暮らしが一層困窮しています。「行財政改革」は押し進め、あらゆる事業の見直しをしてでも海老川上流地区開発事業を進めるという市の姿勢が明らかになった12月議会でした。事業費の計上もれ54億円や、追加工事費用44億円、新駅設置50億円など市の負担が増え、日本共産党以外からも懸念の声があがりました。
 市の施設の管理運営を民間事業者に丸投げしてしまう「指定管理者制度」では、指定管理を受ける業者がなかったことから、2つのデイサービスの廃止が決まってしまいました。市は指定管理を次々と進めていますが、今後同様に施設や事業を失ってしまう恐れがあります。
 予算決算委員会の質疑では、日本共産党の質問に対し、委員長が市長側に答弁を求めない「質問封じ」が行われました。これに対し、日本共産党市議団は、委員長の不信任動議を提出しました。
 議会最終日、ひとり親家庭(所得制限あり)や、経済的に困窮している子育て世帯に対する給付金が再支給されることになりました。

「財政が厳しい」と言いながら、ゼネコン向け大型開発に166億円を投入!?

 市長が進める海老川上流地区開発事業では、総事業費に54億円の諸経費が含まれていなかったことが判明し、計画の見直しが行われました。今議会には、大手ゼネコンの株式会社フジタが策定した追加工事を含む新事業計画が報告され、総事業費は158億円から192億円に増えています。このうち、市の助成金は、13億円増額の56億円になることが明らかになりました。
 しかも、市はこの計画実現のために、行革で凍結していた事業区域内にある東葉高速鉄道の新駅を建設(50億円)し、令和8年に開業することまで決めました。
 この計画を進めれば、医療センター用地(60億円)を含め市の負担は合計166億円もの事業になります。財政が厳しくなるからと市民に押し付けている「行財政改革推進プラン」とは正反対の政策決定です。
 議会で財源問題を指摘された市長は「市長として判断した」と答弁しています。
 これでは、まるで大型開発のために「行革プラン」をすすめていると、表明するようなものです。

福祉後退の「行財政改革」

 今議会も市民泣かせの「行財政改革」が進められました。母子・父子家庭の医療費助成を改悪する条例が通され、153人の高校生、401人の一人親が助成を打ち切られます。(昨年4月1日時点)
 コスト削減を口実に公共施設の企業依存が進み、市営住宅や少年自然の家、総合体育館等の管理運営を営利企業にやらせる議案が通されました。さらに受ける法人がいないからと、多くの利用者のいる市立西老人デイサービスセンターと市立三山デイサービスセンターを廃止する議案も通されました。コロナ禍のもと福祉を後退させる「行財政改革」は許されません。

コロナ対策でPCRなど緊急要望

 日本共産党千葉県西部地区委員会と船橋市議団は12月9日、市長に「新型コロナウイルス感染拡大対策に関する緊急の要望書」を提出しました。
 新型コロナウイルス感染症の「第3波」で感染者は増え続けています。船橋市内でも介護老人施設・高校・病院等で感染者のクラスターが発生しています。感染の爆発的拡大を抑止し、医療崩壊を招かないための抜本的な対策強化が必要です。そのため「病院・介護施設等への社会的検査」などの実施を求めました。
 市長は「危機感は共有している」「感染拡大を防止するために要望は検討したい」と答えました。
 引き続き日本共産党市議団は県知事や政府へも働きかけ、署名活動にもとりくんでいます。

住民を犠牲にする日米合同演習はきっぱり中止を

 陸上自衛隊第一空挺団が毎年1月に実施している「降下訓練始め」に、2017年から米軍が参加をしています。17年は在日米軍から15人の参加でしたが、18年には30名と倍になり、さらにアラスカからも50名が参加するなど、規模が大きくなっていました。
 昨年の9月には2日間にわたり、習志野演習場を使用した日米共同演習が初めて実施され、「降下訓練始め」が日米共同演習の実績作りに利用されています。
 今年の降下訓練始めは13日に実施されましたが、「今回は米軍は参加しない」と、1月8日の夕方に、北関東防衛局から船橋市に対して、情報提供がありました。
 詳細を確認すると、米軍は駐屯地に来てもいなかったことが判明。結局、訓練に参加しないことは、かなり前から決まっていたはずなのに自治体には知らせなかった、ということが分かりました。
 そもそも今回は、新型コロナウイルスの集団感染防止のため、一般公開は中止されており、これまで口実であった「米軍による祝賀の意」も、国民へ「ご理解を深めて頂く」ことも、全く成り立ちません。
 また米軍は、日米地位協定9条で出入国管理法の適用が除外されています。入管も通らず、日本での検疫も受けず、市内を自由に移動することになれば、それだけで、市民生活は感染の危機にさらされます。
 市民の安全のために、市は、住宅密集地での日米共同訓練の中止を求めていくべきです。

子どもを虐待から守る家庭児童相談室が南船橋駅前へ?!

