あの街この町 2021年1月 号外

海老川上流地区まちづくり計画は市民負担をどんどん増やす

●土地区画整理事業の市負担金56億円
●新駅建設費は市が全額負担 50億円
●さらに医療センター用地購入60億円

開発計画の土地は、面積42. 3haの市街化調整区域です。約6割が農地で、海老川、飯山満川、北谷津川などに挟まれた低地です。

土地開発事業よりコロナ渦市民の命と暮らし最優先に

 海老川上流地区のまちづくリ事業とは、民間の土地区画整理事業と、それを援助するため東葉高速線新駅の誘致および市立医療センターを建て替え移転することです。「ふなばしメディカルタウン構想」ともいわれます。土地区画整理事業は、(株)フジタが作成した計画案によると総事業費が192億円。このうち市の負担分は56億円です。
 市は、このほか東葉高速線新駅設置費50億円、合わせて106億円の財政支出をしようとしています。さらに市立医療センターの移転用地60億円が加わります。

行革で市民負担増を進めながら・・・

市の財政負担が増加しても市長はこの土地開発事業に固執し、その財源確保のためには「あらゆる事業を見直す」(副市長答弁)としています。
 市は「行財政改革推進プラン」により市民に負担増とサービス削減を行っています。
他方でこのような膨大な費用のかかる民間の開発事業に肩入れするとは、何のための「行財政改革」なのでしょう。
 収束見通しのないコロナ禍の中で、市民は命と暮らしに不安な日々を送っています。市民の財政は市民の生活支援を最優先すべきです。

凍結だった新駅設置をあっという間に解除!

 新たな事業計画案では、東葉高速線新駅の設置も求めています。新駅の設置は「行財政改革推進プラン」では凍結事業でした。しかし、市は組合準備会の要望を受けて、あっという間に凍結解除。行革プランのため有識者の意見を聞く「推進会議」も市の「本部会議」も開催せず、不透明な凍結解除の決定です。 新駅設置は50億円全額を市が負担し、令和8年開業の計画です。この新駅は、土地区画整理事業の資金調達をしやすくするのが狙いです。
 ゼネコンの要望に応えて、市の膨大な財政負担を顧みない市長の強引な決定を許してはなりません。また、財源確保ために、市民を犠牲にする「行革推進」など論外です。土地開発よりも市民の命と暮らしを守ることを最優先する市政を求めましょう。

今後の予定

令和3年3月
・地権者から本同意取得
90%以上の地権者から同意が必要
令和3年9月
・都市計画決定(千葉県)
海老川上流地区を市街化調整区域から市街化区域に編入する
・組合設立の認可(船橋市)
認可されてから地権者等が土地区画調整組合を設立する
・議会に予算案を上程
土地区画整理事業や新駅設置等の予算案を議会に提案する

市立医療センター建て替えは
海老川上流地区の洪水・液状化想定から安全な場所へ

ハザードマップを無視した無謀な計画

 市作成の洪水・内水(ザードマップによると、この事業の土地のほぼ全域が50cmから3mの浸水想定区域になります。地震(ザードマップでも液状化の危険が高い区域です。また、上流の開発は、下流の海老川周辺地域に甚大な被害を及ぼし兼ねません。
 災害時の拠点病院であり東葛南部地域の三次救急病院でもある市立医療センターを、水害等が予想される地域に移設するとは常軌を逸しています。建設費437億円もの巨費を投入する病院施設で地盤強化対策をとったとしても、周辺道路などが冠水すれば病院が孤立しかねません。災害時にこの地で医療センターが役割を果たせるのか、市は検討もしていない無責任な態度です。
 防災の面からみても、医療センターは安全な場所へ移転すべきです。

市立医療センターを巻き添えにするな

 医療センターを移転する「メディカルタウン構想」は、保留地を市が購入して土地区画整理事業を援助するために市長が進めました。土地区画事業が進まなければ、医療センターの建て替えが巻き添えにされてしまいます。
 医療センターの建て替えは、区画整理事業とは切り離し、市の独自事業として責任をもって行うべきです。

海老川上流地域の土地活用
私たちは農地を生かし防災機能を持った
大規模な都市公園の整備を提案します

散歩ができる公園を

 
市内の農地や山林が減り続けています。船橋市民一人当たりの公園面積は3.16㎡。これは千葉県平均の6.76㎡の半分、全国平均の10.24㎡の3分の1にも届きません。「散歩できる公園がない」「憩いの公園が欲しい」。こうした市民の声に応え、災害に強いまちづくりを進めるために、市の中央部であるこの地域に広大な公園を整備することを提案します。
 北部にアンデルセン公園、南部にふなばし三番瀬海浜公園、そして中央部に市民が憩える大規模都市公園(セントラルパーク)をつくる構想です。柏市の「あけぼの山農業公園」のように、農地も生かして市民が農業体験をしたり、新鮮な農産物も手に入る場所です。
 開発利益は生みませんが、公園や道路を都市施設として都市計画決定し、売買や賃貸借によって地権者の権利を守ります。農地利用による農業支援も行い、農のある公園、豪雨時の調整池機能をもたせ下流の洪水対策にも生かせる都市公園をつくることを提案します。