 北本町の保健所施設内にある家庭児童相談室で受ける相談件数は、年々増加傾向にあり、市内全域から相談者が訪れています。
 市の児童相談所設置構想では、京葉線南船橋駅南側に建設を予定している児童相談所内に、家庭児童相談室も移してしまおうという計画です。
 これでは、市内全域からの利便性が悪くなり、特に北部地域からのアクセスが悪くなることは明らかです。
 市は家庭児童相談室を児童相談所内に設置することで、両者の連携を強化するとしています。しかし支援を必要とする児童や保護者、妊産婦を支援から遠ざけてしまうことになるのではないでしょうか。
 また、緊急を要するケースもあり、職員が通報先へかけつけることもあります。家庭児童相談室を児童相談所内の1カ所にしてしまうことは問題です。
 日本共産党は現在の家庭児童相談室を残し、新京成沿線にも家庭児童相談室を設置し、支援や虐待対応の強化を図ることが必要だと求めました。市の答弁は「まずは、児童相談所と一体で連携を図る、複数設置はその先の問題」にとどまりました。今後も複数設置を求めていきます。

民間より高い差額ベッド代 徴収やめよ指定管理の市立リハビリテーション病院

 夏見台の市立リハビリテーション病院は2008年に船橋市が建設し、医療法人社団・輝生会が管理運営している回復期リハビリ専門病院です。
 高い技術が評判ですが、問題は高すぎる差額ベッド代です。同じ回復期リハビリを行う市内民間病院は1日3300円~約2万円ですが、市立リハビリ病院は1日1万3200円~3万9600円にもなります。しかも差額ベッド代のかからない4人部屋の空きがなく、病院都合で個室に入院させる際も最大14日分の差額ベッド代を求められるため、高額な請求に驚きの声が上がっています。
 日本共産党は12月議会でこうした運用をやめよと質しました。市は回復期病院だから問題ないとしましたが、開設時に2割もの病床を個室にしたのは市です。公立病院として、お金がなくても安心して利用できるよう責任を果たすべきです。

今こそ ジェンダー平等社会を

 日本共産党は12月議会で、男女共同参画条例の創設を求めました。
 全国の市区町村の女性管理職(課長級以上)の割合は約18%ですが、船橋市は8%と半分未満です。
 男女混合名簿を採用する市立学校は2006年度の46校から激減し、市立船橋高校と特別支援学校の2校だけと、ジェンダー問題の位置付けが弱まっています。
 県内7市にある男女共同参画条例の制定について、船橋市は「県や他市の状況を注視したい」と消極的ですが、今後は積極的な姿勢が必要です。
 また今議会では同性パートナーシップの実現を求める市民の陳情が採択されるという、画期的な動きがありました。多様性や個人の尊厳を尊重するジェンダー平等の市政が切実に求められています。引き続き奮闘します。

質問封じは議会の責任放棄 鈴木予算決算委員長の不信任動議を提出

 今議会、日本共産党は鈴木和美予算決算委員長に対する不信任動議を出しました。日本共産党の総括質疑に対する市長側の答弁を行わせない、異常な運営を行ったためです。
 この間、総括質疑をめぐって「政策的判断を求めるものか、複数の委員会にまたがるものに限る」など質疑に制約が持ち込まれ、今議会では質問内容を議会が事前にチェックし、発言権を抑制しています。議会が市長への質疑や質問を抑制することは、市長のチェック機関としての責任放棄です。
 動議は賛成が47人中11人(左表)で、賛成少数で否決されましたが、こんなことで市民の声を代弁する議会と言えるでしょうか。

船橋市議会 意見書と主な陳情への態度


共産:日本共産党(5人)、自由:自由市政会(11人)、公明:公明党(10人)、民主:市民民主連合(8人)、自民:自由民主党(7人)、真政:真政会(4人)、みらい:みらい@船橋(2人)、
無所属(3人):は・小・今=議員の頭文字
退:退席、○:賛成、×:反対

(表)【鈴木委員長の不信任動議に賛成した議員】●日本共産党/岩井友子、神子そよ子、坂井洋介、松崎さち(金沢和子は欠席) ●市民民主連合/浦田秀夫、神田廣栄、斉藤誠 ●みらい@船橋/朝倉幹晴、池沢みちよ ●無所属/今仲きい子、はまの太郎(氏名は五十音順、敬称略)